百年の愚行 の商品レビュー
20世紀を象徴する人間の愚行の数々を、並べる写真集。 21世紀に入って10年たった今だからこそ、手にとってみました。 戦争、環境破壊、貧困の放置・・・結果のみ見れば、確かに「愚行」なんだけれど、愚行を直接deliverした人々は、多くの場合写真に写っている対象に対して、直接にそ...
20世紀を象徴する人間の愚行の数々を、並べる写真集。 21世紀に入って10年たった今だからこそ、手にとってみました。 戦争、環境破壊、貧困の放置・・・結果のみ見れば、確かに「愚行」なんだけれど、愚行を直接deliverした人々は、多くの場合写真に写っている対象に対して、直接にその「愚行」を意図してはいなかったと思う。 何か違うことを頭に描きながら(それは大義であったり、利益だったり、信念だったり責任だったり、単なる慣習だったりするんだろう)、それぞれの行為を意味づける理由を胸に、実行してきた。 映された「結果」から時間軸をさかのぼって、結果を「招いた」人のそういった感情の欠落、無自覚さ、鈍感さを察して、グロテスクに感じるのだと思うんです。 と同時に、そのパラレルの平面に、私自身がいることもまた察して、グロテスクだと思うんです。 精神的にも肉体的にも時間的にも、「現場」は遠い。でも、仮に今数メートル先が「現場」になっていたとしても、今の私は気付くのか?加担してても無自覚だと思います、だって現に今この瞬間がそうだから。 ふと、T.S.Elliotの以下の言葉を思い出しました。 Half of the harm that is done in this world is due to people who want to feel important. They don't mean to do harm. But the harm does not interest them. 写真を通して想像されるもの・・・自分自身の立ち位置から、現場までを繋ぐ糸があるのかどうかということを、立ち止まって考えること。 その解釈作業のために、写真は今も意味を持つのだと思う。 そういう意味では、こういった写真は、人の思考のために材料化された、演出の象徴でしかないんだろうけど。 この本を読んだから、環境運動に従事しようとは思わない。明日からの生活、何か変わるかと言われれば、正直変わらないと思います。 でも、自分の仕事や日々の暮らしという単位ではなく、もっと広く、長いスパンで立ち位置を捉えるきっかけにはなるかと。 この本を本棚に置き、21世紀の半ばに差し掛かった頃、また開いてみたい。 原発事故、北朝鮮やアフリカの飢餓、少しさかのぼれば9,11のテロ、メキシコ湾の原油流出・・・今世紀入ってからも、人が他者(人間以外の生物も含め)に対して犯す行いは多く、それらに関する映像は、前世紀より確実に私たちの目を慣れさせてる。 あと40年。私はどれだけのことを、自覚的に捉えていけるんだろう。
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地球環境問題が関心を集め始めた頃に出ていた、ずいぶん懐かしい本だ。環境破壊、戦争、人種差別と、タイトル通り、近代文明のもたらした愚行の映像によるカタログになっている。写真もエッセイも印象深く、感情を揺り動かされるが、そこで終わってしまいかねない本だとも思う。当時の環境ブームを思い...
地球環境問題が関心を集め始めた頃に出ていた、ずいぶん懐かしい本だ。環境破壊、戦争、人種差別と、タイトル通り、近代文明のもたらした愚行の映像によるカタログになっている。写真もエッセイも印象深く、感情を揺り動かされるが、そこで終わってしまいかねない本だとも思う。当時の環境ブームを思い出して、もっと憂鬱になってしまった。
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我々は何時まで愚行を繰り返せば気が済むのか。 圧倒的な迫力で訴えかけてくる写真を軸に、20世紀に我々が行った愚行の数々が示される。 繰り返される、環境破壊、虐殺、戦争。 21世紀も同じことを繰り返すなら、我々に未来はないだろう。
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地震があって この本を見て あー地球に生かされてるんだなぁ って思ったり。 汚(よご)されていく地球 汚(けが)されていく自然 そしてそれらが自分らにかえってくる。 地震はそれらの結果とはまた別だけど やっぱり地球の上に住んでいるんだなって。 尊い生命。 その集合体な...
