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行人 の商品レビュー

4.1

108件のお客様レビュー

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妻の心をどうしても見…

妻の心をどうしても見抜けない夫が、突然テレパシーを勉強し出す、という唐突な展開には笑いました。

文庫OFF

自己と他者が強く切り…

自己と他者が強く切り分けられた近代において、「他(ひと)の心が解る」ようなことはない。この自己の孤独な世界から抜け出るために、漱石は登場人物一郎の言葉を借りて、神の世界、絶対の世界、自他の無い世界へと進もうとするが、そうするほどにその世界は遠ざかる。自意識に溺れ行き場の無い近代の...

自己と他者が強く切り分けられた近代において、「他(ひと)の心が解る」ようなことはない。この自己の孤独な世界から抜け出るために、漱石は登場人物一郎の言葉を借りて、神の世界、絶対の世界、自他の無い世界へと進もうとするが、そうするほどにその世界は遠ざかる。自意識に溺れ行き場の無い近代の人間の低回が描かれる。

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漱石の後期三部作の2…

漱石の後期三部作の2番目にあたる。兄は、自分や人生に対して誠実であるが故に妻や弟や家族に理解されずに孤独に生きる。あくまで誠実な人生態度が胸に響く。

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我々の日常生活におい…

我々の日常生活においては「わかる」という言葉が氾濫している。絵画、音楽、そして人の心。何をもってわかるという言葉を使うのか。本当に何かがわかっているのか。僕はいつもそんな疑問を持つ。「人の心は外から研究は出来る。けれどもその心に偽(な)って見ることは出来ない」。そこまでわかってい...

我々の日常生活においては「わかる」という言葉が氾濫している。絵画、音楽、そして人の心。何をもってわかるという言葉を使うのか。本当に何かがわかっているのか。僕はいつもそんな疑問を持つ。「人の心は外から研究は出来る。けれどもその心に偽(な)って見ることは出来ない」。そこまでわかっていながら、なお人の心をわかりたいと思う。その行き着く先として漱石が描き出すものは、仏教そして哲学が述べるところと同じである。何かをわかりたいと切に願う人に読んでほしい。

文庫OFF

2025/01/25

ラストのHさんの手紙の重さよ…そしてラスト2ページの激重感よ。『こころ』に繋がる作品というのもとても分かる気がした。 それにしても漱石は、語り手の視点から相手の本質を深掘りする作品が多い。『こころ』再読が楽しみ。

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2024/12/19

夏目漱石 (1867-1916)1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』...

夏目漱石 (1867-1916)1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となる。翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

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2024/12/15

面白かったわけではないが、これまでに読んだ夏目作品の中では断トツで読みやすかった。今までは1~2ページでも読み進めるのが苦痛だったけど。そういう意味では印象に残る作品。けれど、内容は、主人公の兄(たぶん漱石自身)が神経症で暗くて、その気難しさが延々と描かれているので面白くはない。

Posted byブクログ

2024/12/09

人の心の本当のところは、誰にも分からないということでしょうか。もしかするとそれは本人ですらわからないのかもしれません。人間関係の微妙なかみ合わなさが、いろいろなエピソードを絡めながら語られます。 謎を少し出してはしばらく後で回収し、そのころにはまた新たな謎が…という感じで物語を...

人の心の本当のところは、誰にも分からないということでしょうか。もしかするとそれは本人ですらわからないのかもしれません。人間関係の微妙なかみ合わなさが、いろいろなエピソードを絡めながら語られます。 謎を少し出してはしばらく後で回収し、そのころにはまた新たな謎が…という感じで物語を前に前に進める推進力は半端ないです。この辺、うまいですね。いつものことながら、お互いの心の内を探ろうとするやり取りがなかなかスリリングです。 特に嫂と二郎が宿に泊まることになった場面はすごいです。「三四郎」であった宿に泊まるやつのバージョンアップ版ですかね。これは真面目にやっているのかな。むしろギャグなんじゃないかと思うくらい面白かったです。 本当に終盤近くまで面白くて、これがどう落ち着くの本当にわくわくしました。 最後の手紙の下りがすごいというレビューをたくさん見ましたが、私的にはちょっと小難しくて疲れました。いかにも夏目漱石っぽいなぁとは思いましたが、「こころ」の方がうまく物語の中に落とし込めていたように思います。 結局Hさんと兄さんはそれなりにすっきりしたようですが、その手紙を読んだ二郎もそうですし、嫂に何か変わるところはあるのでしょうかね。めでたしめでたしみたいな感じで終わっていますが、もやっとしたものが残る結末だなぁと思いました。 いろいろと回収されていない話もあるような気もしますが、病気で中断もあったようで仕方がないのかな。そういう意味ではもったいない作品のような気がします。

Posted byブクログ

2024/08/23

えっ、大丈夫?というかんじで思い詰めている主人公の兄。 その兄とうまくコミニュケーションがとれないでいる主人公。 不穏さが最後まで続く。 また読み返したい。 漱石が完成させた最後の長編だそうです。(「明暗」は未完だとか)

Posted byブクログ

2024/06/01

教科書以外でしっかり夏目漱石読んだの初めてだったけど、めちゃめちゃ面白い 緻密で少し神経質な感じがする文体が良い

Posted byブクログ