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夜の蝉 の商品レビュー

3.9

186件のお客様レビュー

  1. 5つ

    43

  2. 4つ

    72

  3. 3つ

    46

  4. 2つ

    4

  5. 1つ

    0

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2024/01/29

約3年前に読み終えてたけど、これっぽっちも読み込めてなかった。確か、お姉ちゃんがきらいだった記憶があるけど、今読んだら共感した。っつーことは、私が変化したんだ。 もうひとつ、このシリーズは結構毒が詰まってることにやっと気付いた。今の私にはちょうどよい毒。大人になったということか...

約3年前に読み終えてたけど、これっぽっちも読み込めてなかった。確か、お姉ちゃんがきらいだった記憶があるけど、今読んだら共感した。っつーことは、私が変化したんだ。 もうひとつ、このシリーズは結構毒が詰まってることにやっと気付いた。今の私にはちょうどよい毒。大人になったということかしら。

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2023/08/21

三編で構成された短編集、日常のミステリーを主人公と探偵役の円紫が解き明かしていく。 少しミステリー部分に人の悪意もあるが、「空飛ぶ馬」以上に主人公の人間関係が描かれ、読後感は良い。円紫師匠は安楽椅子探偵タイプで優秀過ぎるくらい頭がよく、主人公とのやりとりが心地よい。

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2023/06/27

北村薫ワールド。私世代の女性を主人公にした作品は自虐的で自己否定しているケースが多いが、彼の作品はそれほど酷くない。感情的だけど感情に溺れすぎないところが抵抗感なく読めるところ。

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2023/04/16

穏やかな作風の中にほろ苦さがある。 2人の友人と姉。 女性陣を取り巻く不可思議な出来事を、円紫さんが鮮やかに解き明かす。 美しい文章で綴られる心の機微に時折胸が苦しくなった。 特に表題作が印象的で、姉の苦い恋と「私」との関係性に涙が出そうだった。 意外な思惑が潜む他2篇も好きだっ...

穏やかな作風の中にほろ苦さがある。 2人の友人と姉。 女性陣を取り巻く不可思議な出来事を、円紫さんが鮮やかに解き明かす。 美しい文章で綴られる心の機微に時折胸が苦しくなった。 特に表題作が印象的で、姉の苦い恋と「私」との関係性に涙が出そうだった。 意外な思惑が潜む他2篇も好きだったな。

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2023/03/29

アリス(亜栗鼠と表記すべきか?)は初めてじっくり考え込みながら読んだおかげか自分の推理が北村先生の物語に追いついた。もちろん北村先生の巧み稀なる描写力のお陰なのだが、とても誇らしいのも正直なところ。 いやー読めば読むほど日常ミステリというのにハマっていく。このシリーズはさくさく読...

アリス(亜栗鼠と表記すべきか?)は初めてじっくり考え込みながら読んだおかげか自分の推理が北村先生の物語に追いついた。もちろん北村先生の巧み稀なる描写力のお陰なのだが、とても誇らしいのも正直なところ。 いやー読めば読むほど日常ミステリというのにハマっていく。このシリーズはさくさく読めるのが何よりの魅力だろう。

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2022/11/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本推理作家協会賞受賞のこの短編集。しかし私は1作の『空飛ぶ馬』の方を推す。 今回も主人公私が出くわすのは日常の謎だ。それもいつもとちょっとだけ違う違和感に似た現象だ。それらを円紫師匠と私が問答を行うように解き明かすと、人間の心の暗部が浮き上がる。 今回収められた作品は3編。 第1編「朧夜の底」では友人正ちゃんのバイト先の神田の大型書店で遭遇する国文学書に対して行われる些細な悪戯が、悪を悪と思わない都合主義な利己心に行きつく。 2編目の「六月の花嫁」はもう1人の友人、江美ちゃんの誘いで軽井沢の別荘に行ったときに起きた、連鎖的消失事件について語った物。 チェスのクイーンの駒→卵→脱衣室の鏡と続く消失劇は「私」の推理でその場は一応解決されるが、1年後、江美ちゃんの結婚へと結実する。しかしそこには江美ちゃんが「私」を利用したやましさがあった。 最後は表題作「夜の蝉」。「私」の姉の交際相手、三木さんが新入社員の沢井さんと浮気しているという噂を聞いて、姉は歌舞伎のチケットを三木さんに渡し、待ち合わせをするとそこに現れたのは沢井さんだった。後日喫茶店で3人で話し合ったときに三木さんに「なぜあのような意地悪をするのだ」と叱責される。誰が姉の手紙を沢井さんへ送ったのか?女のしたたかさを感じさせる1編。 それぞれ作品の真相は「本の中身の万引き」、「二人の情事からの目くらまし」、「郵便物を返還し、姉の相談相手が忠告のため行った事」である。 今回特徴的なのは『空飛ぶ馬』よりも各編が長くなり、事件が起きるまでに「私」を取り巻く人々の知られていない部分について語ることにページが費やされている。1、2作目はそれぞれ「私」の友人の正ちゃんと江美ちゃんのサークル活動について。3作目は今までほとんど語られる事のなかった「私」の姉との関係について。 そして各編で事件が起きるのは1作目では全91ページ中39ページ目、2作目では全80ページ中36ページ目、3作目では全91ページ中37ページ目で。つまり今回の謎は各登場人物を描き出す因子の1つとして添えられているようだ。 純粋に推理だけに終始する物語は好きではないものの、このように謎そのものがメインでない物語も好きではない。逆にもどかしさを感じずにいられなかった。 だから私は今作よりも前作の方が日本推理作家協会賞に相応しいと思うのだ。 確かに各編で語られる人間模様、「私」の感性豊かな主張、落語や日本文学について語られる侘び寂び溢れる薀蓄、日本の良さを強く感じさせる品の良い自然描写などどれをとっても一級品でそれら「寄り道」は確かに面白い。 しかし、それらをメインで語るならばミステリでなくて良いわけで、やはりミステリと謳うからには物語の主柱に謎があって欲しいのである。 ところで1作目で「私」にも恋の訪れがあるのかと思わせたがその後の2編では全く出てこない。 代わりに2作目では江美ちゃんの結婚、3作目では姉の失恋と続く。 そうか、これはミステリの意匠を借りた恋愛短編集なのかもしれない。しかしそれらは惚れた、振られただのを声高に叫ぶど真ん中の恋愛ではなく、昔の日本人の美徳とされた慎み深く、他人に見せびらかすことない、忍ぶ恋愛だ。