地震があって この本を見て あー地球に生かされてるんだなぁ って思ったり。 汚(よご)されていく地球 汚(けが)されていく自然 そしてそれらが自分らにかえってくる。 地震はそれらの結果とはまた別だけど やっぱり地球の上に住んでいるんだなって。 尊い生命。 その集合体なわけで。
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ある方が,これを全国の図書館においてもらうために旅をしています。 そのことを,これまたある方のブログで知り,勝手に尊敬しています。 写真だけではなく,言葉にもインパクトを受ける自分なので,もう一押しがほしかったですが,手に取って色々考えてみるきっかけとしては,すばらしい本だと思い...
ある方が,これを全国の図書館においてもらうために旅をしています。 そのことを,これまたある方のブログで知り,勝手に尊敬しています。 写真だけではなく,言葉にもインパクトを受ける自分なので,もう一押しがほしかったですが,手に取って色々考えてみるきっかけとしては,すばらしい本だと思います。 うちらが今世紀をどうするのか? 頑張らないと。
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これが現実 100害与えて1利でもお返ししてるのだろうか。 よく考えよう。 まわりの事から少しずつ。
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2010.10.23 百年の愚行。 ・重油にまみれたペンギン ・アメリカ企業の工場の汚染物質にやられた少女 まだまだ繰り返されてるんだろう。 大事なのは、想像力。 世界がどうなっているか、自分のすることがどんな影響を及ぼすか。 あとちょっと想像できたら。 人間はどこま...
2010.10.23 百年の愚行。 ・重油にまみれたペンギン ・アメリカ企業の工場の汚染物質にやられた少女 まだまだ繰り返されてるんだろう。 大事なのは、想像力。 世界がどうなっているか、自分のすることがどんな影響を及ぼすか。 あとちょっと想像できたら。 人間はどこまでも愚かな存在であり、どこまでも賢い存在でもある。
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自分が如何に何も知らずに生きていたか、メディアの言うことが総てだという錯覚に浸っていたかという衝撃を受けました。軽々しくお勧め出来ような本ではない、でも絶対に見て知ってほしい20世紀の真実。
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問題は、人間というジャンルが一括りになっている点に あるような気がする。 地球が滅びる前に、人間が滅びることはあるのだろうか。
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見方によっては美しいとさえ思える写真なんだけど、それらはすべて人類が20世紀の間に起こしてきた”愚行”をおさめたもの。戦争や環境破壊、貧困などはいまもどこかで起こっていて、大半は解決のめども立っていない。そんな”愚行”の一端が一枚一枚の写真から見えてくる。 それはどこか自分のあ...
見方によっては美しいとさえ思える写真なんだけど、それらはすべて人類が20世紀の間に起こしてきた”愚行”をおさめたもの。戦争や環境破壊、貧困などはいまもどこかで起こっていて、大半は解決のめども立っていない。そんな”愚行”の一端が一枚一枚の写真から見えてくる。 それはどこか自分のあずかり知らないところでの出来事ではなく、自分にも影響する問題でもある。地球の裏側でおこった事象もそこだけでは終わらずに世界規模で影響を及ぼす。と同時に、自分自身も意識しないうちに直接・間接にそうした事象に加担している。そのことも忘れてはいけないんだろう。 一方で、こうしたショッキングな写真はどこまでも象徴でしかない、ということも考えるべきだと思う。確かにインパクトはあるし、なんとかしなくてはという問題意識をかき立てられる。しかし、個々の状況や背景から切り離された写真は、ただそれだけでしかない。 さらに、背景、ということで言えば、ここで紹介された事象の当事者たちは、生きるため家族のため国家のためにぎりぎりの決断をしてたはずだ。しかし、ここにはそうしたことへの配慮も想像もない。ただ、目に見える結果のみでもって”愚行”と言い切れてしまうその無頓着さ、安易さでは問題の解決は遠い。 そこから先、僕たちに求められるのは、事実も背景もうけとめた上での、あくまで冷静な判断だと思う。
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