レキシントンの幽霊 の商品レビュー
7つの短編で、旅の帰り道の新幹線にするっと読めた一冊。久しぶりに読んだ村上春樹はやっぱり、見かけは表面が平坦で、静かな波、なのに奥底に渦巻く深さは計り知れない感じ。何を考えてるのか想像しきれない微笑んでる上司みたいな怖さ。本は読み切ったけど、まだ読み切れてない気がする。また戻って...
7つの短編で、旅の帰り道の新幹線にするっと読めた一冊。久しぶりに読んだ村上春樹はやっぱり、見かけは表面が平坦で、静かな波、なのに奥底に渦巻く深さは計り知れない感じ。何を考えてるのか想像しきれない微笑んでる上司みたいな怖さ。本は読み切ったけど、まだ読み切れてない気がする。また戻ってきたい一冊。 以下、本文より - 私には未来というものがない。ただただ過去を積み重ねていくだけなのだ。 - 具体的な現実から遠いところにいる私たち子供 - 目に見えるものが存在せず、目に見えないものが存在する場所
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短編 村上春樹さんはなんだか流れるように美しい文章を運んでくれる 「時間は僕のまわりを心地よく穏やかに過ぎ去っていった。まるでぴったりとサイズのあった ひとがた に自分を埋め込んだような心持ちだった」 「そのあとでようやく、それに気がついた。音だ。 海岸の波の音のようなざわめきー...
短編 村上春樹さんはなんだか流れるように美しい文章を運んでくれる 「時間は僕のまわりを心地よく穏やかに過ぎ去っていった。まるでぴったりとサイズのあった ひとがた に自分を埋め込んだような心持ちだった」 「そのあとでようやく、それに気がついた。音だ。 海岸の波の音のようなざわめきーその音が、僕を深い眠りから引きずり出したのだ」 どんな言葉も心を落ち着かせてくれるような そんな文章たちの一冊
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表題作とめくらやなぎと、眠る女 「いちばん辛いのは、怖いことなんだよ。実際の痛みよりは、やってくるかもしれない痛みを想像する方がずっと嫌だし、怖いんだ。」 「誰の目にも見えることは、それほど重要なことじゃない。」
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粒揃いの短編集。 不思議な体験は、現実に起こりそうな物もあり、ファンタジー色の強い物もある。 恐怖を扱った作品は、「怖い」を楽しむ、いわば娯楽としての恐怖小説とは少し異なる気がする。 「怖い」はどこから来るのか?なぜ「怖い」という感情が湧くのか?と、いろいろ考えさせられた。 この...
粒揃いの短編集。 不思議な体験は、現実に起こりそうな物もあり、ファンタジー色の強い物もある。 恐怖を扱った作品は、「怖い」を楽しむ、いわば娯楽としての恐怖小説とは少し異なる気がする。 「怖い」はどこから来るのか?なぜ「怖い」という感情が湧くのか?と、いろいろ考えさせられた。 この作品集で描かれる恐怖は、心が受けた深い傷から滲み出るもの、怖いけれど楽しいもの?想像に過ぎないもの?、女の心の中の恐ろしさ、人間の心の奥に残った消えることのない恐れの記憶が絶望的な未来を予感させるものなどさまざまである。気が付いていないだけで、まだ他にも隠されているかもしれない。
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少し寂しくて読んだ後不思議な気持ちになる短編集 とても想像力を掻き立てられました、 個人的に「七番目の男」が好き
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「自己との切実なまでの対面」 本著は『めくらやなぎと眠る女』を除き、かの有名な『ねじまき鳥クロニクル』の後と、『ダンス・ダンス・ダンス』『TVピープル』の後に書かれた短編集である。 執筆された時期は作品毎に微妙に異なる。 だが読後に私が感じたのは、いずれの作品にも一貫として「...
