山の音 の商品レビュー
中産階級の日本の古い家庭の長である主人公の敬語が,死期が遠く近づいた音を聞いて,それが古い記憶の水たまりにぽちゃんと落ち,池の底に溜まっていた義姉への古い遠い憧れが水面に浮かび上がることで見えるようになった,菊子や英子を中心とした若い女性とのその関連が波紋のように広がっていく様は...
中産階級の日本の古い家庭の長である主人公の敬語が,死期が遠く近づいた音を聞いて,それが古い記憶の水たまりにぽちゃんと落ち,池の底に溜まっていた義姉への古い遠い憧れが水面に浮かび上がることで見えるようになった,菊子や英子を中心とした若い女性とのその関連が波紋のように広がっていく様は,きっと僕も肉体が年老いて,自分の老い先を嘆く頃には,それを感じる時が来るのでしょうかと,しみじみと読みました。 心の感じたことの襞というか,そいういったものがすごく丁寧に描写されていて、川端康成先生の他作品も読み進めてみたいと思う。
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日本初のノーベル文学賞作家、でも、恥ずかしながらきちんと読んだことがなかったのです。音、会話、登場人物の反応描写、風景描写と其れへの人の感じ方、さらに登場人物間の感じ方の差の描写。何らか表そうとする対象への表現方法のバリエーション、組み合わせの豊富さに驚きます。各章のタイトルも素...
日本初のノーベル文学賞作家、でも、恥ずかしながらきちんと読んだことがなかったのです。音、会話、登場人物の反応描写、風景描写と其れへの人の感じ方、さらに登場人物間の感じ方の差の描写。何らか表そうとする対象への表現方法のバリエーション、組み合わせの豊富さに驚きます。各章のタイトルも素敵です。小学生の時にこの本に感動したと言う方にお会いしたことを切掛に読みましたの。この内容に小学生で感動できたその方に、またそれがあり得そうな人でもあり、驚きます。
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・終戦後の壊れゆく家族の話。 ・た が多用されててすごく読みにくいし入ってこない。 ・1章一章が独立した短編の形でいろんな雑誌に断片的に発表されたもの。 ・主人公の尾形信吾はネクタイの結びかたを急に忘れたり女中の名前を、忘れたりしている老人。息子の嫁の菊子に昔の恋を重ね合わせもう...
・終戦後の壊れゆく家族の話。 ・た が多用されててすごく読みにくいし入ってこない。 ・1章一章が独立した短編の形でいろんな雑誌に断片的に発表されたもの。 ・主人公の尾形信吾はネクタイの結びかたを急に忘れたり女中の名前を、忘れたりしている老人。息子の嫁の菊子に昔の恋を重ね合わせもう想してる。菊子もまんざらでない。 ・題の山の音ってどんなんだろう。 ・読めるのか果てしない気がしてたがなんとか。読書会ありがたや。
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私は家族を持たない独身です。主人公が60ぐらいの孫を持つ男性なので、男性目線の嫁を想う行動や心情が新鮮でした。いやらしくもなく、情景たっぷりに描写されている文章が良かったです。昔の中流階級の二世帯家族がこんな事を考えていたのかと理解できました。普段ほとんど接触する事のないこの物語...
私は家族を持たない独身です。主人公が60ぐらいの孫を持つ男性なので、男性目線の嫁を想う行動や心情が新鮮でした。いやらしくもなく、情景たっぷりに描写されている文章が良かったです。昔の中流階級の二世帯家族がこんな事を考えていたのかと理解できました。普段ほとんど接触する事のないこの物語はフィクションですが、これからの私の人生の糧になります。 男性ってこんな繊細だったんですね…好きだった人を嫁に重ねて、不憫に想う姿は男性の他人に見せたくない恋心なのでしょう。はたから聞いたら気持ち悪いですが、それを感じさせない様に書いている所が川端康成らしいです。 ただ物語として、日常を描きすぎていて今の私には刺激が少ない様に感じました笑
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昭和のどこにでもある二世帯住居家族の物語。浮気、出戻りなどいろんな事件が起きる。老化を実感しはじめている60代の老主人はそれらにおろおろとしながら日々を過ごしていく。文体は淡々としているのですが、登場人物の細かな感情が、季節の風景や小物たちを絶妙に使いながら、見事に描かれているの...
