小さき者へ の商品レビュー
著者のあとがきにもありますが、どれも「解決しなさかげん」が際立つものです。だから、すっきりはしません。 でも、そこまでの心の動きが丁寧に描かれているため、弱かった糸が少しずつ太くなるように、「大丈夫かも」と思えました。 表題作の『小さき者へ』は、その最たるものです。 お父さんが...
著者のあとがきにもありますが、どれも「解決しなさかげん」が際立つものです。だから、すっきりはしません。 でも、そこまでの心の動きが丁寧に描かれているため、弱かった糸が少しずつ太くなるように、「大丈夫かも」と思えました。 表題作の『小さき者へ』は、その最たるものです。 お父さんが、息子へ手紙を書くのですが、ずっとパソコンに向かって書いていて、息子へは渡しません。 その手紙は、ビートルズのレコードをきっかけに、自分と父親との関係を語っています。 不器用な自分と不器用な父親が、ふと通じた瞬間がなんとも言えません。 一番好きだったのは、高校生の娘目線の、『団旗はためくもとに』。 元応援団長だった父親は、ちょっと見ヤクザ授業参観に来てくれるのはいいけど、その格好は…!? 高校中退を考えている娘と、その父親との関係が描かれています。 そこに、お母さんのちょっとしたスパイスが利いています。 駅の改札、河原や雨の庭でエールをきるお父さん。真っすぐなお父さんが素敵です。 最後のシーンは、涙があふれてきます。
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最初の『海まで』はかなり衝撃的やった。 おばあちゃんに嫌われる孫の話ってあんまりないもんなぁ。 痛い話やけど引き込まれたので、期待して読み進めると その他はそんなに気に入った話はなかった。
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上り坂にしても下り坂にしても、僕たちはいつも傾斜の上に立っている。 傾きの上に立って、自分でバランスを調節して「平気だよ」って顔をしてる。 でもそれができなくなったとき、どうすればいいんだろう? 本の向こう側から、こっちに話しかけてくる。 「かっこわるくないさ」...
上り坂にしても下り坂にしても、僕たちはいつも傾斜の上に立っている。 傾きの上に立って、自分でバランスを調節して「平気だよ」って顔をしてる。 でもそれができなくなったとき、どうすればいいんだろう? 本の向こう側から、こっちに話しかけてくる。 「かっこわるくないさ」 「こけちゃったって平気だよ」 「僕たちだって同じ」 それだってアリなんだ。 いいじゃん、また、立ち上がればいい。 6篇あるけれども、「団旗はためくもとに」という元応援団長と、その父を持つ娘を娘の目線から描く物語がお薦めです。 幸せで、泣き笑いします。 すっきりしないけど、それが人間らしくていい。
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重松清さんの小さき者へ 本作は家族と父親とのお話が6作品入っていました。 子供が引きこもって悩む両親 おばあちゃんからいじめられて精神的に苦しんでる子供 両親が離婚してしまって悩み苦しむ子供達 仕事が倒産してしまい路頭に迷う家族 娘思いのお父さん 野球少年と出会うお父さん・...
重松清さんの小さき者へ 本作は家族と父親とのお話が6作品入っていました。 子供が引きこもって悩む両親 おばあちゃんからいじめられて精神的に苦しんでる子供 両親が離婚してしまって悩み苦しむ子供達 仕事が倒産してしまい路頭に迷う家族 娘思いのお父さん 野球少年と出会うお父さん・・・ どの話も目線は親だったり子供だったりバラバラだったんですが、胸を打つような話ばかりでした。 最後の重松さんのコメントにもあるように、本作は解決しなさかげんが際立つ6作品だったよう。 残念ながらどの作品も完璧な解決に至る事は無く話が終わってしまうんですが、しかしながらきちんと迷った末に一歩を踏み出すまではかかれています。 その一歩が本当に大事で、私は本書を読み終わって6家族の一歩を見届けた思いです。 どの作品も家族が一生懸命一つになって問題解決していくさまが胸打たれました。 短編であるのに、1作品の重みはすごくて、一冊読みおわった時には何冊も読み終わったような気持ちでした。 そして大人目線と子供目線の作品が入り混じっていたからこそ、気持ちを切り替えながら次の作品に行きやすかったと思います。 子供目線の作品はさすが重松さん。 半パンデイズでの感動が蘇ってきました。
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気持ち的には限りなく星4つに近い、『星3つ』です。お父さんから見た家族のお話が6つ、詰まっています。1話110円!!お買い得です(笑) 一番気に入った物語は4話目の『団旗はためく下に』。押忍を連発するお父さんは学生時代、応援団の団長だった。そんなお父さんに応援される美奈子が羨ま...