「自己との切実なまでの対面」 本著は『めくらやなぎと眠る女』を除き、かの有名な『ねじまき鳥クロニクル』の後と、『ダンス・ダンス・ダンス』『TVピープル』の後に書かれた短編集である。 執筆された時期は作品毎に微妙に異なる。 だが読後に私が感じたのは、いずれの作品にも一貫として「自己との徹底的な対面がある」ということだ。 我々は自己との対面を避ける。特に内面的な事柄に関してだ。 背負った業や、現在進行系で抱えているものから目を背け、一時的な逃避に走る。 それは自己防衛に成りうると同時に、自身に重い枷を掛けることにもなる。 時には逃げることも良いだろう。臭いものには蓋をして、それを意識の外側に放置しておくのは精神の安定にも繋がる。 だがその蓋が得てして弾かれてしまったとき。そこからは深い悲しみや激情が溢れ出てくるだろう。 例えば、 納得のいかない自身の現状に目を背け、ひたすらに仕事に身を打ち込む。 人と心の通った関わりを避け、利己的な人間関係を構築する。 腹の底からやりたいことがあるのに、他者の評価や視線を気にして現状に甘んじる。 事の大小や程度が違えど、いかなる人間にもそういった経験はあるはずだ。 私はそれらから逃げるな、とは言わないし、言えない。だがいつか、嫌でも対面しなければならない時がやってくるかもしれない。 一方で、いつその時がやって来るのかは、私たちには予測ができない。 だからこそ私は、しっかりと自身の心の声を聞き、かつて損なわれた自己を省みて、日々を過ごさなければならないと感じた。 限りなくフィクションに近いノンフィクション。 読み返すときには本著が響かない、そんな人間になれれば、私にとっては御の字である。 ぜひご一読を。
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短編集。お風呂本。 とても読むのに時間のかかった本だが、あまりないようは覚えていない。 レキシントンの幽霊で「僕が今ここで死んでも、世界中の誰も、僕のためにそんなに深く眠ってはくれない」って一文がよかった。 「そんなに一緒懸命生きると、うまく死ねなくなる」みたいで。 たまにいい一文が見つかるので、村上春樹の本を読みたくなる。基本設定が嫌いなことが多いけど。
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「レキシントンの幽霊」★★☆☆☆ 「僕が今ここで死んでも、世界中の誰も、僕のために そんなに深く眠ってはくれない」ってロマンチックで好き。結局幽霊の正体って何だったんだ? 「緑色の獣」★★★★☆ 体が緑で手足がピンクで鼻が長い、想像すると色合いが気持ち悪い。ゾウとモグラを足したような感じかな。 中身は繊細で礼儀正しくて良い奴に思える。相手の心を読める能力を逆手に取り、残虐な妄想で獣を苦しめる女が怖い。なにも悪いことしてないのに殺された獣が可哀想。 「沈黙」★★★☆☆ 青木が陰湿でうざい。青木の噂を信じて大沢を助けない学校側にも問題あると思う。最後大沢は弱りきったけど、青木の目が一瞬震えたから今だにビビってんのかな。だとしたら、大沢の勝ちな気もする。 「氷男」★★★☆☆ 「南極にいるこの私の夫はかつての私の夫ではないのだ」南極をきっかけに私が孤独を感じる一文が切ない。 氷男が南極行きにあまり乗り気じゃなかったのは何でだろう。南極の方が彼はイキイキしてるのに。環境に適応しすぎて、私を阻害してまうことを恐れていたのか? 「トニー滝谷」★★★★☆ 自分も1人が好きで孤独を愛してるのでトニーに共感できた。妻の服と父のレコードを捨て死者を綺麗さっぱり忘れて、気持ちを切り替えるラストは清々しい。ただ、結局は恐れてた孤独に戻ってしまった訳だから寂しそう。ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか絶妙な終わり方が好き。 「七番目の男」★★★☆☆ 波で飲み込まれる様子は3.11の津波の映像を思い出した。私はトラウマから逃げがちなので、トラウマと向きあい克服した私の姿勢を見習いたい。 「めくらやなぎと、眠る女」★☆☆☆☆ 私といとこのやりとりがずっと続くだけでつまらなかった。
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必要に迫られて読んだんだけど、村上春樹さんの本ってノーベル文学賞候補にあがってるでしょ? 何でかわからないと思わせる作品でした。 背景描写はうまいって思うけど。 英語で読むと良いのかなって思わされました。 感じ方が違うんだろうね。 ただ、私が読み込めてないだけなんだろうけど。
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作者の短編集読み漏らし② ボリュームは200p弱だが、どの作品もかなりヘヴィーで読後に陰鬱なしこりが残る。 また全体的に示唆的で、作者の価値観・物の捉え方に対する提示がなされ、意外と他作にはない色合いを持つ。 コンセプチュアルとも言えるし、執筆当時の作者の心情にも思いを馳せれる...
作者の短編集読み漏らし② ボリュームは200p弱だが、どの作品もかなりヘヴィーで読後に陰鬱なしこりが残る。 また全体的に示唆的で、作者の価値観・物の捉え方に対する提示がなされ、意外と他作にはない色合いを持つ。 コンセプチュアルとも言えるし、執筆当時の作者の心情にも思いを馳せれる、とても充実した内容だった。
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