闇の守り人 の商品レビュー
『闇の守り人』は、バルサの人生で一番「泣ける」物語かもしれません。 この一冊を読み終えた瞬間、胸に突き刺さるような切なさと、じんわりとした温かさが広がります。無敵の用心棒バルサが、故郷カンバル王国で向き合うのは、亡き養父ジグロの「過去の呪い」という、最も重い宿命。 冷た...
『闇の守り人』は、バルサの人生で一番「泣ける」物語かもしれません。 この一冊を読み終えた瞬間、胸に突き刺さるような切なさと、じんわりとした温かさが広がります。無敵の用心棒バルサが、故郷カンバル王国で向き合うのは、亡き養父ジグロの「過去の呪い」という、最も重い宿命。 冷たい山脈で繰り広げられる世継ぎ殺しの陰謀の中、彼女がひたむきにジグロの魂を解放しようとする姿は、涙なしには読めません。この巻では、バルサの隠されてきた痛みや孤独、そして人としての深い優しさが深く描かれています。 これはファンタジーを超えた、魂の鎮魂歌です。私はこの作品でバルサを心から愛してしまいました。
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守り人シリーズの2作品目です。 バルサは生まれ故郷であるカンバル王国へやってきます。 そこは、育ての親であるジグロが幼いバルサを連れて去った地で、バルサにとっては見知らぬ土地になっています。その中で、土着の地底人や、各氏族の思惑などがただただ純粋に絡み合っていきます。 命の恩人...
守り人シリーズの2作品目です。 バルサは生まれ故郷であるカンバル王国へやってきます。 そこは、育ての親であるジグロが幼いバルサを連れて去った地で、バルサにとっては見知らぬ土地になっています。その中で、土着の地底人や、各氏族の思惑などがただただ純粋に絡み合っていきます。 命の恩人に秘密を守ることをお願いされても、それが氏族を守るためであれば、破るのも致し方なし、という合理性は、リアリティと言っていいのか分からない、シビアな世界であることを物語る要素だったように思います。 思いがけず、ルイシャを得てしまった兄妹をきっかけに、バルサは、自分を育ててくれたジグロの思いに気付くことができる、という巻でした。 自分という人間を認めてあげることはとても難しく、でも、バルサはそれを成し遂げることができた。それも、最初の目的であった復讐のような手段ではなく、ルイシャ贈りという、伝統的な儀式の結末として、それを成し遂げることができたわけです。 そのためのバルサのカンバル王国の旅を描いた本作ではありますが、最後にそんな風に収束していくとはなかなか予想もつかず、楽しい読書体験でした。
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再読です。 ジグロという男が、単なる懐の深い苦労人から生身の人間として浮き上がってくるようなお話だった。 以下ネタバレもりもりです。 ジグロだってね、聖人君子なんかじゃなくて、「バルサさえいなければ」と思ったこともたくさんあったんだなって…。カルナにバルサのことを頼まれなけ...
再読です。 ジグロという男が、単なる懐の深い苦労人から生身の人間として浮き上がってくるようなお話だった。 以下ネタバレもりもりです。 ジグロだってね、聖人君子なんかじゃなくて、「バルサさえいなければ」と思ったこともたくさんあったんだなって…。カルナにバルサのことを頼まれなければ…そもそもログサムが卑怯なことを考えなければ…挙げればキリがないけれど、とにかくに運命に翻弄されてる人生だった。 まるで悪役のような立ち位置だけれどユグロだってある意味被害者だよね。ある日突然優秀な兄が出奔したと思ったら王に「死か陰謀に加担するか」と迫られる。しかも自分をつらい立場に追い込んでいる嫌いな兄を悪者にするという計画。もう、選択肢なくない!? そして何よりも前巻のチャグムとのことがあったからこそバルサは里帰りしようと思ったんだよね。旅の中でもうタンダに会えないかもとかうっすら考えるシーンも切ない。
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面白い!夢中になって読めてしまう。良い長編映画のファンタジーを見たような興奮を味わえる 前作と繋がりながら、バルサの故郷での過去との対峙。ネタばれになるので書けないが、苦悩や葛藤が描かれて、子供向けとは言い難い、オトナが楽しめるファンタジーである
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
バルサが故郷のカンバルに帰った時に起きた出来事。 冒頭から1/3くらいは物語設定の説明的なところがありちょっとダルいが、バルサが一度捕まって物語が動き始めたところからは非常に面白い。
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めちゃくちゃ面白かった! 国造り神話と伝統神事とその裏にあるファンタジックな真実。 25年間かけてこじれた因縁との対決。 洞窟の冒険。 (私は洞窟の冒険が大好物) 真っ直ぐで利発な子供たちの活躍。 巧妙で残酷な陰謀の成功と、勧善懲悪な顛末。 よくこんな話を思いついたな〜!! あと...
めちゃくちゃ面白かった! 国造り神話と伝統神事とその裏にあるファンタジックな真実。 25年間かけてこじれた因縁との対決。 洞窟の冒険。 (私は洞窟の冒険が大好物) 真っ直ぐで利発な子供たちの活躍。 巧妙で残酷な陰謀の成功と、勧善懲悪な顛末。 よくこんな話を思いついたな〜!! あとがきの執筆秘話から、イメージの中に洞窟が見えた瞬間、物語全体の骨格がいっぺんに立ち上がってきた、とのこと。 すごいな〜。 物語そのものが、不思議な力によって、『降りてきた』『顕れた』のかもしれない。 バルサの、傷つくことを恐れず深い闇と対峙し切り開く姿勢に、また勇気をもらった。
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それぞれの人物像が情景描写もしっかり描かれているから、物語に入り込める。すごく良かった。ファンタジーのおもしろさを教えてくれる。
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期待通り!面白かった! 「闇の守り人」というタイトルこそついているけれど、これはもうバルサの物語だな!というかんじ。 そして、前作同様、闘いのシーンやルイシャ贈りの儀式の場面などは臨場感があり物語の世界に引き込まれた。
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バルサとカンバル王国との確執をめぐる話。 父が殺されることになった陰謀や、カンバル王国の秘密の慣習であるルイシャ送りの儀式の真相が明らかにされる過程はドキドキした。
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精霊の守り人でもクライマックスは目がうるうるでしたが、今作はさらに涙、涙。ファンタジー離れして久しい大人をも泣かせてしまう、この物語の力。しかし涙誘われる最大の要因は、どこまでも魅力的な、その幸せを願わずにいられない善きキャラクターたちの存在によるところが大きいのでした。もう、こ...
精霊の守り人でもクライマックスは目がうるうるでしたが、今作はさらに涙、涙。ファンタジー離れして久しい大人をも泣かせてしまう、この物語の力。しかし涙誘われる最大の要因は、どこまでも魅力的な、その幸せを願わずにいられない善きキャラクターたちの存在によるところが大きいのでした。もう、こんなに惹きつけられて、シリーズ最終作を読むのが今から怖い……。
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