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悪魔が来りて笛を吹く の商品レビュー

4.1

118件のお客様レビュー

  1. 5つ

    36

  2. 4つ

    44

  3. 3つ

    26

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

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2022/05/07

中盤に場面が明石、淡路に移ったあたりから盛り上がってきて、怒涛の展開で一気に読んでしまいました。 終盤、人間関係が複雑で混乱したけど、細かい設定も凝っていてとてもおもしろかったです!

Posted byブクログ

2021/11/05

 1951(昭和26)年から1953(昭和28)年にかけて雑誌連載された作品。『本陣殺人事件』(1946)『獄門島』(1948)『八つ墓村』(1951)『犬神家の一族』(1951)に続く、戦後すぐの初期の金田一耕助ものの名作群に連なるもの。  こないだ比較的後年の『白と黒』(19...

 1951(昭和26)年から1953(昭和28)年にかけて雑誌連載された作品。『本陣殺人事件』(1946)『獄門島』(1948)『八つ墓村』(1951)『犬神家の一族』(1951)に続く、戦後すぐの初期の金田一耕助ものの名作群に連なるもの。  こないだ比較的後年の『白と黒』(1961)を読んだばかりなので、作風・書法の違いを比較しながら読んだ。『白と黒』では文体がユーモアも含んだちょっと軽い感じのものであった。これは戦後間もない頃の作風とかなり趣が異なっている。  比較的初期の横溝正史の作品世界は怪奇趣味、陰惨さへの好みに彩られているのが魅力的なのだが、60年代以降は薄まったのだろうか?  この『悪魔が来りて笛を吹く』は生首のようなものは出ないが、死んだはずの人間がちらちらと姿を現す点で、やはり怪異への傾斜をもつ。  この頃の金田一耕助ものの語り手がよくそうするように、冒頭で作品世界の陰惨さを規定されている。   「ほんとうをいうち、私はこの物語を書きたくないのだ。・・・これはあまりにも陰惨な事件であり、あまりにも呪いと憎しみにみちみちていて、・・・」(P.8)  この主調の気分を維持するために、描写は一定のベクトルを向いて連発される。 「・・・椿英輔氏の邸内で、あの血腥い最初の惨劇が発見されたのは、夏から秋へうつりかわる季節にありがちな、妙にうっとうしい、そうでなくても気が重くなるような、鉛色にくもった朝だった。」(P.103)  主調に従ってつらなっていく情景描写は、このように、ディテールに渡って自己組織化されていくのが分かる。この後も「無気味な」「異様な」などといった形容が続き、少々おおげさな描写も多く出てくるし、登場人物も鬱屈して何やらしきりに怒りを見せる。珍しく金田一耕助も何度か「憤り」に駆られている。  横溝正史は日頃絶えず推理小説のトリックのことばかり考えていたようだが、私はそんなに「トリック」には興味を持たない。物語を書き込む操作にあたって、小説素がどのように組織化されていくかに関心があり、その生成プロセスの明確さゆえに、横溝正史作品に惹き付けられている。ホラー的なものへの好みにおいても、この作品世界はエドガー・ポーを想起させるものがある。  本作は最後に解明される謎の内容が陰惨さの主調にぴったりとはまっており、全体が分かりやすい調性構造によってよくまとまっている。

Posted byブクログ

2021/10/16

 仕事が忙しかったりで読了に時間がかかった。恐ろしげな曲×殺人事件もクラシカルで良い。本筋の事件に直接関わりはないが、帝銀事件をモチーフにした事件も出てくる。  金田一耕助シリーズは4作目だが、相変わらず人がよく死ぬ。今作の犯行動機が1番胸糞悪かった。動機というか、動機となった出...

