山の音 の商品レビュー
「家」を舞台に繰り広…
「家」を舞台に繰り広げられる、なかなかコミカル、かつ真摯な物語。淡々とした日常の中に日本的感性の輝く、とても豊かな一冊。
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62歳の尾形信吾には…
62歳の尾形信吾には長年連れ添った妻・保子がいる。しかし彼は保子の亡くなった姉に思いを寄せていた。そんな彼女の面影を持つ息子の嫁・菊子に真吾は心を惹かれる。一方、菊子の夫であり自分の息子である修一は戦争未亡人・絹江と浮気をしているが、彼の秘密を知るのは信吾だけであった。そんな中、...
62歳の尾形信吾には長年連れ添った妻・保子がいる。しかし彼は保子の亡くなった姉に思いを寄せていた。そんな彼女の面影を持つ息子の嫁・菊子に真吾は心を惹かれる。一方、菊子の夫であり自分の息子である修一は戦争未亡人・絹江と浮気をしているが、彼の秘密を知るのは信吾だけであった。そんな中、信吾の娘で結婚したはずの房子が、二人の娘を連れて出戻ってきた。更に修一の浮気を知った菊子は妊娠した子供をおろしてしまうが、今度は絹江が修一の子を身ごもって・・・。このストーリー、昼メロ以上の修羅場です。
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なかなか、川端氏らし…
なかなか、川端氏らしい作品だと思いました。いわゆる不倫物です。
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何度か映画化もされま…
何度か映画化もされましたが、原作も情緒あふれる作品です。息子の嫁に執着する老父の複雑な心境など、家を中心に起こる様々な事柄が格調高い文体で描写されています。
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片思いをしていた妻の…
片思いをしていた妻の姉の面影を息子の嫁に重ね合わせる老人の物語。人間関係が複雑なドロドロの愛憎劇を淡々とした筆致で描く。
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露悪な人間の歪みを,自然と調和させることでうまいこと隠す。 自分には本作の美しさを堪能するだけの感性は無いが,'Bokklubben World Library'に選ばれるという世界的な評価の高さには納得。
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めちゃくちゃ面白かった。 信吾が菊子に肩入れしてしまうことに対して、信吾自身も自覚的なところがある。異性愛的に見ていい対象、関係じゃない相手のことを美しいとか可愛く感じてしまうって気持ち悪いけどすごく分かる。 良い文章だと思うし、「瞼の下あたりで〜笑った」という表現にすごく驚いた...
めちゃくちゃ面白かった。 信吾が菊子に肩入れしてしまうことに対して、信吾自身も自覚的なところがある。異性愛的に見ていい対象、関係じゃない相手のことを美しいとか可愛く感じてしまうって気持ち悪いけどすごく分かる。 良い文章だと思うし、「瞼の下あたりで〜笑った」という表現にすごく驚いた。笑うことを顔の一部分で表現しているのは初めて見た気がする
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川端康成のベスト作品とも評されているので、読んでみる。 自分は、「雪国」の方が好きだ。 「山の音」は想像していた以上に世俗的で読み易い。 (それが物足りなさになっている?) 時代背景、特に敗戦後の家族の在り方、社会のおける家族の価値観の変化、そのあたりがうまく表現されている。...
川端康成のベスト作品とも評されているので、読んでみる。 自分は、「雪国」の方が好きだ。 「山の音」は想像していた以上に世俗的で読み易い。 (それが物足りなさになっている?) 時代背景、特に敗戦後の家族の在り方、社会のおける家族の価値観の変化、そのあたりがうまく表現されている。 「雪国」でもそう感じたが、複数登場する女性のキャラクターは各々違うのだが、何れも違った強かさがあり、印象的。そして、これも「雪国」と同じなのだが、男性の存在感が薄い。主人公でさえも。(傍観的であり、弱さであり) 女性の強かさ、という意味では、主人公慎吾の妻、保子の存在感が最後まで気になった。 実は、全てを見通した上で、何も感じていないかのような会話? これが本当の強かさかもしれないと。
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解決が図られぬ実子の夫婦問題と、消えゆく火が思い出したようにときおり爆ぜて小さな炎をあげるような老人の恋情で、ずっとなにかが燻っている感じだった。 老いそして死が確実に押し寄せていることを、初老の信吾が山の音により予感しているのが不穏で印象的。茫漠としていて聞こえるようで聞こえ...
解決が図られぬ実子の夫婦問題と、消えゆく火が思い出したようにときおり爆ぜて小さな炎をあげるような老人の恋情で、ずっとなにかが燻っている感じだった。 老いそして死が確実に押し寄せていることを、初老の信吾が山の音により予感しているのが不穏で印象的。茫漠としていて聞こえるようで聞こえないこの山の音が、読んでいる間こちらにも届くようである。そしてこの山の音は、老人のはっきりしない頭や耳の様子を表しているようにも感じた。絵画のように愉しめるのは、鎌倉の家の佇まい、そして生命の盛衰をみている桜や八手などの花・樹木の情景描写であり、ことに日本的で美しい。 頓死した友人から不本意にも貰い受けた慈童の能面を、可愛がっている息子の妻・菊子につけさせ、その面のくちびるに惹き付けられる信吾の様子はなんとも狂気じみていた。信吾の息子が妻そして愛人をほぼ同時に孕ませるのも異常事態だ。どうしようもないクズ男に見えるこの息子は、戦争での自我の喪失のようなものに悩まされているのではないだろうか。この時代の葛藤や家制度による重苦しい出来事が淡々と綴られている。これが返って薄ら寒い。 解決しない日常は続く。ふと途切れる最後の場面。「からす瓜は重い」といったどうでもいい言葉を信吾は菊子に投げかける。しかしその声は届かない。
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川端康成とか読んどくか と思って借りた一冊。 昔の言葉遣いだから難しくあまり頭に入ってこないかな?と思いきやそんなことなく面白い。 流石の文豪だなあ 「家庭」を上手く書ききっている。
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