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夜歩く の商品レビュー

3.9

88件のお客様レビュー

  1. 5つ

    25

  2. 4つ

    28

  3. 3つ

    24

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    1

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2019/06/14

全てが後日譚や姉妹編、番外編という作品集なのですが、別に読んでいなかったとしても問題はないかと思います。幸いにも私はすべて読んでいたので読み始めからそれぞれの作品の雰囲気を想像することができましたが、読んでいなければ逆に驚きもあるかもしれません。最初の「赤いマント」はやたら怖かっ...

全てが後日譚や姉妹編、番外編という作品集なのですが、別に読んでいなかったとしても問題はないかと思います。幸いにも私はすべて読んでいたので読み始めからそれぞれの作品の雰囲気を想像することができましたが、読んでいなければ逆に驚きもあるかもしれません。最初の「赤いマント」はやたら怖かったですがなるほどの結末。雰囲気は「崩壊の前日」「蒼白い女」が好きです。でもやっぱりインパクトが強かったのは表題作。思わずラストまで読んでからもう一度読み返してしまいました。綾辻さんのこういう幻想的、怪奇的なものもやはりいいですね。

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2018/12/29

戦後すぐの猥雑な活気に満ちた社交界の雰囲気が伝わる。前半は読み進め辛いが、後半金田一氏が出て来てからは展開が速い。 大掛かりな仕掛けが中心なので、分かってしまえば言葉を尽くした陰惨さも恐怖を煽る表現も白々しく、何度も繰り返し楽しめるものではない。 ただ「しょげ返る」やら「おめかし...

戦後すぐの猥雑な活気に満ちた社交界の雰囲気が伝わる。前半は読み進め辛いが、後半金田一氏が出て来てからは展開が速い。 大掛かりな仕掛けが中心なので、分かってしまえば言葉を尽くした陰惨さも恐怖を煽る表現も白々しく、何度も繰り返し楽しめるものではない。 ただ「しょげ返る」やら「おめかし」やら昭和の物言いの不意に可愛らしいこと。現代の感覚からすると微笑ましく、作品の奇怪さ不気味さが少々和らいだ。

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2018/10/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

小谷野敦氏の読後レビューを発見! 小谷野敦2015年8月22日 『ひどミス』のレビューで勧められた(?)ので読んでみたが、なるほど一種の叙述トリックではあろう。 しかしまあ色々ごてごてと猟奇趣味で飾り立てて人物も例によってどたどた出てくるからげんなりしてしまう。 妖刀村正(なお「伊勢音頭」が出てくるところは、知らない読者のために注をつけたほうがよくはないか)だのくるの男二人だの、ちまちました時間トリックだの首のない死体だの体の傷痕だのまあごちゃごちゃした小説だ。 まあ『ロートレック荘事件』にヒントを与えたようなところだけが功とみて二点にしておこう。 しかし金田一耕助って全員死んでからしか解決できないのかい。 まず、上記の小谷野氏の言葉「しかし金田一耕助って全員死んでからしか解決できないのかい」というのは、直記が殺される前にきちんと解決しているので少なくとも今作品では当たっていません。 そして、ごちゃごちゃした猟奇趣味に辟易しているようですが、むしろ犯人目線で綴られた事実関係のミスリードこそ非難されるべき筋でしょう。 実際に小説後半近くまで、本当の犯人なのに直記を犯人だと疑い怖がる場面(P257,P269,P287)などはあざとすぎます。 とはいえ、こうした遺体交換トリックは島田荘司氏の名作「占星術殺人事件」への布石になっていると思われる点からも、もしこの作品において当該アイディアが初出だとすれば古典トリック発明者としてもっと評価されるべき作品なのかもしれませんね。

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2018/05/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

H30.05.13 読了。 『金田一』シリーズはやっぱり長編作品が良いよね、と思わせてくれる作品。 金田一耕助が登場してからの無双感、気持ち良いわー。 この終わり方もすごい。 決着のつけ方。 さすが天才だわ。 これでやっと『八つ墓村』が読める。 楽しみ。

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2018/04/16

完全に引っ掛かりました。やられた!って感じです。 ところで、“鬼首村”ってどっかで見たな。と思っていたら、7年ほど前に読んだ「悪魔の手毬唄」の舞台と同じ名前でした。時系列的には、「夜歩く」の方が先っぽいですが。地理が一致しない感じなので、名前が同じだけで違う村なのかな・・。と余...