 仕事が忙しかったりで読了に時間がかかった。恐ろしげな曲×殺人事件もクラシカルで良い。本筋の事件に直接関わりはないが、帝銀事件をモチーフにした事件も出てくる。  金田一耕助シリーズは4作目だが、相変わらず人がよく死ぬ。今作の犯行動機が1番胸糞悪かった。動機というか、動機となった出来事が気持ち悪すぎる。最後になかなかの真実を暴いて、苦しい運命を受け入れろと迫る真犯人の残酷さは、その血をしっかり受け継いでいる。

Posted byブクログ

2021/10/09

斜陽の子爵家を舞台に起こる、いわゆる「館ものミステリー」を勝手に想像してたら、「館」感はかなり薄め。特に中盤以降はどんどん屋外に話が広がっていったのは、個人的に「館ミス」が好きなので残念だった。ストーリーもトリックも並レベルだと思った。

Posted byブクログ

2021/08/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

もちろん途中の話がつまらないとか冗長というわけでもないが、ラストで全部持っていかれる感じ 旧華族のドロドロした雰囲気に、さらにドロドロとした人間関係、そして色々なモノを巻き込み多くの人間の人生を狂わせたヤツらに対する報復… 簡単に割り切れるはずもないけど、これは「復讐劇」の話なんだな〜と思う。

Posted byブクログ

2021/07/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

まず、雰囲気がとても良い。 文章も、『本陣殺人事件』を読んだ時は読みにくいと感じだが、今ではとても読みやすく感じる。 密室トリックはあまり驚きはしないが、仏像の入れ替え、秋子が見た悪魔の正体、「a=x,b=xならばa=b」を用いた入れ替わり、などの小さなトリックは面白かった。 そして最終章で今度は別の方向から驚かされた。 あの曲に込められたメッセージ、そしてタイトルの意味...切なさをも感じさせるラストもとても良かった。 一点だけ文句を言うのならば、痣はおそらく遺伝はしないので、偶然だとしてもなぜ"偽"東太郎に父の利彦と同じ痣があったのかは一言説明が欲しいところではあるが、全体として見ればそんな些細なことは気にならない読者を引き込むプロットは素晴らしく、横溝作品の良さを感じられた。

Posted byブクログ

2021/07/04

再読。やっぱり何度読んでも面白い。キャラといい描写力といい読み易さといい横溝正史は最高だ。 最後、なんとも言えない哀愁が漂い、解決したけど、すっきりしたけど、なんとも言えない気持ちになる。 運命って皮肉だよね。

Posted byブクログ

2021/04/09

悪魔が来たりて笛を吹く 読了 金田一耕助シリーズ。 横溝正史作品は一族の人物がたくさん出てきて相関図がないと混乱してしまう。次から次に起こるおぞましい事件の数々を最後の最後にしっかり伏線回収してくれて腑に落ちる。 ドラマ化や映画化を何度もされてるだけの人気作。 伏線回収時にネット...

悪魔が来たりて笛を吹く 読了 金田一耕助シリーズ。 横溝正史作品は一族の人物がたくさん出てきて相関図がないと混乱してしまう。次から次に起こるおぞましい事件の数々を最後の最後にしっかり伏線回収してくれて腑に落ちる。 ドラマ化や映画化を何度もされてるだけの人気作。 伏線回収時にネットにある相関図を見るのをオススメ。

Posted byブクログ

2021/03/05
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前半少し飽き気味だったけど、半分くらいで話の展開があららっとなって、グイグイ読み終わりました。 最後の方は、あーそういうことかなーと少し予想できつつ、うげげ、な結末。 最初の方に、気持ち悪い結末だよーって予告してたけど、そういうことね、、そうだね、、というかんじ。

Posted byブクログ

2021/01/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

金田一耕助シリーズ、3作目。特に順番は決まってないとのことだから、当時出版された順に読み進めている。 悪魔が来りて笛を吹く、悪魔は誰なのか。死んだと思われた人物は生きているのか。世間に出せない悪魔のような秘密とは何か。 最後の最後までワクワクさせられる展開、特に最後の5ページぐらいはぞくっときた。 なぜこの題名なのか、最後まで読んだ人しか分からない。ここまでピタリとくる題名もそうそうないし、なるほどと思わされた。 令和の時代じゃなかなか書けない内容だけど、でも人間の本質は善ではなく、悪だと思う。そこに刺激を受けるし、楽しいと感じる。もちろん現実ではあり得ないけど、本の中でそれを追体験させることができる。これこそが読書の醍醐味ではないか。 いっとき、「バトルロワイヤル」が社会現象になった時も人が求めているからこそであり、今の抑圧された世の中じゃいつか限界が来るよう気がしてならない。 この本もいつまでも名作と言われ、邪悪を含んだありのままの言葉で後世に残ってほしいものだ。

Posted byブクログ