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流れよわが涙、と警官は言った の商品レビュー

3.5

75件のお客様レビュー

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突然陥る不条理な状況…

突然陥る不条理な状況、理不尽な追求と追跡、監視される社会の恐ろしさ、と最後まで緊迫感が持続します。やるせない物語ですが、読後感は良いです。

文庫OFF

なんで彼は「存在しな…

なんで彼は「存在しない男」になったの?なんで主人公が途中で変わっちゃうの?なんでストーリーが変な方向にいっちゃうの?作者は結局何が言いたかったの?読んでて判りませんでした。

文庫OFF

2024/06/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

非常に読みやすい! ディック長編の入門書としてもおすすめかもしれない作品。 実は「逆まわりの世界」を読み始めたんだけど、 内容は絶対好きなやつなのに、2〜3日経っても全然読み進められず、、 それでそちらを諦めて、次に本棚から手に取ったのがこちら。 とっても読みやすくてあっという間に読んでしまった。 面白いのが、読み手のドキドキの対象(語彙力ほしい…)がある時点でガラリと変わること。 最初、パラレルワールド的な展開に直面して「やっほー私の大好物!!」となったと思いきや、 なんとその真相は非常にアッサリと解決されてしまう。笑 でもそこで何故か全然落胆(期待外れ感)はなくて、 その後は凄いスピードで物語の方向が変化していく。 私にとってはそのからくり(?)自体がもう想定外すぎてかなり衝撃的。 しかもこんな凄いSF仕掛けを思いついたのに、それをさらりと解放してそれで終わりっていうところが、ディックの天才要素を体現している気がして感無量。 (だってもし私がこんな仕掛け思いついたら、これをテーマに掘り下げて掘り下げて、長編一冊描きたくなるもの!!普通はそうだよね?) ブレードランナーから入った私は、スイックス→six→セブンって並びを見てネクサスシックスやん!って興奮したのも思い出。 あとがきを読んで初めて、「あ〜たしかにタヴァナーは一度も涙流してなかったかもなあ」とは思ったけど、“愛”についての深い描写についてはあまりピンとこなかったかなあ。 もし結婚したり子供ができたりして、“最愛の人”という存在ができた時には、また違う感動が得られるのかもしれないな。

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2024/04/27

スイックスという存在に惹かれた。 いわゆる遺伝子操作された特別人種みたいな存在大好き。 ディックの小説はSFだけど哲学的なテーマが垣間見えて文学チックで良いよね!

Posted byブクログ

2024/07/13

ジョン・タウランドの『流れよ、わが涙』(涙のパヴァーヌ)をタイトルに持つ本作。作中にも触れられていて、ディックはクラシック音楽が好きなんですね。 ある朝、男が目を覚ましたら誰も自分を覚えていない…国家データバンクからも記録が消失した”存在しない男”になっていた。男の名は、ジェイ...

ジョン・タウランドの『流れよ、わが涙』(涙のパヴァーヌ)をタイトルに持つ本作。作中にも触れられていて、ディックはクラシック音楽が好きなんですね。 ある朝、男が目を覚ましたら誰も自分を覚えていない…国家データバンクからも記録が消失した”存在しない男”になっていた。男の名は、ジェイスン・タヴァナー。一般人ならいざ知らず、彼は歌手であり司会も務める、三千万人の視聴者に愛されるマルチタレント。誰もが知っているはずなのに、かつての愛人まで知らないと言う。そして、管理社会であるこの世界で必須のIDカード(身分証明書)も無い…あるのは大量の現金だけだった。 彼は、何が起きているのか確かめるためにも、偽造でもいいからIDカードの入手に迫られ、偽造ID製造を生業にしている女性に接触します。しかし、その女性の精神異常に翻弄されて、その後は警察に目をつけられることに。警察でも彼の記録は確認できないでいましたが、フェリックス・バックマン警察本部長だけは”ジェイスン・タヴァナーは実在している”と考え動き出します。 という話しなのですが、後半は視点がタヴァナーからバックマンに移ったり、パラレルワールドかと思ったらそうではなかったり、と全体的に説明不足ながらも意外性のあるストーリーで楽しめました。それは、ひとえに解説が秀逸なこともあるのだけれど。例えば、タヴァナーとルースとの愛についての会話のやり取り(この場面、結構好きです)で、なぜタヴァナーがあれほどドライな応対だったのかとか、エンディング間際のバックマンの大袈裟過ぎなのではと思われた行動などが理解できて良かったです。 ※読んだのは、黒背景の表紙がポジトロンの文庫です。 正誤 15刷 P263の8行目: なっったように思えた ↓ なったように思えた

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2024/01/11

ディックの名作とされる作品。ただ後半はよくわからなかった。なぜ警官はタヴァナーに罪を押しつけなければならなかったのか。タヴァナーが世界を異動したことの意味、エピローグの意味は何なのか、とか。もう一度読む必要があるか、、、。

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2023/07/18

アイデンティティという薄っぺらな幻想 「悲しみは最も完全で圧倒的な体験、だから悲しみを味わいたいのよ。涙を流したいの」 愛するということの人それぞれの解釈、そして、愛を得て失うという痛みが、主人公ジェイスンの置かれた状況に絡みつく登場人物達によってもたらされる。 キャシイ、ル...