完全に引っ掛かりました。やられた!って感じです。 ところで、“鬼首村”ってどっかで見たな。と思っていたら、7年ほど前に読んだ「悪魔の手毬唄」の舞台と同じ名前でした。時系列的には、「夜歩く」の方が先っぽいですが。地理が一致しない感じなので、名前が同じだけで違う村なのかな・・。と余計な事で気になった次第。

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2017/10/08

代々近親婚で傴僂などが生まれる古神家。その末裔に当たる仙谷家に招かれた、三流探偵小説家である屋代は、夜中に庭を徘徊する八千代さんを見かけたため着いて行ってみると、せむし男の首無し死体が…。 話の前半部分は東京の仙谷家、後半はお待ちかねの金田一耕助とともに、岡山の奥地にある古神家...

代々近親婚で傴僂などが生まれる古神家。その末裔に当たる仙谷家に招かれた、三流探偵小説家である屋代は、夜中に庭を徘徊する八千代さんを見かけたため着いて行ってみると、せむし男の首無し死体が…。 話の前半部分は東京の仙谷家、後半はお待ちかねの金田一耕助とともに、岡山の奥地にある古神家の話となる。 さて、ストーリーの方は前半部分はどうにもハチャメチャなもので、次から次へとトリックではないがネタを仕込んで事件が起こるという部分が多く、どれもこれもが怪しい。 鋭い人は、「ははーん、そういう方向ね」と気づいてしまうのも前半であろう。 後半もなっても、金田一が出ては来るものの、あまり活躍しない。というのも、一人邪魔な人がいるわけですよね。そして解決へ向かっていくわけですが、後半はあれこれ動くわけではなく、1つの事件だけを見せるように書かれるので読みやすい。 ネタバレにならないだろう程度に書いておくと、この小説で徹底的に書かれない、隠されているものは「動機」なわけです。これが功を奏しているのか失敗しているのかは読んでもらうしか無いわけです。ちなみに、タイトルはご存知「夢遊病」であるものの、ちょっとだけトリックにされる以外は、あまりにもダイナミックな使い方をされてしまって意表を突かれた。夢遊病の最中に殺人なんかあったら興ざめしてしまうわけだが、それはありません。 ハチャメチャな横溝かと、それが長辺で続くのかと危惧していたら、全てちゃんと繋がっていたのはちょっと感心してしまう作品だ。

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2017/04/19

小金井に佇む元華族古神家には 傴僂と夢遊病の因縁があった。 美しいこの家の娘が傴僂画家に 惚れたことを切っ掛けに、 この一族に裏に燻っていた 悍ましい憎悪が発露する。 人里離れた大きな屋敷、 謎の脅迫状、傴僂、夢遊病、 首無し死体。 語り手は探偵小説家。 これでもかと王道設...

小金井に佇む元華族古神家には 傴僂と夢遊病の因縁があった。 美しいこの家の娘が傴僂画家に 惚れたことを切っ掛けに、 この一族に裏に燻っていた 悍ましい憎悪が発露する。 人里離れた大きな屋敷、 謎の脅迫状、傴僂、夢遊病、 首無し死体。 語り手は探偵小説家。 これでもかと王道設定を 詰め込んだ作品。 金田一シリーズらしい怪奇的な 雰囲気もバッチリで、 これが面白くない筈がない。 最後まで王道を貫いた物語だが、 期待以上の読み応えだった。 犬神家や八つ墓村と比べると 知名度は低いが、 完成度は引けを取らない 大傑作だった。

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2016/12/07

三文作家の屋代寅太が事件を小説に仕立てているんだけれど、半分くらい読んでも金田一耕助が出てこないし、イライラしながらも面白くて引き込まれる。顔のない屍体は犯人を分からなくするけど、まさかこんな落ちとは!って感じでした。金田一耕助と相変わらずの磯川警部も登場して、舞台は東京から岡山...

