坂の上の雲 新装版(六) の商品レビュー
兵力は大きければ大きいほど、勝つ確率は高くなる。だから、兵を欲するのはもっともなこと。 ただ、愚策として、兵をとりあえず追加するということが挙げられる。状況をみて、量で勝てるものなのか、作戦を見直すべきなのかは考えなくてはいけない。 この巻で明石元二郎という人物が出る。 ロシ...
兵力は大きければ大きいほど、勝つ確率は高くなる。だから、兵を欲するのはもっともなこと。 ただ、愚策として、兵をとりあえず追加するということが挙げられる。状況をみて、量で勝てるものなのか、作戦を見直すべきなのかは考えなくてはいけない。 この巻で明石元二郎という人物が出る。 ロシアの国力を削ぐため、革命の火種を作るのであるが、これを一人でできる人物はなかなかいないので、適材適所ってこういうことを言うんだなと思った。
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黒溝台会戦の日本の体たらく、グリッペンベルグの意気地ない退却、ロジェストウェンスキーの無謀な大航海、運気もあがらずまとまりのない日本陸軍。どちらも悲惨な精神状況下で戦い続ける日本とロシアにおいて、日本を勝利に至らしめた要因は国民のナショナリズムの強さの違いではないかと感じる一冊。...
黒溝台会戦の日本の体たらく、グリッペンベルグの意気地ない退却、ロジェストウェンスキーの無謀な大航海、運気もあがらずまとまりのない日本陸軍。どちらも悲惨な精神状況下で戦い続ける日本とロシアにおいて、日本を勝利に至らしめた要因は国民のナショナリズムの強さの違いではないかと感じる一冊。情報が入ってこないにしろ、文句を言わずに天皇・軍部を信用する日本人の国民性はある種、天皇を神格化したからこそ生まれたのではないか、と思う。それが、昭和の第二次世界大戦の大敗につながってしまうのだが、当時のロシアにはぎりぎり通用したようだ。
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司馬さんの名著「坂の上の雲」もいよいよ後半へ。戦況が段々と複雑になってくるなか、黒溝台会戦でのロシア軍の攻勢、それを防ぐ秋山好古の豪胆な態度。いよいよバルチック艦隊との対峙が...。
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諜報員のところの話がものすごくおもしろかったです。かつてのロシア帝国がこんなにも周辺の国々を占領していたというのも知りませんでした。
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ここまで深く掘り下げられると、1つの出来事としての戦争だけに留まらず、歴史の背景から実際に起きたことまで、非常に多くのことを学び取れる。内容的にも非常に面白く、一気に読み終えてしまった
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またもや日本帝国陸軍のピンチ。 常に物資が不足しいつ負けてもおかしくない状況の中、秋山支隊は驚異の粘りで偶然勝ちをえた。 敵将の気まぐれでなんとか勝ちをえた好古。 4巻以降、秋山兄弟の登場シーンがへり、各章毎に登場人物が変わる短編ストーリーのようになってきた。諜報員、ロシア提督、乃木軍、日本海軍、様々な視点から戦況を見つめいざ最終決戦の奉天へ。
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日本、ロシア両国にとって、戦略の甘さが残る巻。 この巻は、戦争そのものより、外交に焦点が当てられていた。 戦争と外交は、きっても切り離せないものだと気付かされた。 そして、日露戦争とは軍人や政治家だけではなく、日本国民にとって負けられない戦争だったと強く印象付られた。
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黒講台の会戦の途中から始まるが、正直これだけではなく他の巻でも同様であるが陸戦に関しての記述はどういうわけか冗長で読んでいてもイメージがつきにくい。第何師団だの旅団だのが多数でてくるあげく、それを指揮する将官の名前、そして部隊となる地名が難しい漢字ばかりでありなかなか頭に入ってこ...
黒講台の会戦の途中から始まるが、正直これだけではなく他の巻でも同様であるが陸戦に関しての記述はどういうわけか冗長で読んでいてもイメージがつきにくい。第何師団だの旅団だのが多数でてくるあげく、それを指揮する将官の名前、そして部隊となる地名が難しい漢字ばかりでありなかなか頭に入ってこないのが原因であろうか。 さて、物語はバルチック艦隊のノシベでの停泊の一連のゴタゴタへと移る。士気のあがらない水平が独善的な司令官に率いられ、さらには新旧の艦船が入り交じる不揃いの艦隊、頻発する故障、石炭調達の困難さ、および劣悪な環境でのその補給など、バルチック艦隊を取り巻く環境は、とうてい日本軍を打ち破ることを期待させるような要素は微塵も無い。 そうこうしている最中、明石元二郎はロシア政府より同国内からの退去を勧告される。そのまま、ストックホルムを中心として諜報活動を行い、周辺各国からさらにはロシア国内にまで潜伏する反逆分子との接触を行い、それらを支援する。帝政ロシアの歴史は、周辺国からみれば迫害と制圧の歴史である。同時に、ロシアの皇室と貴族は日本のそれとは大きく異なり、自国の人民ですら所有物である程度の感覚で執政を行い、農奴と呼ばれる2000万とも言われる人民は、周辺国の非迫害民族と同様その体制に対して臥薪嘗胆の思いを長く抱いていたのである。明石は、明治政府より当時の金額で100万円の支援金を託され、こうした勢力の支援をするのである。ロシアは日露戦争での結果如何に問わず、遅かれど内部崩壊をするということが各国でそのように観測されていたのである。
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本巻では陸の黒溝台会戦、海のバルチック艦隊の冒険、そして革命直前のロシアが描かれる。 日露戦争の勝敗を決めたのはロシア国家が国として機能しなかったことに尽きる。皇帝や将軍らが守っていたのは国ではなく、自身の地位と身分。そのためには味方を落とし入れることも辞さないし、情報を独り占...
本巻では陸の黒溝台会戦、海のバルチック艦隊の冒険、そして革命直前のロシアが描かれる。 日露戦争の勝敗を決めたのはロシア国家が国として機能しなかったことに尽きる。皇帝や将軍らが守っていたのは国ではなく、自身の地位と身分。そのためには味方を落とし入れることも辞さないし、情報を独り占めしようとする。 対照的に、日本の弱点は情報を重視しないこと。秋山好古率いる騎兵部隊や情報やロシア外交員から送られる敵国情報を軽視。さらには騎兵部隊を最も適さない陣地防御に使うなど、戦争の常識も無視。 自身に関わる情報だけを必死に収集する官僚組織と情報を絶ち経験と感覚に頼る筋肉組織の対決が展開される。そんな争いとは違う世界でバルチック艦隊はフラフラと漂いながら、我が道を行く。この対比こそ、この小説のおもしろさ。
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黒溝台の戦における日本軍総司令部の愚劣さが (多少誇張はあると思いますが)描かれており どうなるのか冷や冷やする出だしでしたが 露軍も日本以上の愚劣さを発揮してくれて 何とかなったという印象が強かったです。 他には明石元二郎のロシア国内の革命勢力への刺激という 大諜報が描かれており、その暗躍振りに心底驚嘆しました。 それ以外の部分では海軍では日本海会戦への準備 陸軍では奉天会戦に向けた準備が描かれており 話はあまり進んでいないような気がするのですが クライマックスに向けて盛り上げていく巻なのかなと思います。 日露戦争では日本が勝ったということは分かっているのにも 関わらず全く気の抜けない展開で続きも楽しみです。
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