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行人 の商品レビュー

4.1

103件のお客様レビュー

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妻の心をどうしても見…

妻の心をどうしても見抜けない夫が、突然テレパシーを勉強し出す、という唐突な展開には笑いました。

文庫OFF

自己と他者が強く切り…

自己と他者が強く切り分けられた近代において、「他(ひと)の心が解る」ようなことはない。この自己の孤独な世界から抜け出るために、漱石は登場人物一郎の言葉を借りて、神の世界、絶対の世界、自他の無い世界へと進もうとするが、そうするほどにその世界は遠ざかる。自意識に溺れ行き場の無い近代の...

自己と他者が強く切り分けられた近代において、「他(ひと)の心が解る」ようなことはない。この自己の孤独な世界から抜け出るために、漱石は登場人物一郎の言葉を借りて、神の世界、絶対の世界、自他の無い世界へと進もうとするが、そうするほどにその世界は遠ざかる。自意識に溺れ行き場の無い近代の人間の低回が描かれる。

文庫OFF

漱石の後期三部作の2…

漱石の後期三部作の2番目にあたる。兄は、自分や人生に対して誠実であるが故に妻や弟や家族に理解されずに孤独に生きる。あくまで誠実な人生態度が胸に響く。

文庫OFF

我々の日常生活におい…

我々の日常生活においては「わかる」という言葉が氾濫している。絵画、音楽、そして人の心。何をもってわかるという言葉を使うのか。本当に何かがわかっているのか。僕はいつもそんな疑問を持つ。「人の心は外から研究は出来る。けれどもその心に偽(な)って見ることは出来ない」。そこまでわかってい...

我々の日常生活においては「わかる」という言葉が氾濫している。絵画、音楽、そして人の心。何をもってわかるという言葉を使うのか。本当に何かがわかっているのか。僕はいつもそんな疑問を持つ。「人の心は外から研究は出来る。けれどもその心に偽(な)って見ることは出来ない」。そこまでわかっていながら、なお人の心をわかりたいと思う。その行き着く先として漱石が描き出すものは、仏教そして哲学が述べるところと同じである。何かをわかりたいと切に願う人に読んでほしい。

文庫OFF

2024/02/02

メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1753256331543539917?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw

Posted byブクログ

2023/12/17

作品と著者に関して私の記すに及ぶものでは無いので控えるが、私が手に取って読んだ本そのものを紹介したい。 とある古本市でたまたま見つけたもので、大正十年九月二十五日十八版のものであった。百二歳の祖母の生まれた年に発行、発売されたものということで思わず即買いした。表紙というか外装とい...

作品と著者に関して私の記すに及ぶものでは無いので控えるが、私が手に取って読んだ本そのものを紹介したい。 とある古本市でたまたま見つけたもので、大正十年九月二十五日十八版のものであった。百二歳の祖母の生まれた年に発行、発売されたものということで思わず即買いした。表紙というか外装というか布製で押絵も施され、背表紙には”行人 漱石”と布に刻印?された豪奢な感じで、当時、とても高級な本として売られたものと思う。定価は一圓八十銭と書かれ、MITSUKOSHI.LTD TOKYO の 切手、印紙のようなものが貼られている。印刷は、今は印刷が取れた凸版印刷株式会社。お宝的に保管して置こうと思ったが、その後、体調崩したりと今ひとつのことが続き、何となく、この本が、読め!と言っているような気がして、なるべく傷まないように、一頁一頁気を付けながら読んだ。仮名遣いや旧漢字であることはもちろんのこと、校正ミスも沢山あり、読むのがかなり難儀だったが、多少、表紙がそり返ったり、綴じに歪みが出たりしたものの、大きく損傷することなく、読み切った。歴史に名を刻み、国を代表する文豪の本を100年を越した今において、当時そのままに手に取って味わえた。この本を最初に買って読んだ人が、100年経って尚、その本を私が読んでいることをもし知ったら、どんなふうに思うかな?なんて感慨にふける読後だった。

Posted byブクログ

2023/10/17

何を読もうか選ぶとき、大抵、本の裏に書いてあるあらすじを参考にします。 夏目漱石の小説はあらすじだけを読むと、正直あんまり惹かれません。しかし"妻の心を疑って、自分の弟に一晩妻とどこかに泊まってみてくれないかと頼む兄"という『行人』のあらすじにはちょっと興味を...

何を読もうか選ぶとき、大抵、本の裏に書いてあるあらすじを参考にします。 夏目漱石の小説はあらすじだけを読むと、正直あんまり惹かれません。しかし"妻の心を疑って、自分の弟に一晩妻とどこかに泊まってみてくれないかと頼む兄"という『行人』のあらすじにはちょっと興味をそそられるところがあり、買ってみました。果たして兄嫁は夫の弟に惹かれているのか?一晩泊まって2人はどうなるんだ?という下世話な気持ちから読み始めたのですが、手に取った時の低い期待値に反してもの凄く面白く、人間を深く描いた小説でした。

Posted byブクログ

2023/09/02

夏目漱石作品によくある高学歴ニートの話、ではなかった。近代的自我に芽生え、感情との狭間で苦悩する様を描いた作品。 現代人にも共感できる部分はあると思う。

Posted byブクログ

2023/08/03

「彼岸過迄」に続き「こゝろ」に繋がる後期3部作の2作目。一郎が惚けるように蟹をいつまでも眺める場面は切なかった。自分はお貞さん寄りの人間で良かった‥‥

Posted byブクログ

2023/06/17

理想を追い求めるあまり、周りとうまくいかない男の苦悩の話。 語り手は二郎くん(弟)なんだけど、主人公は一郎さん(兄)。このお兄ちゃんがなんかめっちゃ考え過ぎてて、「崇高な俺の考えが理解されない。低俗な人間どもに馬鹿にされる!」って周りに(特に奥さんに)当たり散らしてる印象。お兄...

理想を追い求めるあまり、周りとうまくいかない男の苦悩の話。 語り手は二郎くん(弟)なんだけど、主人公は一郎さん(兄)。このお兄ちゃんがなんかめっちゃ考え過ぎてて、「崇高な俺の考えが理解されない。低俗な人間どもに馬鹿にされる!」って周りに(特に奥さんに)当たり散らしてる印象。お兄ちゃんだけ異質なんだよなあ。周りはお兄ちゃんに敬意を払ってると思うんだけど。一郎さんの考えは高尚だと思うけど、生きていくってそんなことばかりでなくて、一郎さんは自分で自分を苦しめてて、そのせいで周りも引っ掻き回されて、何だかなあ…って感じの話でした。

Posted byブクログ