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彼岸過迄 の商品レビュー

3.8

93件のお客様レビュー

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2011/05/27

【ストーリー・構成】 敬太郎はある男についての偵察を依頼され、一組の男女を尾行する。その後、その尾行の報告をした敬太郎は、友人須永の恋の話を聞くことになる。前半は探偵小説のようなストーリー展開とテンポだが、後半の「須永の話」においては人間の深淵を突き詰める、哲学的、内面的なものと...

【ストーリー・構成】 敬太郎はある男についての偵察を依頼され、一組の男女を尾行する。その後、その尾行の報告をした敬太郎は、友人須永の恋の話を聞くことになる。前半は探偵小説のようなストーリー展開とテンポだが、後半の「須永の話」においては人間の深淵を突き詰める、哲学的、内面的なものとなっている。 【小説の背景】 「門」を書き、その後大病を患い、久しぶりに新聞に掲載することになった作品とあって漱石さんもハリきって執筆に取り掛かったよう。 しかし、この小説の前半部は漱石の弟子たちに痛烈に批判されている。小宮豊隆は敬太郎について「好奇心だけがでしゃばって、存在の意義を十分に発揮していない」と述べている。(確かに小説を読んでいると最もな意見だと思えるが、この前半部はそれはそれで面白いです) 【読書感・味わい】 前半はつらつら読めていたのに、後半部になるとスピードが落ちてページが進まなくなった。後半においては須永と千代子の関係が一向に進まず、だらだらとした須永の語りが非常にもどかしい!!!!!(笑)このもどかしさを楽しむことがこの小説の味わい方なのかもしれません。前半は単純にストーリーの展開を、後半部は恐れ、エゴ、自我などにがんじがらめになって行きつ戻りつする人間の微妙な心理を、ある意味で2つの要素を楽しめる作品かもしれません。

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2011/05/18

若い頃読んだときには須永に感情移入していたが、人生の後半に差し掛かった私の感想はこんなに自意識過剰でいられるであろうかという想いである。 その想いは、どっちに転んでも所詮は高が知れているという経験知からの諦めだろうか。 私が漱石を愛してやまないのは、漱石の提起する問題は時代を超え...

若い頃読んだときには須永に感情移入していたが、人生の後半に差し掛かった私の感想はこんなに自意識過剰でいられるであろうかという想いである。 その想いは、どっちに転んでも所詮は高が知れているという経験知からの諦めだろうか。 私が漱石を愛してやまないのは、漱石の提起する問題は時代を超えて普遍性を有しているからである。 そして、読む年齢に応じて様々な解釈を可能とする懐の深さがあるからである。

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2013/09/08

購入:2009/1/13 読了:2009/1/14 このくらいの文のリズムが好き。 お話の内容は、あんまり最初から先を考えることなく書いていったのかなぁ、と感じた。千代子と須永の話はすごく面白いけど。

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2011/01/31

千代ちゃんが島田髷を見せにくるあたりがたまらなかったが、敬太郎の探偵ごっこも好きである。 満足度7

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2011/01/27

読みやすい。非日常的なことに憧れる敬太郎と自分の中の感情に悩む須永、2人の心がとても巧みに描き出されている。特に須永の千代子への嫉妬の描写は素晴らしい。

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2011/01/26

物の真相は知らぬ内こそ知りたいものだが、いざ知ったとなると、却って知らぬが仏で済ましていた昔が羨ましくって、今の自分を後悔する場合も少なくはない 当たり前のことを言ってるのだけれど、漱石様に書かれると、 深いです・・・。

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2011/01/19

恐れる男と恐れない女。 須永と千代子の関係は、皮肉だとしか言いようがない。決して行動はしないのに嫉妬はする須永と、彼を卑怯だと思いながら時に弄ぶ千代子。うーん。 須永が恐れているものは千代子や周りからの期待なのでしょうか。彼が愛に一目散になれないのは他にも理由があるような…? ...

恐れる男と恐れない女。 須永と千代子の関係は、皮肉だとしか言いようがない。決して行動はしないのに嫉妬はする須永と、彼を卑怯だと思いながら時に弄ぶ千代子。うーん。 須永が恐れているものは千代子や周りからの期待なのでしょうか。彼が愛に一目散になれないのは他にも理由があるような…? 敬太郎の存在感の変化が面白かったです。彼はあくまで聞き役ということですね。

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2011/01/04

「恐れる男と恐れない女」という一文が印象的だった。 漱石文学の世界観を端的に表してると思う。 近代以降、いつになっても男は女を恐れるものなのです‥

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2010/10/15

新聞小説なので区切りが良く、読みやすい。また常に動きがあり、飽きさせない。草枕や虞美人草の風景描写が苦痛に感じる人はこれのほうが良いと思う。 そこで終わるか~!と思った。もっと書いて欲しかったけど、想像するのも楽しい。 須永と千代子の、近づいたら互いに傷つき、離れてもいられない...

新聞小説なので区切りが良く、読みやすい。また常に動きがあり、飽きさせない。草枕や虞美人草の風景描写が苦痛に感じる人はこれのほうが良いと思う。 そこで終わるか~!と思った。もっと書いて欲しかったけど、想像するのも楽しい。 須永と千代子の、近づいたら互いに傷つき、離れてもいられない関係・・・せつない。須永しっかり言えよー!と読みながら思ったが、そういう関係は理解できます。 ここまで作中の世界に入れる作品です。お勧めします。

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2010/09/07

再読。 夏目漱石が読みたくなって手に取った一冊。 漱石で想い深いのは、訳も分からず中一で手に取ったこころ。その後N先生に読めともう一度言われて読んだら、深くわかるようになってて成長を感じました。 この作品である文章。 「彼の太陽は生まれた時から曇っていた」 これは漱石自身の...

再読。 夏目漱石が読みたくなって手に取った一冊。 漱石で想い深いのは、訳も分からず中一で手に取ったこころ。その後N先生に読めともう一度言われて読んだら、深くわかるようになってて成長を感じました。 この作品である文章。 「彼の太陽は生まれた時から曇っていた」 これは漱石自身の過去から来ているけど、とても切なかった。 心の感情を細かく書いた作品で、漱石らしい文章で古典文学の素晴らしさに触れられました。 ぶ厚めだけど読みやすいし、何より読み終わった後の世界観がいいです。

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