気持ち的には限りなく星4つに近い、『星3つ』です。お父さんから見た家族のお話が6つ、詰まっています。1話110円!!お買い得です(笑) 一番気に入った物語は4話目の『団旗はためく下に』。押忍を連発するお父さんは学生時代、応援団の団長だった。そんなお父さんに応援される美奈子が羨ましい! 『三月行進曲』は野球の話で野球好きの私にとっては面白がった。最初はわがままなだけと思っていたジュンも、実は意地っ張りで自分の気持ちをただ素直に言えないだけなんだ、と分かってから『実は損な性格』なんだよね〜と思う。 タイトルと同名の『小さき者へ』は、どんどん不良になる息子と, どうやって会話をしていいか分からない父親が、パソコンに手紙を書き続ける話し。内容が暗くて、読むほどに凹んでしまいました。 『海まで』に登場する、大人しくて口数の少ないカズキが、おばあちゃんの膝を一生懸命さする場面は泣けました。言葉より行動がどれほど人の心を動かすか分かるシーンだと思います。 読んでいて私は広島に住んでいたことがあるので分かったのですが、殆どの舞台(または主人公の出身)が広島です。はっきりと『広島』と地名がてでくるのは『青あざのトナカイ』だけですが、方言が広島弁なので分かりました。おそらく作者の重松さんが広島出身なんでしょうね。そして野球は巨人のファン。やっちゃってますね、広島で巨人ファンだなんて、この作者さんは学校に通っている頃はさぞかしカープファンとの口喧嘩が絶えなかったことでしょう。 おっと、話がそれましたが、最初にも書いた『三月行進曲』は心を素直にできない子供たちが甲子園の開会式で、ちょっぴり大人になる物語。爽やかな、甲子園の風が私の心にも吹き込んで来た気がしました。野球ファンの方は、このお話だけでも読んでほしいなと思いました。
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ブックオフ。 父親のありかたについて考えさせられる本だった。 不器用でかっこ悪くてもいいから、子どもにはずっとエールを送ってあげられる存在でありたい。
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(「BOOK」データベースより) お父さんが初めてビートルズを聴いたのは、今のおまえと同じ歳―十四歳、中学二年生の時だった。いつも爪を噛み、顔はにきびだらけで、わかったふりをするおとなが許せなかった。どうしてそれを忘れていたのだろう。お父さんがやるべきこと、やってはならないことの...
(「BOOK」データベースより) お父さんが初めてビートルズを聴いたのは、今のおまえと同じ歳―十四歳、中学二年生の時だった。いつも爪を噛み、顔はにきびだらけで、わかったふりをするおとなが許せなかった。どうしてそれを忘れていたのだろう。お父さんがやるべきこと、やってはならないことの答えは、こんなに身近にあったのに…心を閉ざした息子に語りかける表題作ほか、「家族」と「父親」を問う全六篇。
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大きな壁にぶつかり、どうしたらよいものか、と戸惑い迷う。そのような事態に直面している人たちを応援してくれるような物語。次からの一歩を踏み出してみようかな、という思いを後押ししてくれるような、言葉の数々。凄く優しい物語。”押忍の心”が、身に染みました。 (2007年8月読了)
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先日読んだ、『噛みきれない想い』の中で触れられていたので、 手に取った本。 重松清さんの本は、久しぶりでした。 6つの短編があり、 登場人物それぞれが、戸惑い、迷う中、 それを見守る温かい眼差しもあって、 いろんな気持ちを持ちながら読みました。 「団旗はためく...
先日読んだ、『噛みきれない想い』の中で触れられていたので、 手に取った本。 重松清さんの本は、久しぶりでした。 6つの短編があり、 登場人物それぞれが、戸惑い、迷う中、 それを見守る温かい眼差しもあって、 いろんな気持ちを持ちながら読みました。 「団旗はためくもとに」が特に印象的でした。
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相変わらず読書って感じがしないでおなじみの重松清。 いつもおもうのだけど、この人の小説で「この言葉回しすきだ」ってのがでてこないのだけども、なんでか嫌いじゃないし、なにか心にのこる箇所がひとつはでてくる。不思議だなー。今回は最後の話が、分岐点のくだりが、こころにのこる。
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