夜の蝉 の商品レビュー
この著者の派手な女や化粧に対する負のイメージはなんなんだろうか。病的なミソジニーなんじゃないか?と思わせるくらい、女性性や性を嫌悪する主人公。挙げ句の果てには、お姉さんに口紅を塗られて、犯されたとかいう。異常過ぎる。派手さや華麗さといったものは、そう本来あるべき姿ではないものとし...
この著者の派手な女や化粧に対する負のイメージはなんなんだろうか。病的なミソジニーなんじゃないか?と思わせるくらい、女性性や性を嫌悪する主人公。挙げ句の果てには、お姉さんに口紅を塗られて、犯されたとかいう。異常過ぎる。派手さや華麗さといったものは、そう本来あるべき姿ではないものとしてのみ繰り返し登場する。他方で、すっぴんや飾らない服装といった成熟した女性と逆の要素は、肯定的な文脈で出てくる。 そんな調子だから、人間の悪意や嫌な部分が見える話でないと、著者の異常な性癖、物語に通常は一定程度含まれるべき色気やたおやかさといったものが病的なまでに執拗に排除されるという、欠落感ばかりが目立つ。ただし、そのような異常さが悪意や嫌な部分と結びつくと、これがまた読ませるんだ。
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図書館で。 下手なミステリーよりもなんとなく怖くて薄気味悪い感じがする。見えない悪意とでも言うか、そういうものがテーマだからだろうか…? それにしても兄弟とか姉妹って仲が悪いって小説多いなぁ。世間一般の肉親ってのは大概いがみ合っているものなんだろうか?親の愛がどうこうって年でも...
図書館で。 下手なミステリーよりもなんとなく怖くて薄気味悪い感じがする。見えない悪意とでも言うか、そういうものがテーマだからだろうか…? それにしても兄弟とか姉妹って仲が悪いって小説多いなぁ。世間一般の肉親ってのは大概いがみ合っているものなんだろうか?親の愛がどうこうって年でももう無いだろうに。大人になっても譲れない一線なのだろうか、なんて考えちゃいました。 主人公のもってまわった話の進め方もあまり感心しませんが友人はそれに輪をかけたヤツだな、とちょっと不快になりました。人の名前を、意図的に違う名前で教えるとかちょっとありえなくないですかねぇ。これがまだ、彼女が仲介して「こちら○×さんなの」と言うならまだワカル。でもちょっとあの紹介の仕方は露悪的すぎないか? お姉さんの手紙の件もそう。あれ、軽犯罪ですよね?信書の窃盗と同じだもの。百歩譲ってあんな男やめとけって言うために手紙を取ったとしてもそれを相手の女性に送るのは悪意でしかない。うっわ、コワイわ~ まあ主人公の彼女も鼻持ちならない所も多々あるんですけどねぇ。それにしてもこの作家さんは本をよく読んでいらっしゃるなぁなんて思いました。
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どんなミステリーなのか?と思いながら読み始めたけど、死体も殺人もないのになんと面白い。こんなほのぼのしたミステリーもありだなぁと目から鱗の少説です。このシリーズ是非とも読みたくなってしまいました。
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円紫さんシリーズ二作目とのことだけど、まだ一作目を未読な状態。 なんだかとても読みにくい気がするのは気のせいだろうか。 一作目を未読で人物の関係や前作の事件がわからないから読みにくというのではなく、なんかわかりにくい。 日常ミステリーというよりも妹の姉に対する感情の方に比重が高...
円紫さんシリーズ二作目とのことだけど、まだ一作目を未読な状態。 なんだかとても読みにくい気がするのは気のせいだろうか。 一作目を未読で人物の関係や前作の事件がわからないから読みにくというのではなく、なんかわかりにくい。 日常ミステリーというよりも妹の姉に対する感情の方に比重が高い気がする。 それはそれで興味深く良かったけど。 うーん。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
シリーズ2作目。 3つの短編より。主人公と美人の姉についてが印象深い。 よしながふみ氏の『フラワーオブライフ』にもあったけれど、美人というのもなかなか難しい。。同性から潰されないように生きると、異性の前で他の同性の涙に負ける事もある。。 姉が何故姉として生きるようになったか、なかなか面白い。 確かに最初から姉であったわけではなく、妹が出来た事によって姉になったわけだから。 「人間が生きて行くってことは、いろんな立場を生きて行くっていうことだろう。」 いく、が漢字の行く、なのがまた。。 冒頭は山口雅也氏 解説は吉田利子氏 1作目、円紫氏と、主人公がぞっとする、というのは本作を読んでそこまで掴みきれなかったが、ナルホド。。。 形の無い物、ただ内容のみを盗んでいく人、かぁ。。。 そう考えると、動機が恐い。。。
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少しずつ「わたし」の成長を共に見ていけるような感覚が楽しい。今回も後味の悪い話もにこっと笑いたくなるような話もあり、そしてわたしと姉の関係も少し複雑だったりと。次作もすぐ読んでしまいそう。
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「空飛ぶ馬」の続編。 人死にが出ない日常派ミステリの代表格のように思われる本作ですが、初めて読んだ時は「なんだかぼんやりとしたミステリだなあ」と失礼な感想を抱いてしまいました。 今回は「朝霧」まで読み通しての再読なのですが、ああ、なるほどこれは「私」が、彼女を取り巻く人々とのか...
