僕たちの戦争 の商品レビュー
根拠なしのポジティブって、結局は無知が故の勝利ってことかしらん、といじわるく思ったりして。 あまりにも狭い世界の中で人間関係が上手く繋がりすぎてるような気もするけど、こういうのは嫌いじゃない。 でもミナミのお腹の子のお父さんって吾一でしょう。上手く入れ替われたとして万事丸く収まる...
根拠なしのポジティブって、結局は無知が故の勝利ってことかしらん、といじわるく思ったりして。 あまりにも狭い世界の中で人間関係が上手く繋がりすぎてるような気もするけど、こういうのは嫌いじゃない。 でもミナミのお腹の子のお父さんって吾一でしょう。上手く入れ替われたとして万事丸く収まるのかな、ムリでしょう、と思ったり、いやあんな体験のあとだから案外、とか思ったり。 それにしても健太より吾一の方が切なく感じるのは、なんでだろ。
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この本、大好き! 荻原浩さんファンだけど、彼の本の中で一番好き。 お話は、2001年に生きるフリーター、健太と、昭和19年に生きる兵役中の軍人、吾一がタイムスリップして入れ替わるという物語。 2001年は9,11があった年。食糧、情報、光、モノ、生きる選択肢が溢れる時代。 昭...
この本、大好き! 荻原浩さんファンだけど、彼の本の中で一番好き。 お話は、2001年に生きるフリーター、健太と、昭和19年に生きる兵役中の軍人、吾一がタイムスリップして入れ替わるという物語。 2001年は9,11があった年。食糧、情報、光、モノ、生きる選択肢が溢れる時代。 昭和19年は太平洋戦争真っ只中。食糧、モノは不足し、情報・生きる選択肢が限られている時代。 2人の容姿が同じなため、健太は吾一、吾一は健太に間違われそれぞれ迷いこんでしまった時代で、元の時代に戻るまでなんとか生き延びようとする。 その中で2人が直面する戸惑い、葛藤、やるせなさ、恋心。 吾一が2001年の発展についていけなくて考えることや行動にぷぷっと笑ったり、健太が戦争と、死と直面して抱く想いに共感して憤ったり、2人の恋に心が温まったり。 人間の心は、どんな時代でも変わらない。 戦争がいくら人の行動を制限したとしても、 考え方を扇動したとしても。 人を求めて、守ろうとして、自分が強くなっていく。 戦争のむごさに憤る中で、一人ひとりの生き様の強さに感動する作品。 心をまっすぐにしたいときにオススメ。
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面白いんだけどドラマ版を先に視聴していたせいで ちょっと緊張感に欠けた。 あと性描写が男性作家特有の生々しさが目立ったので もうちょっとそこのところ繊細に執筆して欲しかったかも。
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荻原さんだから面白いだろうって読んだら、確かに面白いだけど、こんな時代が本当にあったんだよなぁ。 こんな風に死ぬのってどんな気持ちなのかな。
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ややSFチックで、歴史ものとも言える、しかしこれは人間ドラマだろう。 ラブストーリーでもあるが。 つまり、人間ドラマを描く上で大事な要素が全て内包されている、という事かもしれない。 戦争ものとしてはドロドロと暗くなく、コミカルなタッチで描かれているが、その内容は心の底に迫って...
ややSFチックで、歴史ものとも言える、しかしこれは人間ドラマだろう。 ラブストーリーでもあるが。 つまり、人間ドラマを描く上で大事な要素が全て内包されている、という事かもしれない。 戦争ものとしてはドロドロと暗くなく、コミカルなタッチで描かれているが、その内容は心の底に迫ってきて突き刺さって来る。世代間の違い、戦争体験者と非体験者、その二人の葛藤や戸惑いや、怒りや嘆きや、愛情やら、まあそんなものが色々と入り乱れて描かれている。 読後、ああこりゃあ自分らの世代もしっかりせにゃあいかんわ、繋がっているんだなあ・・・と思わせる。良作。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ラスト10ページに目が離せなくなる。 一見重くなりがちな「戦争物」が、著者の随所に散りばめられたユーモアで随分と読みやすくなっていた。 読み終わった瞬間は思わず「どっちだ!?」と叫びたくなった。ものすごく気になる終わり方。こういうラストもアリだと思うけどね。 私的には入れ代われたと、思ってる。 でもミナミが真実を告げていたら、吾一は海に入らなかったんじゃないかな。そしたらまたラストも違ってた? というかミナミには、吾一が健太じゃないって事を見抜いて欲しかった。愛があっても、それは難しいもの? 「ミナミ、三十七年後に生まれてくるミナミ、見てろよ。野球も、バイトも、ゲームクリエーターの夢も、いつだって俺は中途半端な男だったけど、今度だけは、ぜったいうまくやってみせるから。いつか誰にもまねのできないすごいことをする―いま、その約束を果たすよ。」
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●軍国少年とイマドキ若者、おれがあいつであいつがおれで 平成日本のフリーターと、大東亜戦争末期の少年飛行兵が入れ替わり、 それぞれの時代でサバイバルを強いられる――タイムスリップ入れ替わりものである。 (今後、日本が戦争をするなら) 「1941年から45年にかけてと同様、獰猛...
●軍国少年とイマドキ若者、おれがあいつであいつがおれで 平成日本のフリーターと、大東亜戦争末期の少年飛行兵が入れ替わり、 それぞれの時代でサバイバルを強いられる――タイムスリップ入れ替わりものである。 (今後、日本が戦争をするなら) 「1941年から45年にかけてと同様、獰猛に戦うと信じている」 と、リー・クアンユーは言ったが、平成日本人に戦争がホントにできんの? という問いへの一つの回答が本作とも言えるだろう。 皇軍の強さは、常に死地を意識して戦う狂信性に由来した。 南方での通信兵に至っては、海岸に電柱になるものがなかったら、 弾が飛び交う戦闘中にもかかわらず、自ら電線を握って電柱となって直立したという。 天皇を家父長に抱く国家意識から外れることは、村八分ならぬ国八分に。 だからこそ、バンザイ突撃や投降を拒んでの自決、神風特攻が成立し得たのではないか。 しかし、そんな家族的国家観の根っこに、愛郷心があったとしたら、そして、その集合的無意識が平成日本人にも通底しているとしたら。 本作ラストで示される主人公の行動にも得心がいくだろう。
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歴史とか戦争とか分からないけど平和な今でよかった。 戦争なんてぜったいあってはならない!と自分なりに思った作品。
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戦争小説……というには読みやすい。この人独特のユーモア健在。それぞれ「異界」に放り込まれた二人の戸惑うさまには、ついつい笑ってしまう。でもけっして軽々しいばかりではないんだよなあ。それぞれ環境に適応しようとする様、特に健太は案外と骨があったのね、と感心したり。 ラストは「結局どっ...
戦争小説……というには読みやすい。この人独特のユーモア健在。それぞれ「異界」に放り込まれた二人の戸惑うさまには、ついつい笑ってしまう。でもけっして軽々しいばかりではないんだよなあ。それぞれ環境に適応しようとする様、特に健太は案外と骨があったのね、と感心したり。 ラストは「結局どっちなんだよ~」と、言っちゃいけないことは分かっていますが。気になるよなあ。いったいどうなったんだろ。どちらにせよやりきれない部分が残るなあ。後味は悪くもないのだけれど。
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タイムスリップ&2人の心身が入れ替わる、よくありそうな話。しかも都合良く、21世紀の自らに連なる人々と終戦直前の時代で出会う。一見陳腐な流れなのだが、時代を超えた情念が各所で鮮やかに接続する。
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