三文作家の屋代寅太が事件を小説に仕立てているんだけれど、半分くらい読んでも金田一耕助が出てこないし、イライラしながらも面白くて引き込まれる。顔のない屍体は犯人を分からなくするけど、まさかこんな落ちとは!って感じでした。金田一耕助と相変わらずの磯川警部も登場して、舞台は東京から岡山に行くしこれぞ横溝正史。しかし、横溝正史は同じモチーフを何回も使うなぁとちょっと思った。犬神家の一族みたいな古神家の一族やし。そういうところはもしかすると笑ってもいいのかもしれない。

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2016/03/28

『ひとり横溝正史フェア』、今回はこちら「夜歩く」を読んでみました。 この作品は実は読んだことがありません。 今回の『ひとり横溝正史フェア』で横溝正史熱の上がった勢いで購入しました。 “われ、近く汝のもとに赴きて結婚せん”という奇妙な手紙と首から上の部分を切り落とされた写真が古神...

『ひとり横溝正史フェア』、今回はこちら「夜歩く」を読んでみました。 この作品は実は読んだことがありません。 今回の『ひとり横溝正史フェア』で横溝正史熱の上がった勢いで購入しました。 “われ、近く汝のもとに赴きて結婚せん”という奇妙な手紙と首から上の部分を切り落とされた写真が古神八千代のもとに届いた。 また、その三日後にキャバレーで画家狙撃事件が起きる。 知人である仙石直記に頼まれ古神家へ直記と共に向かう私。 こう始まり、私の手記というか小説のような形で物語は進む。 「八つ墓村」のときもそうだったが、本作でも金田一耕助が驚くほど出てこない。333ページの物語であるのに、180ページを過ぎるまで金田一耕助は全く登場しない。 あれ、これって金田一耕助シリーズだったよね、と途中で確認してしまうほどだ。 登場してからは最後までずっと出て、事件も解決するけれど、金田一耕助側の人間の目線で描かれていない形式の作品だと金田一耕助の存在は薄くなりがちになるらしい。 正直に言うと、かなり序盤で犯人の目星はついてしまう。トリックも想像がつく。 そして正解。 ただ、動機がわからない。 これは最後までわからなかった。 今回のラストは暗く哀しいものだった。 横溝正史の描く希望を窺えるラストは大抵わたしの好みではない。というのも、いつも金田一耕助の独断によるものだから。 金田一耕助が好意を感じれば、時に犯罪自体をなかったことにする。金田一耕助が好意を感じなければ、犯人が殺されるとわかっていても見過ごす。つまり、犯人の運命は金田一耕助に握られていることになる。それが気に入らないのである。 物語に〈佝僂〉という言葉があり、ルビが振ってないため最初読めず、文章から状況は何となく想像が出来、くら、くり、くる、くろ、ここらへんかなと推定して読書の友である愛用の辞書を引き、〈くる〉と判明。 横溝正史作品には戦後作品にはよく見られる、現代では使用を控える表現が多い。 そう考えると、良くも悪くも言葉は変わっていくのだと感じさせられる。 〈佝僂〉が読めないわたしの勉強不足ではあるけれど、ルビ振っておいてくれたらいいのに。まあ、こうやって辞書片手の読書というのもオツかなと思うことにする。 この作品でも横溝正史お気に入りの、美しいけれど心が健やかでなく空洞のような生気のない女性が登場している。 こういう女性は一作品にひとりは、ほぼ必ず登場する。 こういう女性が横溝正史作品を横溝正史作品たらしめているのかもしれない。 犯人はわかったけれど動機が解明出来なかったので、この勝負は金田一耕助の勝ち。 残念わたし。

Posted byブクログ

2016/02/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

おおう、叙述ミステリなのね。 差別用語満載なので、怒る人は怒るだろうけど、そのまま新版を出した角川の勇気に拍手。

Posted byブクログ