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行人 の商品レビュー

4.1

104件のお客様レビュー

  1. 5つ

    32

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2017/08/20

義姉・直の存在感が際立っている。『三四郎』で出てきた汽車で偶然にも同宿することになった女性にも通じる怪しさ。それに向き合う純で初な二郎。作中では男は意気地がないと二郎に対して言う直。妙な艶かしさがあるが、安い不倫の物語にしない漱石。その漱石を思わせる直の夫・一郎について、結びにH...

義姉・直の存在感が際立っている。『三四郎』で出てきた汽車で偶然にも同宿することになった女性にも通じる怪しさ。それに向き合う純で初な二郎。作中では男は意気地がないと二郎に対して言う直。妙な艶かしさがあるが、安い不倫の物語にしない漱石。その漱石を思わせる直の夫・一郎について、結びにH氏の長い手紙で分析させるくだりは、自分自身のことを客観的過ぎるほど知りつつも、それを実行に移せない苦しさを感じさせる。

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2017/06/22

えーーー、正直に言いますと、漱石大先生の作品を、最後まで読み切ったのは初めてでございます。。手に取った作品は多いんですが、読み終える前に返却期限が来たりなんだりでどうも。でも、すごく面白くてこれまで投げ出してきたことをひたすら後悔してる。。 嫂の機微は同じ女として結構わかるような...

えーーー、正直に言いますと、漱石大先生の作品を、最後まで読み切ったのは初めてでございます。。手に取った作品は多いんですが、読み終える前に返却期限が来たりなんだりでどうも。でも、すごく面白くてこれまで投げ出してきたことをひたすら後悔してる。。 嫂の機微は同じ女として結構わかるような気がするのだけど、それがわからないわからないという男たちの様子が可笑しいし。かなり個性の強い登場人物たちが、あぁどこへ行ってしまうんだろうと心配かけてくるんだけど、結局まだどこにも行けず愚図愚図してる感じなど。

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2017/01/28

烏兎の庭 第五部 書評 1.29.17 http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/bunsho/kojin.html

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2016/11/29

精神的な無菌室の中にいる一郎は、不条理に満ちた現実ではもはや生きていけないのか。 彼の友人が二郎に宛てた長い手紙。読者は彼の内面世界の迷宮へと踏み込んでゆく。 寂しさと爽やかさが入り混じったラストが印象的でした。家族さえ理解できなかった一郎のことも、愛すべき人物のように思えてき...

精神的な無菌室の中にいる一郎は、不条理に満ちた現実ではもはや生きていけないのか。 彼の友人が二郎に宛てた長い手紙。読者は彼の内面世界の迷宮へと踏み込んでゆく。 寂しさと爽やかさが入り混じったラストが印象的でした。家族さえ理解できなかった一郎のことも、愛すべき人物のように思えてきます(漱石の思うツボ?)。 「彼岸過迄」や「それから」のような、男と女が感情を投げ出し合うクライマックスはないものの、終盤の哲学的対話はスリリングさで負けてません。

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2016/10/10
  • ネタバレ

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学問だけを愛する一郎。少し年下の嫂は冷静で青白い人。二郎、妹(お重)人間関係が書かれた小説。兄は人間不信化。何も信じることができない。

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2016/07/12

ずっと積読だったが「言の葉の庭」でたまたまヒロインが行人を読んでいるシーンがあり読み始めてみた。 そこはかとない階級意識等当時の時代を感じさせる描写は新鮮であった。 雑に物事が回っている社会において鋭敏な理解や感性は諸刃の剣。

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2016/05/19

内容としては、神経質な長男が他人のこころを全く信用できないというもの。視点は長男の弟、二男。 自分というものは何か、それに対するものは何かということを考えさせられる。 軽い気持ちで読んだが、わりとよかった。 「死ぬか、気が違うか、それでなければ宗教に入るか。僕の前途にはこの三つ...

内容としては、神経質な長男が他人のこころを全く信用できないというもの。視点は長男の弟、二男。 自分というものは何か、それに対するものは何かということを考えさせられる。 軽い気持ちで読んだが、わりとよかった。 「死ぬか、気が違うか、それでなければ宗教に入るか。僕の前途にはこの三つのものしかない」というセリフはよくネタで聞く。ここからだったのか…

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2016/04/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

夏目漱石後期三部作の二つ目。 「彼岸過迄」が結構しんどかったので夏目漱石から少し遠ざかってましたが、読むものがなくなったので昔買った行人を勢いで読みました。 「勢いで」とは言ったもののずいぶん時間かかってしまいましたが・・・ 序盤は貞の嫁入り、三沢の病気と過去の恋愛といったテーマを元に二郎の心の動きを描き出し、 後半から兄の一郎の物語となる。一郎の賢く繊細すぎるがゆえに過敏すぎる心が、二郎や家族や妻、友人からどのように映るか。 夏目前後期三部作を一通り読んだことになりますが、その中でも行人はめちゃくちゃ好きな一冊になりました。 一郎の繊細すぎるゆえの苦悩を完全に理解することはできないにせよ、現代の知識人にも響くところがあったのではないでしょうか。

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2015/09/28

夏目漱石の実体験を部分的描写に反映した小説。 主人公の兄の真面目さが彼の家族との関わりに彼自身が捕らわれ孤立していく。心情の難しさを表現した作品。

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2015/06/13

先ごろ読んだ、半藤一利著『漱石先生ぞな、もし』に刺激され、本作を手に取った。 高校のころに読んだ記憶があるが、もちろん内容はすっかり忘れており、初読の気分を味わった。 大正時代の小説にもかかわらず、けっして古さを感じさせず(勿論、登場人物の会話の言葉は明治そのもの)、現代作家が書...

先ごろ読んだ、半藤一利著『漱石先生ぞな、もし』に刺激され、本作を手に取った。 高校のころに読んだ記憶があるが、もちろん内容はすっかり忘れており、初読の気分を味わった。 大正時代の小説にもかかわらず、けっして古さを感じさせず(勿論、登場人物の会話の言葉は明治そのもの)、現代作家が書いたといっても通用する作品。だからこそ、名作か。 前半は、兄と嫂と弟の三角関係を扱った具体作かと思いきや、やがて、近代人の悩み・不安あるいは人間存在そのものへの問いかけへと、問題が普遍性を帯びてくる。 やはり、漱石は並の作家ではない証左。 文中、示唆に富んだ箴言が読者を魅了する。 「幸福になりたいと思って、幸福の研究ばかりしていても、幸福にはなれない。」 「山を呼び寄せようと思っても、山が来てくれない以上、自分が行くより仕方あるまい。」等々。

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