永遠の仔(下) の商品レビュー
分厚いのに引き込まれて一気に読んでしまう。 子供の会話がなかなか難しいこといってて、この年でそんなこと言うかな?とは思うけど、心理描写が丁寧で、なかなか受け止めがたいそれぞれが抱える過去や心境もちゃんと追っていける。
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かなり前から読みたいと思いつつ、量があるからと手を出せないでいた作品。 過去と現在が交錯しながら物語が進んでいき、少しずつ、登場人物たちの心の闇が明らかにされていく。その過程に引き込まれ、いっきに読むことができた。 最後の結末は哀しかったけれど、ちゃんと救いも用意されていて、...
かなり前から読みたいと思いつつ、量があるからと手を出せないでいた作品。 過去と現在が交錯しながら物語が進んでいき、少しずつ、登場人物たちの心の闇が明らかにされていく。その過程に引き込まれ、いっきに読むことができた。 最後の結末は哀しかったけれど、ちゃんと救いも用意されていて、後味の悪い終わり方にならなかったのが良かった。 刑事の伊島が言った、『生きてると、どうしたって嘘やごまかしを使わざるを得ないときがある。だが…嘘とか秘密ってのは、慣れやすい。慣れると、真実を告げるほうが簡単なときでさえ、怖くて、嘘を選ぶようになる。かえって傷を大きくしてしまうことだって、あるだろう』という言葉が印象的。
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重く辛い物語。でも読んでよかったなと思えた。もっといろいろ感じたはずだけど、時間が経ってしまい、薄れてしまった…ちゃんと残さないともったいないな
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天童荒太『永遠の仔』上下巻読了。児童虐待により心を病んで精神科病棟で同じ時を過ごした3人。それぞれが社会に戻り大人になったとき、再会によって蘇る退院最後の日の出来事。父の背中を押したのは誰だったのか。そしてそこから続く悲劇の連鎖。悲しく苦しいはずなのに抑え難いこの感動は何だ。
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読んでると辛くなるところもあるんだけど、目が離せない。過去と現在が絡み合い、終末に向け突き進む。いつかみんなが救われますように
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優希の入院の理由がついに明かされる。 そして17年前の事件の真相も・・。 優希の父親を殺したのは誰だったのか? これだけ長い物語にも関らず、誰も救われる事のないラスト。 特に優希は周りにいた人間の殆どを亡くしてしまう。 新しい土地に渡り、これから彼女はどのように生きていくつもりなのだろうか・・・。 ラストに満足できなかったので、この評価に。
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無理して中高年のときに読まなくてよかった。辛さで挫折してたかも。20すぎて、読んで、すごいよかったなと。みんな傷つきながら。抱えながら生きてるんだと、生きてていいんだと。そう思えた。 重松清が悩んだときは本を読むといい。素晴らしい本はたとえ主人公が死にたがってても、重くて辛い話で...
無理して中高年のときに読まなくてよかった。辛さで挫折してたかも。20すぎて、読んで、すごいよかったなと。みんな傷つきながら。抱えながら生きてるんだと、生きてていいんだと。そう思えた。 重松清が悩んだときは本を読むといい。素晴らしい本はたとえ主人公が死にたがってても、重くて辛い話でも読み終えたとき、死のうなんて思わないからっていっててまさに、これだなと。
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「生きていていいんだよ」 その一言を言いたかったんだなと。。。 その為には、原稿2385枚が必要だったんだなと。。 長い長い物語があって、ちゃんと最後に納得させる一言で締めている。 実際、精神的に病んでしまった子供がどう成長していくのか。。 意外と現実的な気がした。 心を切らなければ生きていけない子供。 生きるための術だけれど、やっぱり哀しい。。 それは大人になっても完全に克服などできないものだと。。 ただ、誰でもいい、、わかろうとしてくれる人。。 100%わからないだろうけど、ちゃんと話を聞いてくれて、、 その上で全部受け入れてくれる人がいたら救われるんだろうなって。。 誰が雄作を殺したのか。。 謎の部分をうまく残しながら、ラストへ導いていく。 文章力のある作家だと。。 他の作品も読んでみたくなりました。
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これは、現代の生存者(サバイバー)たちの物語です。 性的虐待、育児放棄、劣等感など、私たちの心を苛むものが溢れる世の中で、心や身体に深い傷を負いながらも懸命に生きてきた者たちの軌跡が描かれていました。 読んでいて目が離せなかったのは、登場人物たちがあまりにも儚く危なげだったから...
これは、現代の生存者(サバイバー)たちの物語です。 性的虐待、育児放棄、劣等感など、私たちの心を苛むものが溢れる世の中で、心や身体に深い傷を負いながらも懸命に生きてきた者たちの軌跡が描かれていました。 読んでいて目が離せなかったのは、登場人物たちがあまりにも儚く危なげだったからかもしれない。 ラストは、ボロボロと涙が止まらないくらいに泣きました。 「報われない」という言葉が浮かぶ一方で、同じくらい強く「報われた」という思いが浮かびました。壮大な物語の全てが、1つに繋がった瞬間でもありました。 深い傷はただでさえ癒えにくいのに、治療することなくフタをすれば膿んでしまうのは当然のこと。それでも、生きるためにそうするしか道がなかったことが、すごく悲しい。 フタをしてたはずの傷や感情が、時に暴走し望まぬ行動を起こしてしまう。思い通りに生きれない自分への絶望感はどれほどだったろう。 心に傷を抱える人たちは、誰もが自尊心を持てずにいる。 本当に心の底から生きれずにいる。もがいて苦しんでいるのに、救われない。自分が生きている価値に悩みもするでしょう。 だけど岸川さんが言っていたように、自分を認め受け入れてくれる人がいるということで、自分が生きていてもいいんだと思える。それこそが、暗い闇から抜け出せる光なのかもしれない。 親になっても、誰もが「きちんとした大人」になれるわけでもなく、介護が必要な頃になれば再び子どもに戻る。実は世界は、子どもで溢れているのかもしれない。 子どもはすごく弱い。けれど、子どもは皆、純粋な優しさを持っている気がします。大切な相手を守りたくても、愛したくても、時にその方法を誤ってしまうこともある。それでも、大切な人を受け入れ、自分も受け入れられて生きていけたら、それはとても素敵なことなんじゃないかと、心から思えました。 心揺さぶられる、大作でした。
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親によって不幸な人生を運命付けらてしまった憐れな仔たち。 大人になっても救いはなく、世界はどんどん生きにくくなる。 かなり長いが、 章が一定のタイミングで切り替わるので、 整理がつきやすく読みやすい。 不幸のきっかけは誰かのエゴだ。 エゴが感染して、誰もが救いを求めて必死にあ...
親によって不幸な人生を運命付けらてしまった憐れな仔たち。 大人になっても救いはなく、世界はどんどん生きにくくなる。 かなり長いが、 章が一定のタイミングで切り替わるので、 整理がつきやすく読みやすい。 不幸のきっかけは誰かのエゴだ。 エゴが感染して、誰もが救いを求めて必死にあがく。 タイミング噛み合わない不運も重なって、 彼らの人生は不幸しか生まれない。 根底に優しさを流して、 他に手がなかったのかと思わずにはいられない。 暗く深い暗闇の話だが、 それでも最後に優しさを読者に導く。 事件は二転三転するが、この話の本筋はミステリーではない。 しかし本当に伝えたいはずの悲劇が、 度重なる不運にかき消されているような気がした。
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