ハゴロモ の商品レビュー
とても癒されました。それでいて、力強く背中を押してくれた、弱っているときにはたまらない。 愛情という拠り所を失った若い女性が都会から故郷へ帰ってくる。そこにも、大切な人と一生の別れをした人がいたり、癖のある人との出会いもあった。人の辛さに寄り添いながら、自分も傷を癒し成長してゆく...
とても癒されました。それでいて、力強く背中を押してくれた、弱っているときにはたまらない。 愛情という拠り所を失った若い女性が都会から故郷へ帰ってくる。そこにも、大切な人と一生の別れをした人がいたり、癖のある人との出会いもあった。人の辛さに寄り添いながら、自分も傷を癒し成長してゆく。 繊細で、綺麗な文章は苦しんでいる人をそっと肯定し、時にシビアな言葉ではっと気づかされる瞬間がある。 住んでいる場所。小さな町の大きな川、土手、川の水の流れ。自分の周りにある風景に、知らず知らずのうちにエネルギーをもらっていたのだと感謝する気持ちにもなった。これから川の水の音を聞いてみようと思う。 弱っているときは、そのままの姿を見せればいい。無理をしてなんでもないって顔をしたら、一生どこかが固いままになってしまう。時間がかかっても大丈夫。 人の意図しない優しさ、さりげない言葉の数々は羽衣。 みつるくんがやっているインスタントラーメン屋さん。 私は、あのラーメンは「塩」だ。
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みつる君のお母さんの"絶対に無理をしない"という言葉。自分の後悔や悲しみを真正面から見つめ、十分なダメージを受け止める。そして回復の時間と機会をただ待つ。 周りからの"大丈夫?""調子どう?""これからどうする...
みつる君のお母さんの"絶対に無理をしない"という言葉。自分の後悔や悲しみを真正面から見つめ、十分なダメージを受け止める。そして回復の時間と機会をただ待つ。 周りからの"大丈夫?""調子どう?""これからどうするの?"って、回復を急かしてるだけなんだと改めて思う。ただ待つ、時の流れに身を任せる、その強さを持つことを、この人生の目標にしたいと思わせてくれた。
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「特に目指す道があるわけでもなく、なんだか流されてる人生だなぁ。このままでいいのかなぁ。」と焦る気持ちに「それでも良いんじゃない?」っとそっと寄り添ってくれるような小説。テレビや携帯を見るのではなく、川の音や風を感じて外を歩きたくなる。 1ページの文字数は少なく、サクサクと読み進...
「特に目指す道があるわけでもなく、なんだか流されてる人生だなぁ。このままでいいのかなぁ。」と焦る気持ちに「それでも良いんじゃない?」っとそっと寄り添ってくれるような小説。テレビや携帯を見るのではなく、川の音や風を感じて外を歩きたくなる。 1ページの文字数は少なく、サクサクと読み進めれる。読者が苦手な人でも読みやすいと思う。
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※このレビューにはネタバレを含みます
長さというものは、それ自体がひとつの生命を持つような感じで、いつのまにか思わぬ大きさにふくれあがっている。 そして本当の別れというのは、縁がぶちっと切れるということは、死よりもよっぽど死に近いことなのだ、とさとった。 人の、感じる心の芯のところは、決して変わることがないようだ。 「同じような気持ちでそばにいるだけで、語り合う言葉がないほうがかえって通じ合えるということのすばらしさを私はその歳にしてもう知っていたみたい。」 人の、意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った。 人間は、絶対に無理をしてはいけない 「そういうのが最高なんじゃないのか?自然に、川のように流れて、あるところにいつのまについてしまうっていうのが。」 その遺していく力の重みこそが、きっと人間が唯一このどうしようもなくたまらない世界の中に置いていける何かなのよ。
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人間は、絶対に無理をしてはいけない。 なんだか、心が疲れているなら、 ゆっくり回復していけばいいね。
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18の時から8年も続いていた愛人生活が終わった。 愛人とともに過ごした部屋にいることが辛くなりほたるは実家に帰る。そこでの温かい生活により自分自身を取り戻していく。 失恋から死に近い世界にいること、気づかないうちに人は死に近づいてしまうものなのかもしれない。それをどうやって振り払...