「空飛ぶ馬」の続編。 人死にが出ない日常派ミステリの代表格のように思われる本作ですが、初めて読んだ時は「なんだかぼんやりとしたミステリだなあ」と失礼な感想を抱いてしまいました。 今回は「朝霧」まで読み通しての再読なのですが、ああ、なるほどこれは「私」が、彼女を取り巻く人々とのかかわりの中で成長していく話なんだと。本来主役級であるはずの円紫師匠は、正子や姉と同じ、彼女に影響を及ぼすキャラクタの1人なんだと。そういう物語である事をようやく理解し始めています。 時を経て知っていくもの、知ってしまうもの。大人になっていく事の難しさ…と書いてしまうとなんだか中学生日記みたいですね(笑)。読み進むにつれじわじわと何かが染みてくる1冊です。
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シリーズ2作目、さらにいい。 「私」の根っこにあるのが 美しい姉と、父であることは わかっていました。 氷解という言葉がぴったりの表題作 だけでなく、作品全体に流れる 不思議なものが、どんどん私の心まで 解してくれています。 この艶やかな文体。上質な言葉の洪水。 「私」が柔...
シリーズ2作目、さらにいい。 「私」の根っこにあるのが 美しい姉と、父であることは わかっていました。 氷解という言葉がぴったりの表題作 だけでなく、作品全体に流れる 不思議なものが、どんどん私の心まで 解してくれています。 この艶やかな文体。上質な言葉の洪水。 「私」が柔らかくなっていく経過を たくさんの人が見守っています。 愛されていますよね、「私」。
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何故、書店に陳列されている本の数冊が逆さになっているのか? 何故、チェスのクィーンの駒が冷蔵庫に入っていたのか? ミステリの一ジャンルとしての存在感を不動のものにした、死体の出てこないミステリー(言い方…)・「日常の謎モノ」です。 そっち系は敬遠しがちな私でも、一冊くらいは代...
何故、書店に陳列されている本の数冊が逆さになっているのか? 何故、チェスのクィーンの駒が冷蔵庫に入っていたのか? ミステリの一ジャンルとしての存在感を不動のものにした、死体の出てこないミステリー(言い方…)・「日常の謎モノ」です。 そっち系は敬遠しがちな私でも、一冊くらいは代表作読んどきたいなァと思いつつ早幾年(どんだけ避けてたん…)。 ようやく読むことができました。 ベテラン・北村薫先生の代表作、円紫シリーズです。 北村作品とのファースト・コンタクトを何故かクィーンのパスティーシュで果たしてしまうという残念な出会い方をし、あまつさえそのパスティーシュものへの評価だけで、 「うーんイマイチ!この作家は当分保留!」 と、代表作を読まずに判断するという暴挙に出たのが数年前。あの時は私も若かった…← 会話の端々に昭和を感じたし、文章全体から感じる雰囲気は、何だかテキストみたいな生真面目さを終始まとっているように感じました。端的に言うと大時代な文章に感じた← なんかね、固かったんだよな…嫌いじゃないと思うんだけど…読むタイミング悪かったのかなあ(悩 一番引っかかったのは、 テーマ(謎)はライトなのに、 主人公の趣味や口調はいぶし銀。 っていう違和感でしょうか。 著者の最新文庫(月の砂漠をさばさばと)は良かっただけに、ミステリでハマれなかったのはちょっと残念。 うーん、他の作品でリベンジかなァ。
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円紫シリーズ第二弾。 相変わらず主人公がいまどきの女子大生っぽくなかったり(表紙のイメージもあるかも)、たまに女の子たちの言葉遣いがおかしかったり(例えば友だちや姉がたまに使う男っぽい言い回しは、思春期の無駄に反発したい年齢ならいざしらず、大学生以上の女の子たちが頻繁に使う言葉で...
円紫シリーズ第二弾。 相変わらず主人公がいまどきの女子大生っぽくなかったり(表紙のイメージもあるかも)、たまに女の子たちの言葉遣いがおかしかったり(例えば友だちや姉がたまに使う男っぽい言い回しは、思春期の無駄に反発したい年齢ならいざしらず、大学生以上の女の子たちが頻繁に使う言葉ではないのでは)、まあ作者の年代の問題かなあ…と思う部分がちらほら。 あと今回は一話目の朧夜の底の前半「~(なの)である」という語尾が頻発してて妙にひっかかった。なんて揚げ足をとったものの、本作も日常ミステリとしては秀逸でした。さすが。
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