坂の上の雲 新装版(六) の商品レビュー
一気に読み上げました。 やはり戦争描写は面白くないけれど、戦争にまつわる様々な舞台裏はなかなか面白い。 戦争というのは、結局のところ様々な国の状況が重なってなされるものであり、その結果も様々な切口から見ないと予測できない。日露戦争で、日本という小国がロシアという大国に勝ったのは...
一気に読み上げました。 やはり戦争描写は面白くないけれど、戦争にまつわる様々な舞台裏はなかなか面白い。 戦争というのは、結局のところ様々な国の状況が重なってなされるものであり、その結果も様々な切口から見ないと予測できない。日露戦争で、日本という小国がロシアという大国に勝ったのは、ロシアの国が内部から崩壊してきていたためのようである。 常々、会社(や国などの組織)の何か不正が発覚したとき、「発覚したのは不運であったのかもしれないけれど、それにいたるまでには、数え切れないぐらいの積み重ねがあったのだろう」と感じている。戦争というもっと大きなスケールのものも、やはり同じことが言えるようだ。 しかし、それにしても戦争というのはやはり不幸なものであるようだ。内戦やテロを支援し、成功を収めた明石さん、その他戦争でたくさんの功績を収めた将たち、みんな自分の手柄に手ばなしで喜べないというつらさがある。
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黒溝台会戦、バルチック艦隊回航、明石元二郎の諜報、奉天会戦直前まで。明石のヨーロッパでの諜報活動が面白い。イギリスではなく、ロシアで共産主義革命が起きたのか納得できる。
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【82】 黒溝台会戦⇨バルチック艦隊マダガスカルでの足止め⇨明石元二郎の大諜報、ロシア革命勢力との連携⇨乃木軍、本隊へ合流⇨鎮海湾(待機地)⇨バルチック艦隊再出発、インド洋航海⇨奉天会戦へ 2011.12.30読了
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おすすめ度:90点 明石元二郎の欧州での諜報活動と革命煽動は、明石という人物の個性と相まって、とても興味深い話であった。 「日露戦争の勝因のひとつは明石にある」といわれたほどに、明石の業績は大きい。 フィンランド、ポーランドといった属国の存在。 皇帝専制国家の圧政に対する民衆の...
おすすめ度:90点 明石元二郎の欧州での諜報活動と革命煽動は、明石という人物の個性と相まって、とても興味深い話であった。 「日露戦争の勝因のひとつは明石にある」といわれたほどに、明石の業績は大きい。 フィンランド、ポーランドといった属国の存在。 皇帝専制国家の圧政に対する民衆の不満。 日露戦争での露軍兵士の敵は、本来は露専制国家にあり、日本は友愛の対象であるにもかかわらず、戦火を交えざろう得ない、大いなる矛盾が浮き彫りにされる。 バルチック艦隊も同様に、大いなる矛盾の上に存在している。 諸悪の根源は、露皇帝専制国家にあり、小皇帝である提督ロジェストウェンスキーの存在そのものが、滑稽にさえみえてくる。
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開城後の旅順について知りたくて読書。 6巻では明石元二郎について多くのページを割いている。名前は知っていたが、どのような人物でどんな活躍をしたかは知らなかった。著者の小説で、それまでマイナーだった人物へスポットを当てて世に知られた人物は多い。明石もその内のひとりなのかもしれない...
開城後の旅順について知りたくて読書。 6巻では明石元二郎について多くのページを割いている。名前は知っていたが、どのような人物でどんな活躍をしたかは知らなかった。著者の小説で、それまでマイナーだった人物へスポットを当てて世に知られた人物は多い。明石もその内のひとりなのかもしれない。 開国後30年ちょっとの弱小であるが上り坂の日本と大国であるが下り坂のロシア。皇帝制支配の揺らぎ、ロシア国内の混乱と革命の火種がロシア国内の基礎を崩していく様子が読み取れる。 ロシアの皇帝と日本の天皇を分けて認識、説明している点はさすがと思う。しかし、残念なことに「天皇制」という言葉を使用している。「天皇制」は著者が指摘する古典的左翼が産み出した正しくない(元々存在しない)言葉なので適切ではない。 開城後の二〇三高地の様子なども述べられている。現在の姿からでは全く想像できないような地獄絵図だったようだ。やはり、戦争を肯定する気にはなれない。本巻で乃木希典への評価が少し転換しているように感じる点が興味深い。 読書時間:約1時間10分 本書はお借りました。有り難うございます。
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6巻目。 いよいよバルチック艦隊がやってくる。 陸軍・海軍共に奮闘している様子に感動した。 続きが早く読みたい。
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率直な本巻の感想…つなぎの巻という感じ。少し一息。明石元二郎の大諜報の貢を重く置きあとは今までの経過を延ばしたという印象。 日本の不慮によっておこった黒溝台会戦からこの巻は描かれる。秋山好古の孤軍奮闘の様子と本部の無能ぶりが対照的であった。現場第一主義を身を以て感じた。 今回もロジェストウエンスキーについて長く触れられていた。未だ05年1月からマダガスカルから石炭が確保できないために足止めをくらい、旅順艦隊壊滅の知らせ、本国の革命勢力がいよいよ強くなってきたという知らせを受け取りながら、ロシアに戻るのかウラジオへ向かうのかという精神の葛藤の中で大艦隊の指揮をこなしてきたことにおいてはとてつもない精神力なのだと思った。最終的に日本海まで全艦隊を引き連れていく事に成功するのだから。指揮官としては司馬さんの述べているように適当ではないかもしれないが。 明石の活動に関しては 「明石の仕事はこういう気流を洞察するところから始まり、それにうまく乗り、気流のままに舞い上がることによって一個人がやったとは到底おもえないほどの巨大な業績をあげたというべきであり、そういう意味では、戦略者としての日本のどの将軍たちよりも卓越しておりー君の業績は数個師団に相当する。と、戦後先輩からいわれた言葉は、まだまだ評価が過小であった。」に要約されているのではないかと思う。 奉天会戦にむけて各軍司令部がはじめて結集し、最終作戦について松川参謀の左翼:能乃木軍、右翼:鴨緑江軍で誘導させ中央突破するという案の確認を行うところで本巻は終わる。
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日露戦争と同時期にロシア国内および周辺国で行われた諜報業務が描かれており、前線の生々しい描写とは異質なもので新鮮だった。この「大諜報」の章では”ウラジオストック”という地名がロシア語では”東を征服せよ”という攻撃的な名前であることを知った。
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