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2022/07/10

文庫版解説では、まず本格推理小説と絶賛しているけれど、わたしには推理小説としてよりも心情小説(そんな言葉は無いだろうけれど)としての面白さに惹かれる。 さらに本作は恋愛三部作の体を成しているかのよう。 表題作「夜の蝉」では幼い頃からの姉妹の葛藤がわたしの胸を押しつぶすような切なさ...

文庫版解説では、まず本格推理小説と絶賛しているけれど、わたしには推理小説としてよりも心情小説(そんな言葉は無いだろうけれど)としての面白さに惹かれる。 さらに本作は恋愛三部作の体を成しているかのよう。 表題作「夜の蝉」では幼い頃からの姉妹の葛藤がわたしの胸を押しつぶすような切なさをもって迫ってきた。 幼い兄弟姉妹のそれぞれの想いは、かつて自分も子供だったはずの大人の目を通してははかれないかもしれない。

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2022/09/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

“私と円紫さん”シリーズ第二弾。 前作「空飛ぶ馬」からさらに良くなってる! 『夜の蝉』 北村薫 (創元推理文庫) 本の扉には「時の流れに」と書かれている。 北村さんの作品には「時の三部作」もあるし、“時”について何か強い思いが感じられる。 大きな時間の流れの中で私たちは生きているけれど、惰性というか、ついつい流されっぱなしになってしまう。 そんな時ちょっと立ち止まって時をひと掬いしてくれる、北村さんの小説はそんな感じがする。 さて、「朧夜の底」は怖い話である。 本屋で“本の内容を盗む”という目に見えない犯罪。 考えたこともなかったなそんなこと。 自分が悪いことをしているとは思っていないかもしれない顔の見えない犯人。 じわじわ怖さがやってくる。 あのいつもニコニコしている円紫さんが、「何だか疲れたような表情」をしているのが、この事件のやりきれなさを物語っている。 目に見えない犯罪だから誰にも裁くことはできないけれど、またもしかして同じことが繰り返されるかもしれず…。 怖いです。 さて、次の「六月の花嫁」は、打って変わってほのぼのテイストの謎解きから江美ちゃんの結婚へとつながるハッピーなお話。 あんまり詳しく書かれていないにもかかわらず、なぜか存在感のある吉村さん。 気になります。 きっといい人なんでしょうね。 そして最後は「夜の蝉」。 これはねーすごかったー。 私にとっては、ですが。 本来の謎解きよりも姉妹のことに目がいってしまってさ。 私も二人姉妹なので。 主人公の「私」には姉がいるのだが、二人は子供のころ仲が悪かった。 姉は妹をいじめ、妹は姉に怯えて暮らしてきた。 その姉が、ある事件をきっかけに妹に優しくなる。 それが“夜の蝉”。 夜に部屋に飛び込んできた蝉を怖がる妹が、姉にしがみついて助けを求めた時、姉は姉としての運命を受け入れることができたのだ。 妹が生まれたとたん、“姉”というわけのわからないものにされてしまい、自分に素直になることがどうしても出来なくて、羨ましいと思う気持ちや憎しみや愛おしさや、いろんなものがないまぜになった感情は、すれ違ってばかりでかみ合わなくて…。 どちらも悪くないのにね。 「人間が生きていくということはいろんな立場を生きて行くこと。拘(かか)わりや役割というものを理屈でなく感じる瞬間が必ず来る」 と、この姉は言う。 本の扉の「時の流れに」は、そういう意味もあるのだろう。 時が解決してくれるというのはよく言われることだけど、時でなければ解決できないことが確かにあるな、としみじみ思った。

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2022/02/13

私と姉との話が中心に構成されている。姉妹旅行で良寛さまの縁の地を訪ねるということで、新潟県寺泊から弥彦まで馴染み深い描写が数多くあった。自分のよく知る土地を他者の文章で読み記憶をなぞるというのは楽しい作業である。姉妹2人の名前はどこにも出てこない。名前を出さずとも話が成立するのだ...

私と姉との話が中心に構成されている。姉妹旅行で良寛さまの縁の地を訪ねるということで、新潟県寺泊から弥彦まで馴染み深い描写が数多くあった。自分のよく知る土地を他者の文章で読み記憶をなぞるというのは楽しい作業である。姉妹2人の名前はどこにも出てこない。名前を出さずとも話が成立するのだと思うと普段読む小説と何が違うのかと素朴に疑問だ。

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2022/01/23

うまい、何もかもがうますぎる。 つるっと読めてしまいました。 シリーズ二作目と気付かずに手に取りましたが、一作目を読まずとも大丈夫です。 本格ミステリの鮮やかさに胸を躍らせ、主人公が大人の女性へと成長していく時間の流れに切なくなったり。 ため息の出るような小説でした。

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