キャッチャー・イン・ザ・ライ の商品レビュー

J.D.サリンジャー【著】,村上春樹【訳】

2024/01/24

サリンジャーの名作『ライ麦畑でつかまえて』を、村上春樹が新訳。噂先行のハードル爆上がり状態で読み始めたため、序盤はイメージとのギャップに苦戦。ページを捲る手がなかなか進まず。しかしながら、ゆっくりと染み込むように、ホールデン・コールフィールドの言葉や心情、そして人間性と同化していくような感覚。多くの人が彼との類似性に心を掴まれているが、そこまで大衆性のある作品とは思えない。結論としては、読み手を選びはするが、一読の価値はあると思える。

2024/01/17

あるYouTuberが、「この作品は、10代のうちに読んでほしい。」と紹介されていたのだが、その言葉がよく分かりました。主人公のホールデンの投げ遣りな感じが、思春期の危ういさを醸し出している。誰にも縛られたくないし、相手と会話を合わせようとしない、嘘をつく、自分以外はインチキ野郎だと思う所とか、誰しもが通っていく、この時期の青春感がとっても良かったです。
村上春樹訳も良いスパイスでしたね。
何年経っても色褪せない不朽の名作です。

2024/01/12

村上春樹さんの訳で読みたくて読み始めたものの、スラスラと読み進めるのには少し大変だった。半分過ぎからようやく読み進めるようになったけど、ホールデン少年の複雑な気持ちのうつり変わり方とか、人を斜めに見るとか、人間って複雑なってことが身に沁みる。子供が何考えてるかわからないと思う親（自分だが）、子供も色々と考えて訳わからないんだと言うのを知ることも子育ての第一歩なのかなぁと（勝手に）。この本を何か読んだ後ほっこりするのは良かった。また読み返したい。

2023/12/17

反骨心あふれる16歳の少年の、頭の中を描写した物語。

少年は何に対しても基本ネガティブに捉えて、文句が湧き出ていて、共感に苦しんだ。
調べるとこの主人公は著者自身を表しているようで、生きづらい青春を過ごしたのだろうなと同情してしまった、と同時に世の中の人やモノへの疑問をここまで感じられる16歳ってすごいなと思った。

賛否両論あるみたいだが、村上春樹訳の言葉遣いは個人的に結構好きだった。

2023/12/06

「忘れっぽいから」

僕らはつい、大切なことを忘れてしまう。
あの日あの時、友達や家族と過ごしたありふれた日常を、目先の雑事に惑わされて、思い出すことすら忘れてしまう。

今週のスケジュール考えないと、そういえばまだ洗濯物干してなかったなぁ、掃除機もかけて、あぁ弁当の中身何にしよう、、って、先のことを考えて動くのは別に悪いことじゃないけどね。

でもさ、そればっかりに気を取られすぎてるんじゃないかなって。

読んだら分かると思うけど、みんなの心にもホールデンはいると思う。
時代も国籍も年齢も性別も越えて、たぶんどっかにいるはずなんだ。
でも人って忘れっぽいからさ、そのことを忘れがちなんだよね。

まぁバランスをとるのは難しいけど、たまにはちょっとだけでも、ホールデンの声を聞いてあげるのもいいんじゃないかな。そう思う。

あの時、何をあんなにイライラしたり、楽しかったりしたんだろなぁわかんねぇなあ。
とりあえず、まぁ、
いい時間だったなぁ。

2023/12/02

人間社会を形成する人々への不満とクダラナさインチキさを語り、身内への愛とトウトさを語る16歳のホールデン。
様々な事件により心身ともにぼろぼろになった後、
最愛の妹からの「あなたは本当は何がしたいの？」という質問で「ライ麦畑の崖で転落してしまいそうな子供たちをキャッチするような人間になりたい」と本音を吐露する。

不満とインチキさに溢れたこの世界を、その中にあっても良い人と思える人達を悲しく見ることしかできないホールデン。。
先にあるのは絶望か希望か

2023/11/28

常に、直ぐに鬱々とする・他人に八つ当たる主人公に、もっと前向きに生きろよと、投げやりになるなよと腹立たしくなるけど、確かに自分にも無闇に将来に不安になり社会構造や大人の気持ち悪い配慮・遠慮しまくる人付合いを不満に思う時代があったなぁと思い出し、読了後に改めてもう一度再読したくなった。不思議な読了感。
琴線に触れる文章が幾つかあって、振り返ると良い本だった。

2023/11/13

読んでる途中だけど村上春樹もアメリカ文学オタクなんだと感じてなんかちょっと嬉しくなる。村上春樹のオタクを感じる。

2024/01/25

攻殻機動隊で物語の核となっていたので興味が出て読みました。
少佐の有名なあのセリフが村上春樹訳では出てこなかったけど。。。

何もかもでは無いけれど、自分以外が全て嘘っぽく見えてつまらなく感じる時期が自分にもあったから共感した。それとともにミスタ・アントリーニに答えのようなものを教えてもらったような気になった。

2023/10/02

海外文学作品をほぼ読んでこなかったのですが、　非常に読みやすかったです。
主人公が読み手に語りかけてくる形で描かれていて、主人公がこちらに打ち明ける自分の生態について、自分も共感を覚えるものが散りばめられていました。
軽やかなリズム、隙間に吹き抜けるユーモラスな文章は心地良く誰でも手に取りやすい作品だと思います。