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キャッチャー・イン・ザ・ライ の商品レビュー

3.7

369件のお客様レビュー

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2024/05/02

この一冊が青少年小説の金字塔と言われる所以を、ようやく知ることができた。 いつも思い出すのは山田詠美先生の「私は同時代性を信じていない」という言葉。10代に読めていればと思う反面、当時の私では何も理解できなかっただろう。 思えば私は「物分かりのいい子供」だった。疑問を持たず、...

この一冊が青少年小説の金字塔と言われる所以を、ようやく知ることができた。 いつも思い出すのは山田詠美先生の「私は同時代性を信じていない」という言葉。10代に読めていればと思う反面、当時の私では何も理解できなかっただろう。 思えば私は「物分かりのいい子供」だった。疑問を持たず、周囲の望む規範通りに育つ子。 ならば世の矛盾の前に立ち止まり、思考を羽ばたかせてしまうホールデンは「物分かりの悪い子供」なんだろうか? その間にも世界は回り続け、彼をどんどんアウトサイドへと押しやっていく。それは本当に「正しい」ことなのか? 何もかも嫌いというわけではないんだと、落ちていきそうになる子たちを拾い上げるような者になりたいのだと、駄々っ子のように言い張る彼は実際とても幼く、でも誰よりも澄んだ心を持っている。 彼自身があどけない妹に心を救われたように、私たちもホールデンを自身の内に見出し、心を救われている。自分のでたらめさに寛容になり、少しの幸せを感じられる。 絶望と希望を順繰りに通過し、複雑さと単純さを混ぜこぜにするなかで、人は不思議と前進していく。不思議と。 しんと寒いNYCでホットココアを飲むような、そんな小説だったな

Posted byブクログ

2024/04/29

『フラニーとズーイ』で味をしめた僕にとって、読まずにはいられなかった一冊。恥ずかしながら現在に至るまで『ライ麦畑でつかまえて』は未読でした。 僕が大好きな俳優の松岡茉優さんは「その時しか読めない本がある」として“ライ麦畑”に言及していました。15歳当時の彼女が周囲の大人たちに読む...

『フラニーとズーイ』で味をしめた僕にとって、読まずにはいられなかった一冊。恥ずかしながら現在に至るまで『ライ麦畑でつかまえて』は未読でした。 僕が大好きな俳優の松岡茉優さんは「その時しか読めない本がある」として“ライ麦畑”に言及していました。15歳当時の彼女が周囲の大人たちに読むよう勧められ、その後20歳前後で読み直したものの「あのとき(15歳当時)読んだ“ライ麦畑”は、もう私にはなかった」といいます。 人生の成り行きがほぼ確定してしまった現実の僕にとって“ライ麦畑”は迷路のようで、ホールデンに翻弄されっぱなしでした。息苦しくて仕方がなかった。17歳(16歳かな)の彼と同い年だった僕なら、彼とともに駆け回ることができたのかもしれない。ちょっと悔しい気もするけれど、読書は本との出会い、松岡さんは「今読めっていう暗示でしたか。何か新しいものを感じてしまうことがある」と言っていました。今の僕だからこそ出会うことができた本であることは、きっと間違いありませんね。

Posted byブクログ

2024/04/25

ある人が、学生時代に読んでまさに自分の事が書かれてると衝撃を受けたと紹介していて、読んでみようと思った1冊。 自分が正しい、それ以外はみんな気に入らない インチキ、ろくでもない、とんちきども、脳足りん、ぼんくら、まぬけ、クソったれ等の表現が全てにおいて付いていて苛立ちさえ覚えた...