18の時から8年も続いていた愛人生活が終わった。 愛人とともに過ごした部屋にいることが辛くなりほたるは実家に帰る。そこでの温かい生活により自分自身を取り戻していく。 失恋から死に近い世界にいること、気づかないうちに人は死に近づいてしまうものなのかもしれない。それをどうやって振り払って現実に帰ってくる。落ちる時とことん落ちるのはいいけどちゃんと這い上がってこなきゃいけない。死んだように生きることは簡単だけどそれじゃ透けていってしまう。透けていくとどんどん死と同居していずれ死んでしまうのかなって思った。 「まわりにはあなたを本当に思う人だけを、置いてね。世の中には利用するっていう気持ちがなくてもいつのまにか人を利用してしまう人がたくさんいるからね。そして、どんなに夢中になれる人が出てきても、それだけに自分の時間全てを使わないで。」 「だって、あの朝に運命はわかれてしまったんだもの。後を追っても、もう、追いつかないわ。」 時間をかけて、自分がちゃんと流れ着くようなところへ行こう
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強いメッセージがあるわけでも、ポジティブな感情を誘うでもなく、ただ焦らせないところが、この本のすごくいいところで人を救ってるところな気がした。手元に置いときたい本。よかったなああ
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何か辛いことがあった時、また読み返したい。流されてもいいよ〜と思える本。 「人も幽霊も同じだよ。こちらの思い入れで接すると、必ず痛い目に合う。〜でも、それをしっかりとふまえた上で背筋を正して接していれば、何かわかりあえるものがある。ただただきれいな話には、必ず落ち度があるも...
何か辛いことがあった時、また読み返したい。流されてもいいよ〜と思える本。 「人も幽霊も同じだよ。こちらの思い入れで接すると、必ず痛い目に合う。〜でも、それをしっかりとふまえた上で背筋を正して接していれば、何かわかりあえるものがある。ただただきれいな話には、必ず落ち度があるものだと思う。」p55 「人間は、絶対に無理をしてはいけない。無理が全ての悪いことを生み出すんだって、」p153 ☆「そういうのが最高なんじゃないのか?自然に、川のように流れて、あるところにいつのまについてしまうっていうのが。」p163
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よしもとばななさんの小説に出てくる食べ物は本当にリアルでお腹がすきます。本作ではやっぱりラーメン!それも、サッポロ一番塩・味噌のミックスで!どんな味なんでしょうか、塩は味噌に負けないのでしょうか、それとも隠し味の旨味になるのかしら‥。主人公たちが腹をすえて踏ん張ろうとする時出て...
よしもとばななさんの小説に出てくる食べ物は本当にリアルでお腹がすきます。本作ではやっぱりラーメン!それも、サッポロ一番塩・味噌のミックスで!どんな味なんでしょうか、塩は味噌に負けないのでしょうか、それとも隠し味の旨味になるのかしら‥。主人公たちが腹をすえて踏ん張ろうとする時出てくるそれらの食べ物はこれからまさに彼らの血肉、エネルギーになるんだという感じがして心底おいしそうに見えます。 それによしもと作品で憧れるのは夜に行動をするところ。思い立ったまま足のむくまま引かれる方へなんてロマンチックでいつかわたしもと思わずにいられません。 「自分は何も変わっていないのに、いろいろなことが起こった。しかも全てが自分らしさの中で普通に起こってきた。」 よしもと作品では主人公たちがなかなか運命的なスピリチュアルな出会いの連鎖を繰り返しますが、たしかにどれも普通です。例えば少女ドラマのような私にはありえない!がなくて、起こっていることはありえなくてももっとストンと「こうなるようになっていたんだな」と納得できるような自然さです。その些細なことで世界はいくらでも変わるんだよ、というかんじがご本人が仰っているように「どうにもほっとできない気持ちの中にいる人」の回復薬になるのだと思いました。
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時間が心を癒してくれるを形にした小説。 川が一つのモチーフとして、描かれていたけど、 本当にゆったりと雄大に流れていく水のように、 主人公のこころが癒されて、そして立ち上がっていく様子が素敵だった。
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