流れよわが涙、と警官は言った の商品レビュー
解説というものを人生の中で指折りで数えられるくらいしか読んだことがないが、読んだ。 小説に対する某かの感想なんてあまり意味のないように感じていたが、これは理解を深める上では役立つこともあるのかもしれない、と思い直した。 名は体を表す、か。 肝に銘じておこう。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ディストビア感と、ジェイスンが会う女性たちの独特さが堪らない。警官の感情がよく描かれていてよかった。けど、結局ジェイスンがスイックスであることとIDのない世界に来ちゃったことにはほとんど関係がなかったんだね。スイックスは一体何のために作られたものだったんだろう。
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ディック強化月間最後は、ディックらしいちょっとうっとうしいタイトルのこれ。早川で早々に新装版が出ていたので、名作として認められてる作品なのかな? 内容としては、テレビの有名司会者であり、歌手のジェイソンが、ストーカーのファンに襲われて目を覚ましたら、自分だけが存在しない世界に入...
ディック強化月間最後は、ディックらしいちょっとうっとうしいタイトルのこれ。早川で早々に新装版が出ていたので、名作として認められてる作品なのかな? 内容としては、テレビの有名司会者であり、歌手のジェイソンが、ストーカーのファンに襲われて目を覚ましたら、自分だけが存在しない世界に入っていたというパラレルワールド物。 結局最後まで、なぜパラレルワールドに飛ばされたのかが明らかにならず、そもそもの入りの部分の必要性も不明。このへんが「ディックらしく破綻している」っていうのだろうか? また、「スイックス」など、意味が完全にわからなくてもなんとなく取れるんだけど、言葉の定義をしないままストーリー展開することが多いため、ちょっと疑心暗鬼になるのは、ディックにかぎらず、洋物のSFの苦手なところだ。 それ以外のストーリーは非常に解りやすく、実は飛ばされたのが「去年を待ちながら」のように、非合法の新しいドラッグのせいで、ドラッグが切れるに連れてじわじわと解除されていくというあたりはなかなか新鮮。 個人的にはすごい名作とは思えないし、最後の締めだって、視点を他人に移してのかなり無理やりなところがあり不満だけど、未来にありながらSF要因を絞り込んだところが、本作の印象を良くしたといえる。
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やっぱり少し時代を感じる。レトロモダンな雰囲気のSFですね。 種明かしの理論の数行だけ別世界の雰囲気で戸惑いました。私だけ? 色々考えると深いのかもしれないけれど、まだそこまで読み込めていません。
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作者のメッセージ性が強いですが、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」などと比べると少し伝わりにくい内容なのではないかと思います。 ただ主人公の行く先を追っているだけでは読み終わった時に ん? となりそうです。 途中途中の伏線が最後に結びつくのでじっくり読むことを推薦します。
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素晴らしい。SFというより幻想小説と言っても良いかもしれない。個人的にはサスペンス的カタルシスよりむしろ純文学的な要素が主題になっている方が好みだ
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朝目が覚めたら誰も自分のことを覚えていない?主人公はこの悪夢から逃れようと必死にもがく。そんな彼を追うある警部。密告、駆け引き。題名の意味が最後に分かる。監視される心理をディックが実体験をもとに書く
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「愛というのは、悲しくなんだか知らぬ哀愁を受け入れることなのだ」 それゆえ涙を流すのだ。 「空間の排他性は脳が知覚を司るときの脳の働きに過ぎません。脳は相互に排除しあう空間単位ごとにデータを規制します。無数の空間単位です。理論的には数兆ですが。しかし、本来、空間は排他的なもので...
「愛というのは、悲しくなんだか知らぬ哀愁を受け入れることなのだ」 それゆえ涙を流すのだ。 「空間の排他性は脳が知覚を司るときの脳の働きに過ぎません。脳は相互に排除しあう空間単位ごとにデータを規制します。無数の空間単位です。理論的には数兆ですが。しかし、本来、空間は排他的なものではないのです。事実、本来、空間はまったく存在しないのです。」
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SFって俺にとってはもっとなんというか、世界自体がドラマの主役のようなものという認識があるんだけど、ディック作品ではあくまでSF的設定は舞台装置でしかなく、そこで生きる人間が主役の座から降りずにいるというのが尊い。 この作品でも存在だとか生だとか愛だとか、タヴァナーが出逢ったす...
SFって俺にとってはもっとなんというか、世界自体がドラマの主役のようなものという認識があるんだけど、ディック作品ではあくまでSF的設定は舞台装置でしかなく、そこで生きる人間が主役の座から降りずにいるというのが尊い。 この作品でも存在だとか生だとか愛だとか、タヴァナーが出逢ったすべての女性に物語があって、それこそが主軸になっているのだよなという感。途中までは色男の話かよって感じで鼻白んだりもしたが。最後の一文が美しい作品。
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