昭和のどこにでもある二世帯住居家族の物語。浮気、出戻りなどいろんな事件が起きる。老化を実感しはじめている60代の老主人はそれらにおろおろとしながら日々を過ごしていく。文体は淡々としているのですが、登場人物の細かな感情が、季節の風景や小物たちを絶妙に使いながら、見事に描かれているのがすごいところ。さすがの文豪の名作。
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川端康成はどうも好きになれなくて。時代もあるかと思いますし、私の薄い読解もあると思いますが、どうも女性蔑視というか、男性目線がいやらしいというか、男上・女下にしか感じられなくて… 最後まで読んだ川端康成は、これが初めてで、やっぱり上記の気持ちを再確認した。ただ、戦後10年ぐらいの...
川端康成はどうも好きになれなくて。時代もあるかと思いますし、私の薄い読解もあると思いますが、どうも女性蔑視というか、男性目線がいやらしいというか、男上・女下にしか感じられなくて… 最後まで読んだ川端康成は、これが初めてで、やっぱり上記の気持ちを再確認した。ただ、戦後10年ぐらいの当時の世相を、冷静に著しているだけなのかもしれないが。 現代まで続く、日本の家族崩壊の始まりを、クールに叙事詩的に描いたという点は、まぁ良かった。
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老人が自己実現に奔走する話。後先無い死ぬだけの身でありながら、長年の未練を晴らすべく、程のいい正義をこしらえて義理の娘に愛を向ける。しかも家族は乱れすぎてて手もつけられない状況にあり、現実から逃げる意味合いもあったのかもしれない。例え老いようがやっぱり誰かに認められ、愛されたい。...
老人が自己実現に奔走する話。後先無い死ぬだけの身でありながら、長年の未練を晴らすべく、程のいい正義をこしらえて義理の娘に愛を向ける。しかも家族は乱れすぎてて手もつけられない状況にあり、現実から逃げる意味合いもあったのかもしれない。例え老いようがやっぱり誰かに認められ、愛されたい。そんなテーマに思えた。
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海外の小説ばかり読んでいたので、久しぶりに日本の小説をと思い、読み始めた。 明快で論理だてて語られることが多い海外の小説と比べて、この作品はとにかく、行間の妙、とでも言うべきか、風景や会話などを通して、人物の心情が巧みに、繊細に描かれている。決して直接的に語られることはないが、読...
海外の小説ばかり読んでいたので、久しぶりに日本の小説をと思い、読み始めた。 明快で論理だてて語られることが多い海外の小説と比べて、この作品はとにかく、行間の妙、とでも言うべきか、風景や会話などを通して、人物の心情が巧みに、繊細に描かれている。決して直接的に語られることはないが、読みながら場面をイメージすれば、すっと入ってくる。さすが川端、と言うのも憚れるぐらいの名作だと思う。
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老いを感じる今日この頃の主人公の心境が淡々とつづられている作品。 しかしまあ、息子は美人の妻を放っておいて浮気する、娘は出戻りで帰ってくるなど家族を巡る事件は多発。主人公にとっての癒しは息子の嫁。嫁を見ていると若かりし頃の初恋を思い出すのでしょう。 昔の家族の形ってこうなんだと感...
老いを感じる今日この頃の主人公の心境が淡々とつづられている作品。 しかしまあ、息子は美人の妻を放っておいて浮気する、娘は出戻りで帰ってくるなど家族を巡る事件は多発。主人公にとっての癒しは息子の嫁。嫁を見ていると若かりし頃の初恋を思い出すのでしょう。 昔の家族の形ってこうなんだと感じる一方で、それを鋭く描く川端康成がすごいと思う。
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川端康成の作品は初めて読んだけど、登場人物のなんとも言えない微妙な心情が読みやすい文章の中で表現されていてさすがだなと思った。
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