ある人が、学生時代に読んでまさに自分の事が書かれてると衝撃を受けたと紹介していて、読んでみようと思った1冊。 自分が正しい、それ以外はみんな気に入らない インチキ、ろくでもない、とんちきども、脳足りん、ぼんくら、まぬけ、クソったれ等の表現が全てにおいて付いていて苛立ちさえ覚えたけど、自分にもそんな感情があったなぁ、いい大人になった今でも思ってる節はあるなぁって思わせられたり 彼くらい行動に移せてたらスカッともしただろうなぁ、そんな勇気今も昔もないけども 思春期に読んでたら何か変わってたかな

Posted byブクログ

2024/04/19

NHKで取り上げていたので、読む。 学業および生活態度不良により放校になった主人公の一人称で進む話。 大人になってから十代の気取りや悩み、要は中二病と高二病とかを読むと、取り戻せない未熟さを体験させられて恥ずかしさで身悶えしてしまうが、同時に過ぎ去った純粋さ、中二病とかはその世間...

NHKで取り上げていたので、読む。 学業および生活態度不良により放校になった主人公の一人称で進む話。 大人になってから十代の気取りや悩み、要は中二病と高二病とかを読むと、取り戻せない未熟さを体験させられて恥ずかしさで身悶えしてしまうが、同時に過ぎ去った純粋さ、中二病とかはその世間を知らない純粋さが生み出すものだとすれば、それを味合わせてくれる作品。何となく旧友を思い出した。

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2024/04/14

思春期の、本当に難しい成熟途上の、悪く言えば拗らせた、世の中のことを穿った目で見れない、それでいて孤独で卑屈、人とぶつかることしかできない危うい主人公の物語。これが分別を持ち、謙虚になることが大人になることだとしたら、この無鉄砲な何かを失っているんだろう。

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2024/04/04

「ライ麦畑でつかまえて」のタイトルで知られる小説だが、多くの人は内容を誤解しているのではないか。 かく言う私もそうである。幼い日の淡い恋心を描いたハートウォーミングな内容だと思っていた。 ぜんぜんイメージと違う。なぜ最初に誤解させるような邦題をつけたのだろうか?どんな意図があるの...

「ライ麦畑でつかまえて」のタイトルで知られる小説だが、多くの人は内容を誤解しているのではないか。 かく言う私もそうである。幼い日の淡い恋心を描いたハートウォーミングな内容だと思っていた。 ぜんぜんイメージと違う。なぜ最初に誤解させるような邦題をつけたのだろうか?どんな意図があるのか?いや意図があるのだろう。そしてそれを意識しながら読み解いて行くのだろう。 ようするに思春期をこじらせた少年の1人語りだ。和訳が絶妙でスイスイ読める。なかなか面白い。人間嫌いである点や、他人はクズだと思っている点が私の夫にとても似ている。しかし私が夫にストーリーを説明すると、まるで他人事のように「つまらん人生やな」と吐き捨てた。そんなものか・・・。 この本がジョン・レノンを撃った青年の愛読書だったらしいが、犯罪のトリガーとは無関係と思える。むしろ共感できる内容だったのではないだろうか?

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2024/03/06

果たして村上春樹が翻訳したからなのか、それとも村上春樹が本作品から影響を受けたからなのか、わからないが、まるで村上春樹ような作品(本来は逆なのかもしれないが、、、) とにかく若さか単なるナルシストか、現実にいたら確実に疎まれるであろう長ったらしくて、まわりくどいセリフ口調の比喩や...

果たして村上春樹が翻訳したからなのか、それとも村上春樹が本作品から影響を受けたからなのか、わからないが、まるで村上春樹ような作品(本来は逆なのかもしれないが、、、) とにかく若さか単なるナルシストか、現実にいたら確実に疎まれるであろう長ったらしくて、まわりくどいセリフ口調の比喩や意味のない展開や表現は、最近村上春樹を読んでないからかとても懐かしく感じた。(「それはそうかもしれないし、そうじゃないかもしれない」ってなんなんだ!内容ゼロ!) とはいえ最初から最後まで主人公に惹きつけられ、何か特別なロジックやあっと驚く展開があるわけでもない。ただ1人の青年の一人旅の日記のような物語になぜだかとても引き込まれる。またいつか疲れたときにでも読みたいなと思う。

Posted byブクログ

2024/03/03

【「大人」にこそ読んでほしい作品】 主人公のホールデンは17歳、「大人」になる過程で精神的にも非常に不安定になりやすい年頃である。彼は実際、精神病院に入院するほどに心を病んでしまう。 青年が不安定な時期を乗り越えて適切に成長する上で、周りの、とりわけ大人たちの支えは必要不可欠...

