夜の蝉 の商品レビュー
おもしろかった。 謎解きをしながらも人間ドラマがとにかく濃くて、 一筋縄ではいかないそれぞれの謎解きには、人間の心理が深く関係しているのでした 回を重ねるごとに円紫さんと"私"の信頼関係が増して、 家族や友達、弟子など、2人を中心として関わりができていく様子...
おもしろかった。 謎解きをしながらも人間ドラマがとにかく濃くて、 一筋縄ではいかないそれぞれの謎解きには、人間の心理が深く関係しているのでした 回を重ねるごとに円紫さんと"私"の信頼関係が増して、 家族や友達、弟子など、2人を中心として関わりができていく様子も良いですね☺︎
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「空飛ぶ馬」その後の「私」。謎解きもおもしろく、女友達とのかかわり、姉とのかかわりが余韻を残す。 たおやかな乙女のういういしい感性を独特の雰囲気で描ける北村薫と言う作家は、何とも不思議なひとである。 この作品が世に出た頃、謎の覆面作家といわれ性別もさだかでなかったいきさつがわ...
「空飛ぶ馬」その後の「私」。謎解きもおもしろく、女友達とのかかわり、姉とのかかわりが余韻を残す。 たおやかな乙女のういういしい感性を独特の雰囲気で描ける北村薫と言う作家は、何とも不思議なひとである。 この作品が世に出た頃、謎の覆面作家といわれ性別もさだかでなかったいきさつがわかってくる。そうでもしたくなる資格があったということだ。 人気のはずである。
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女子大生の「私」と5才違いの「姉」との掛け合いが心の奥深く染み入る、表題作の『夜の蝉』をはじめ全3篇の短編集です。文学の世界と切っても切れない「私」と大学の友人たち、探偵役で人生哲学者の噺家・円紫のコンビが織り成す爽快シリ-ズの第2弾です。
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生きてく中で否応なく変わっていくものの儚さが、変わらないものを殊更に際立たせた。 〈私〉の語りはなんでこんなに瑞々しいのだろう。 見る人が見れば世界はこんなにも喜びに満ちている。 綺麗なものだけに目を向けるのでもなく、されど悪意だけが人間の本質であるはずもまたなく。 今回は中編...
生きてく中で否応なく変わっていくものの儚さが、変わらないものを殊更に際立たせた。 〈私〉の語りはなんでこんなに瑞々しいのだろう。 見る人が見れば世界はこんなにも喜びに満ちている。 綺麗なものだけに目を向けるのでもなく、されど悪意だけが人間の本質であるはずもまたなく。 今回は中編が3編入っていたけれど、どれもとても好きでどれが一番とは決められない。 しっかり謎と謎解きが堪能できて爽快で、それからまたじんわりと苦味や甘味が広がる味わい。 どぎついものだけ手に取るのは簡単。派手だから。 誰でも飛びつける。まあそれはいい。 〈私〉の気持ちにもっと寄り添えたい。
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さて北村さんの第二巻「夜の蝉」、日本推理作家協会賞も肯首できる出来上がりだった。読み取ったテーマは「愛」かな、一巻と同じく特に変わりない暮らしの中からの不思議を解決してくれる、円紫さん。三人の友達に加え、お姉さんが出てくる。 朧夜の底 「私」は二年生になった。フランス語で挫折し...
さて北村さんの第二巻「夜の蝉」、日本推理作家協会賞も肯首できる出来上がりだった。読み取ったテーマは「愛」かな、一巻と同じく特に変わりない暮らしの中からの不思議を解決してくれる、円紫さん。三人の友達に加え、お姉さんが出てくる。 朧夜の底 「私」は二年生になった。フランス語で挫折した江美ちゃんと一緒に、正ちゃんのサークル「吟」の発表会に来ている。「吟」は漢詩、和歌、俳句を朗々と吟じる、集まりである。 「観たいか」 もともと言葉遣いの乱暴な正ちゃんだが、これは照れているのである。 「見たい、見たい、顔がみたい」 「こいつめ」 という次第。 サークルが終わって、重いパイプイスを運ぶあんどーさんがカッコイイとひらめいた、探していた露文の小説を持っていた、待ち合わせて借りたら、返すときに「無気力と憂鬱、グロテスクとエロチィシズム」とい歌い文句に血の気が引くほど恥ずかしかった。その上アンドーさんは餡ドーナツ好きから来たニックネームだった。 不思議は正ちゃんが誕生日や血液型を教えない。その理由を円紫んはすらすらと解いてくれた。 六月の花嫁 しとしと、 しとしと、 しとしと、 と小休みなく、無数の白い線が天から地へと降りそそぎ、柔らかに柔らかにこの世を包む。 六月の午後。 円紫さんとのとりとめのない話 落語の題目「雑俳」「西行」「和歌三神」三題噺の「鰍沢」について。 友人の峯さんたちと軽井沢の別荘にいくことになった。車で乗り合わせ簡単に着いた。 そこでおかしなことが起きる。まずチェスのクイーンがなくなり、冷蔵庫のタマゴケースで見つかる、代わりに卵が消えバスルームの棚に。そこにあった小さな鏡が消えて、クーンをしまうはずの箱から見つかる。 なくなったものはないが誰がなぜこんな面倒なゲームを仕掛けたのか。恵美ちゃんが謎解きをしたが何か含みがあった。 そこで恵美ちゃんが一緒に行った吉村さんと将来の約束が出来ているのを知る。 