アイデンティティという薄っぺらな幻想 「悲しみは最も完全で圧倒的な体験、だから悲しみを味わいたいのよ。涙を流したいの」 愛するということの人それぞれの解釈、そして、愛を得て失うという痛みが、主人公ジェイスンの置かれた状況に絡みつく登場人物達によってもたらされる。 キャシイ、ルース、メアリー・アン、バックマン、アリス…… 「ブレード・ランナー」のような世界観とはひと味違うが、これもまた、特別なフィリップ・K・ディックの世界。

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2023/06/18

タヴァナーが主人公かと思いきや、バックマンが実質的な主人公。ただ、バックマンにはあまり魅力を感じられなかった。文章は読みやすい一方で、時折読みづらくなる。タヴァナーの状況は想像するだけで恐ろしいけど、彼は顔が良いので大丈夫。「俺はスィックスだから我慢できたけど人間だったら我慢でき...

タヴァナーが主人公かと思いきや、バックマンが実質的な主人公。ただ、バックマンにはあまり魅力を感じられなかった。文章は読みやすい一方で、時折読みづらくなる。タヴァナーの状況は想像するだけで恐ろしいけど、彼は顔が良いので大丈夫。「俺はスィックスだから我慢できたけど人間だったら我慢できなかった」そんなノリでさまざまな困難を乗り越えていくジゴロさん。 SF小説に登場する人物は、舞台設定の為に用意されているだけなので記号的、そんな勝手な偏見を持っていたけど、この小説は人物の描写こそが面白かった。 特にルースレイとタヴァナーの会話や、ウサギや犬の話が印象的だった。嘆きと悲しみは素晴らしい感情であり、悲しみは愛の終局を意味する。タヴァナーには分からないけど、バックマンには分かるんだろうなぁ。悲しみは、失ったものと自分自身を再び結びつけ同化させるもの。愛するものや人が離れようとしているときには、その人と共にいくのだ。自分自身を分裂させて、相手とともに旅をする道連れとなり、行けるところまでついていく。 結局のところ、愛に関する物語なのかな。 いつか天国に行く愛犬にも分裂した私がついていってくれるといいなぁ。

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2023/03/03

最愛の人に去られたディックの自伝的小説という趣の強いこの作品は、自己の同一性や認識している世界の崩壊というディックの作品に通底している恐怖をベースにしつつ、もう一つのテーマとして愛を割と純粋に語っている作品でもある。愛は自己保存の本能を凌駕し他者への献身、執着をもたらす。 作中で...

最愛の人に去られたディックの自伝的小説という趣の強いこの作品は、自己の同一性や認識している世界の崩壊というディックの作品に通底している恐怖をベースにしつつ、もう一つのテーマとして愛を割と純粋に語っている作品でもある。愛は自己保存の本能を凌駕し他者への献身、執着をもたらす。 作中で様々な人物が自分なりの愛を見出そうとしているが、その中で主人公であるジェイスン・タヴァナーだけは愛を理解しない。それは彼がスイックスだからかそれとも生来のものなのか。 現実の分裂は観測者だけのものではない。観測されるものもそれに巻き込まれる。 また絶望の底に落ちてからの再生を匂わせて終わるところもらしい部分である。 その他にも警察機構、大学、学生運動、ドラッグなどディックの実体験も物語の随所に散りばめられている。

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2022/11/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

近未来的で、どこか古臭い。 この本が出版された当時想像されていた“近未来”が、頭の中に浮かんでくる。 どこか退廃的で薄暗い雰囲気は、前に読んだ電気羊を思い出させてくれた。ディックの書く近未来は、なぜか心地良い。 巻末の解説を読むと、執筆当時の著者の状況が色濃く反映されているようだ。 読み始めた当初、スイックスという存在の謎やタヴァナーの記録抹消の解明がなされていくストーリーかと思っていたので、やけに回り道が多い話だなーと思っていた。(恥ずかしい) 涙と愛にまつわる物語。 嘆きと悲しみに対して新しい考え方をくれた

Posted byブクログ