【「大人」にこそ読んでほしい作品】 主人公のホールデンは17歳、「大人」になる過程で精神的にも非常に不安定になりやすい年頃である。彼は実際、精神病院に入院するほどに心を病んでしまう。 青年が不安定な時期を乗り越えて適切に成長する上で、周りの、とりわけ大人たちの支えは必要不可欠であろう。作品中ホールデンは様々な「大人たち」と出会う。しかし誰一人として、ホールデンを不安定な精神状態から助けることはできない。例えば学校の先生や同級生の親との会話は表面的で、ホールデンの深部にまで迫ることはない。或いはそれほど深く踏み込めるほどの関係性(relationship)を持てていないと言えるかもしれない。 一番近しい距離にあるはずであり、そうあるべきの両親は、実の息子と直接会うことすらしない。その上、NYでは娼婦やゴロツキといった大人たちと出会うことでホールデンの精神はさらに傷つくのである。 ホールデンはその傷を誰にも見せまいと必死に隠す。そして独り泣く。彼が泣いていることを知るのは10歳の妹フィービーと、我々読者のみである。 『どうして「大人たち」は彼が傷ついていることに気付けないんだ。彼は傷ついているんだ。誰か救ってあげてくれ!』と願わずにはいられなくなる。 私は現在高校の教員で、ホールデンと同年代の生徒と日々関わっている。中には多くの点でホールデンと重なる子もいる。「どうしようもない奴」「不良」「退学処分しか選択肢はない」ついこのように思ってしまう。しかしその度に『ライ麦畑』が頭を過ぎる。 現代の日本にも「ホールデン」は多くいる。 彼ら彼女らを『ライ麦畑』と同じ結末、即ち精神病を発症するという結末に導くか、それとも別の結末へ導くかは周りの「大人」にかかっているのではないか。 あのイチロー選手も警鐘を鳴らしているように、現代の日本社会は「剥き出しの自己責任」の時代へと向かっている。いわばライ麦畑で走り周り、崖から落ちそうな子どもたちを傍観するのみで、「崖から落ちてしまってもそれは本人の責任だ」という社会である。 少なくとも私は教員として、大人として、不安定で崖から落ちそうな「ホールデン」を捕まえる”The Catcher in the Rye”でありたい。

Posted byブクログ

2024/03/02

もともと海外文学を読むのは苦手、かつ村上春樹さんの文章も得意じゃないので、想定通り、なんとも頭に入りにくかった! 有名すぎる本だし、推しのおすすめ本立ったのでなんとか読了。 もっとゆっくりじっくり読もう。

Posted byブクログ

2024/02/16

10代のときに本棚にはあったものの、当時は「男子の青春」として語られるイメージが強く、手に取らずに来た本書。20年近く経って読んでみると、実際正解だったと思う。 うそが多く他人のせいばかりにしてすぐに神経をやられてしまうホールデン。庇護対象である弟や妹へは無性の愛を注げるも、友...

10代のときに本棚にはあったものの、当時は「男子の青春」として語られるイメージが強く、手に取らずに来た本書。20年近く経って読んでみると、実際正解だったと思う。 うそが多く他人のせいばかりにしてすぐに神経をやられてしまうホールデン。庇護対象である弟や妹へは無性の愛を注げるも、友人やインチキな大人である他者のことはすぐ嫌いになり、衝動的な逃避行を重ねてゆく。 んー正直言って全然わからない!笑 中高生で読んでいれば共感できるところを探したかもしれないけど、いまの自分では努力しないとこの小説は愛せないかな。

Posted byブクログ