夜の蝉 「私」の姉は凄い美人で、服装も化粧も完璧に仕上げてでかけていく。だが、となりのトコちゃんを自転車の荷台に乗せてお祭りに行った帰り、暗い顔して歩いてくる姉とすれ違った。 姉は好きな人がいた、それが「お化け」に邪魔されて、離れつつあった恋人から誤解を受けたという。 芝居のチケットをめぐる、姉の失恋の謎を縁紫さんが解く。 二人には今まで見えない拘りがあって、打ち解けて話すことがなかった。 だが姉は急に優しくなった。それまでの父親を挟んでのいきさつも、忘れたようだった。 姉と新潟に旅をする。良寛さんの住んだ庵を訪ね、年老いても恋の歌を初々しく読んだことに感激する。 年下の貞心尼に「あづさゆみ春になりなば草の庵を早く訪いませ逢ひたきものを」まっすぐな恋の歌から、二人は気づくことがある。 二人の姉妹が、話すこともなく、お互いに抱いてきた思いが、旅に中でゆるゆると溶けていく 扉の ―― 時の流れに テーマ色濃く出て、特にこの「秋の蝉」が果たした役割が熱く暖かく浸みてきて感動する。 人は皮や肉では立てない、骨がなければ。そんなごく当たり前のことを確認して、17歳の私はいたく感動した。ふと私が気づいたこと。面白い。 北村さんの柔らかい自然描写と、円紫さんの謎解きの鮮やかさ。時とともに私も大人になっていく。優しく豊かな言葉の重なりが心地いい。 高校の古文の先生が、突然吟じ始めて驚いたことがある。二度目からはみんなも慣れたが、この吟詠というのも、発声や伸ばし方などの系統(派)があると言う。聞きなれるとだだの朗詠ではなく、百人一首の読み上げとも違う声には何か深い思いに届く、先生の声の響きを思い出した。
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何処かの中学受験関連のブログでご紹介されていたシリーズ。 読み始めた時はぼんやりした印象で、面白くないかもと思っていたが、進むにつれ、独特の空気感や登場人物たちの優しさがじわじわと伝わってきた。 刺激が強すぎる本やリアルの世の中にあって、こういう柔らかい世界は、とても貴重だな...
何処かの中学受験関連のブログでご紹介されていたシリーズ。 読み始めた時はぼんやりした印象で、面白くないかもと思っていたが、進むにつれ、独特の空気感や登場人物たちの優しさがじわじわと伝わってきた。 刺激が強すぎる本やリアルの世の中にあって、こういう柔らかい世界は、とても貴重だなと感じる。
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好き嫌いでいうと微妙でした。 こんな女子大生いないしな… あと円紫さんがちょっと気持ち悪い… でもこのシリーズではない他の作品も読んでみたい。
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「円紫さんと私」シリーズの第2弾は、大学3年になった「私」の春から夏にかけての3編の物語。 今回も円紫さんの推理は冴えわたり、小さな事件は見事に解決される。この作品の魅力は、そんな日常を経て「私」が一歩一歩確実に成長していく過程をつぶさに見られることにあるのかもしれない。 「...
「円紫さんと私」シリーズの第2弾は、大学3年になった「私」の春から夏にかけての3編の物語。 今回も円紫さんの推理は冴えわたり、小さな事件は見事に解決される。この作品の魅力は、そんな日常を経て「私」が一歩一歩確実に成長していく過程をつぶさに見られることにあるのかもしれない。 「朧夜の底」では人の心の闇にゾッとし、「夜の蝉」では人の嫉妬や悪意に触れ心痛める「私」。 けれど、そんな昏い部分にもしっかりと向き合い、まっとうに生きていく「私」の姿に勇気づけられるのだ。 幼い頃からずっと感じていた姉との間の壁のようなものが、「私」が大人として姉のことを慮れるようになったことで氷解し、やっと素直に愛情を感じるラストの一言がなんとも嬉しい。
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謎解きよりも心惹かれるのは、自分が興味を持つものに共感してくれて、なおかつ、確かな知識と教養をもつ人との会話。こういう幸せな時間こそが、自分を高めてくれるものなのだろうなあ。
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『空飛ぶ馬」に次ぐシリーズ二作目。 前作と同様に、日常の謎を題材にした連作短編集です。 収録作は三編と少ないですが、一つ一つの作品が長めになり、じっくりと読ませます。 全体的に穏やかで優しい雰囲気なので、嫉妬や悪意といった負の感情が露わになる瞬間が鮮烈でした。 その一方で、...
『空飛ぶ馬」に次ぐシリーズ二作目。 前作と同様に、日常の謎を題材にした連作短編集です。 収録作は三編と少ないですが、一つ一つの作品が長めになり、じっくりと読ませます。 全体的に穏やかで優しい雰囲気なので、嫉妬や悪意といった負の感情が露わになる瞬間が鮮烈でした。 その一方で、主人公の成長過程が描かれているので、シリーズものとして読む楽しさも味わえるのではないでしょうか。 情景描写の美しさに加えて、心の機微の表現が巧みで、作品ごとに違った余韻が残りました。
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