ナラタージュ の商品レビュー
狂気に似た恋愛
たとえ他の人と人生を歩むとしても、心の中に生涯の恋人を持つ。それは不幸なのか幸せなのか……。主人公である泉の、彼女が恋い慕う葉山先生の、それぞれの想いは切なく痛い。静かな狂気にも似た恋を紡ぐ、恋愛小説。
きよはら
なぜだかものすごく惹き込まれてしまった。 恋愛において「良い」「悪い」があることを決して否定することはできないが、それでもそういった"評価"を越えたものがそこにはある。 人々の行動は常に理性と本能のバランスのもとにあるが、恋愛感情が伴うと途端に崩れてしまう。 どちらに従うべきだと...
なぜだかものすごく惹き込まれてしまった。 恋愛において「良い」「悪い」があることを決して否定することはできないが、それでもそういった"評価"を越えたものがそこにはある。 人々の行動は常に理性と本能のバランスのもとにあるが、恋愛感情が伴うと途端に崩れてしまう。 どちらに従うべきだというのではなく、理性も本能も自分の気持ちとして、無理に無視しようとせず丁寧に見つめてあげても良いような気がした。 著者が21歳の頃に書かれたものらしい。 今の私も21歳。 今だからこそ感じるものが多く詰まっていたのだと思うと、ものすごく貴重な瞬間だったと感じた。
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とても静かな、なのに(特に後半)とても、とても、とても切ない物語でした。 人を好きになる時、恋をする時、これを理性で制御しようと思っても全く叶いません。
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帯の評価が高く、期待してしまっていただけに、ガッカリした。 主人公の感情や物語の展開は盛り上がっていても、淡々と読んでしまう。 葉山先生はずるくて最低だし、小野君との恋愛は自身も大学生の時に経験した「どっちの方が好きか」で拗れて男が威圧的になるし、柚子ちゃんの件といい、終始女が弱くて、振り回され、それを美化しているような…。 だれも本当には幸せにならず、不誠実な人達の恋愛話…
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夏もそろそろ終わりかな? ってな事で、島本理生の『ナラタージュ』 禁断の純愛…………。みたいな感じで、映画も良かったとか……。 個人的に後半はボチボチな感じはあったけど、どうもしっくり来ない。 禁断な純愛ってよりは煮え切らない優柔不断な教師が寂しさの余り生徒にちょっかい...
夏もそろそろ終わりかな? ってな事で、島本理生の『ナラタージュ』 禁断の純愛…………。みたいな感じで、映画も良かったとか……。 個人的に後半はボチボチな感じはあったけど、どうもしっくり来ない。 禁断な純愛ってよりは煮え切らない優柔不断な教師が寂しさの余り生徒にちょっかい出して、騙して都合の良い二股をかけたみたいな印象じゃね。 ラストも再婚したが、まだ定期入れの中に泉と二人の写真を入れて想っているよみたいな…… 全く煮え切らん男と女じゃわ 2018年64冊目
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本当の最初は結婚の文字があって、 結末がハッピーエンドなのかと思ってた。 でも、すぐにそうじゃないと気づいた。 主人公の彼女は、今でも再び顔を合わせることはない彼を思い出しているから。 彼女と彼と演劇を通じて知り合った友達、 3人の間で移りゆく様々な関係。 そして、3人の周りに...
本当の最初は結婚の文字があって、 結末がハッピーエンドなのかと思ってた。 でも、すぐにそうじゃないと気づいた。 主人公の彼女は、今でも再び顔を合わせることはない彼を思い出しているから。 彼女と彼と演劇を通じて知り合った友達、 3人の間で移りゆく様々な関係。 そして、3人の周りにいる仲間たちにも様々な事情があり、 またたく間に展開されていくストーリー。 彼女と彼の関係に苦しくなりながらも、 最後には言葉では表せないなんとも言えない何かが残っていた。 その何かはきっと忘れることは無い痛みに近いと思う。 読み始めたら目が話せなくて、 時間なんか忘れて夢中で読んでました。
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なんでしょう、タイトルがいい。 綺麗事ではない、苦い恋愛をリアルに見せつけられる、印象に残る本。だからこそまた読みたいとは思わない。
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人が人を好きになるのはタイミングか。それを人は運命と呼ぶのか。 1人の学生と教師の恋が主軸になっているが、これはどうしようもない弱虫たちの物語ではないかと思えた。 間違っているはずなのにズルズルと恋愛の深みにはまっていく。卒業も出来ず、前進も出来ず、そのままで居続けるしかない者た...
人が人を好きになるのはタイミングか。それを人は運命と呼ぶのか。 1人の学生と教師の恋が主軸になっているが、これはどうしようもない弱虫たちの物語ではないかと思えた。 間違っているはずなのにズルズルと恋愛の深みにはまっていく。卒業も出来ず、前進も出来ず、そのままで居続けるしかない者たち。そんな風に思ってしまうのは筆者がまだまだ子供だからだろうか。それでもこの居心地の良い文章にはずっと溺れていたいと思えた。もしかしたら彼らにとっての恋愛はこうだったのかもしれない、そんな風に思えた。
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所詮は子どもの勘違いと言い消すことのできないような、色褪せることがないもの。 生まれて初めて感じた、無償の愛だった。 貴方がいてくれるだけで真っ暗な朝に光が差していくようだった。 貴方と話すだけで、穏やかでいられた。 唯一、私が安心できた場所だった。
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P0 ナラタージュー映画などで、主人公が回想の形で、過去の出来事を物語ること きっと 子供だったから愛とは違うとかじゃなくて、子供だったから、愛してるってことに気付かなかったんだよ 物語を読む前に、表紙の裏とタイトル脇の所から、気になるフレーズが。 苦手だった島本さん。再読して、自分がどう感じるかワクワク。 P72 「工藤は自分自身を適当な人間だと思っているみたいだけど、本当は責任感が強くて完璧主義者だよ。そういう子はかならず最後まで大丈夫なふりをして追い詰めるけど、死んでしまうぐらい嫌な事なんて簡単に放り出してしまってかまわないんだ。君よりも苦労して頑張っている人がいるんだから君もがんばれ、なんて言葉は無意味で、個人の状況を踏まえずに相対化した幸福には何の意味もない。 誰だって本当は自分の好きな事や明確な人生の目標に対してしか苦しんだり努力したりはできないものなんだから。 君が本当に今の場所から離れたいと思ったときぼくはそれを逃げていると思わないよ。」 葉山先生、いいこというなぁ。 P162 「相談したら気が済んじゃうから、私も一人でじっくり考えてみる。」 そんな言い回し素敵だな。 途中、柚子のところが大ダメージ。 あぁ、私この本ってここがきつかったんだ。と記憶からなくすくらいダメージ。 でも、工藤さんと先生の行く末が気になって、一日置いて読む。 先生、ずるいし弱いなぁ。 でもそのずるさも含めて泉は好きだったんだよね。あ、好きって言わないか。〝愛〟なんだね。ちゃんと燃えるつきるまで、その想いを貫いた泉がすごい!! 葉山先生は、何を大事にしたかったのかな。
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