永遠の仔(下) の商品レビュー
大作。 上巻を読んでいるあたりでは、これでは動機があまりにも抽象的で弱いのではないか、精神世界の問題に逃げ込むことなくどう全体として整合性を保つんだろうか…、と訝しんでいたのだが、まったくの杞憂に終わった。 至極真っ当な剛力でもって、物語は見事に纏め上げられている。 様々な登...
大作。 上巻を読んでいるあたりでは、これでは動機があまりにも抽象的で弱いのではないか、精神世界の問題に逃げ込むことなくどう全体として整合性を保つんだろうか…、と訝しんでいたのだが、まったくの杞憂に終わった。 至極真っ当な剛力でもって、物語は見事に纏め上げられている。 様々な登場人物たちの身を借り、異口同音に語られる著者の人生観。 小説という形をとってはいるが、換言すれば、分かりやすい言葉に翻訳された哲学書、という一面もあるのかもしれない。 病因を自己の外、社会や家族などに求めることはあまりに安易だが、その段階で留まってしまうことは絶対にありうべきことである、と私は読み取った。
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≪内容覚書≫ 過去に起きた事件と、 現在起きている事件の真相が、 ついに明かされる。 3人が本当に癒される日は来るのか。 ≪感想≫ 父を押した手の正体には、 ああ、あなただったのか、と、救われたような、 さらに絶望を感じたような複雑な気持ちにさせられた。 誰かが、どこかで、勇気を出して、 真実を確かめていれば、向き合えていれば、 もっと違う道があったはず。 言いたいことを言って、分かりあえる関係は、 しょせん理想でしかないのか。 家族ってなんなのか。 人間のことばはなんのためにあるんだろうか。 そんなことを考えた。 虐待の現実を知らないので、実際がどうなのかはしらない。 が、そういう現実がどこかにあるかもしれない、と、いうことは、 心に留めておくべきなんだろうと思う。 とりあえず、ミステリに分類される作品ではない。
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大人の・親の虐待を受け育った子供たち。 大人になってもその傷が完全に癒えることはない。 傷を抱えたままそれでも人生を進めていっていた。 子供のころの3人での秘密の時間から。その思い出を胸に秘めて。 でも一旦壊れたものは元には戻らないのだと思った。 完全に救われることはないのだと。 だれもかれもが秘密を抱えていた。そして秘密を持つことで最悪の結果になった。 本当の大人になれるのはどうしたらいいんだろう。
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たとえ普通に愛されて育っても、人の心には、 自分の存在理由を問い続ける罪の意識が常にある。 そして、いくつになっても、親に認められたい のが人間というものだと思う。 だからこそ、この本はたくさんの人の心に響く。 三人とその家族は、悲鳴を上げたいほど傷ついた 魂をあらわにすることで...
たとえ普通に愛されて育っても、人の心には、 自分の存在理由を問い続ける罪の意識が常にある。 そして、いくつになっても、親に認められたい のが人間というものだと思う。 だからこそ、この本はたくさんの人の心に響く。 三人とその家族は、悲鳴を上げたいほど傷ついた 魂をあらわにすることで そのことを拡大して見せてくれる。
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トラウマに葛藤、心理描写がすごく伝わります。感情移入し過ぎると、とてもつらくなりますが、心が鍛えられる感じがします。ストーリーも入り込ませる力を持っていて、オススメの物語
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重い話だった。3人とも幸せになってほしい・・・と思って読み進めていました。ラストは希望に向かってるんだろうか。。
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最近よく本の帯に「徹夜本」とか評されてるのを見かけるけど、徹夜したことなかった。そんな私ですが、ついに徹夜しちゃった記念すべき本! でも、あんまり人にはオススメしたくないなぁ。「つまらなかった」とか言われたらショック受けそうだから。
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内容(「MARC」データベースより) 優希は看護婦、二人の少年は弁護士と刑事になっていたが、再び悲劇が優希を襲う。連続殺人、母の死…。17年前の聖なる事件、その霧に包まれた霊峰に潜んでいた真実とは何か。無垢なる三つの魂に下された恐るべき審判は-。
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17年前、精神病院でそれぞれに人には話せない過去を持つ少女と少年2人が出会った。 2000年には第53回日本推理作家協会賞を受賞。 同年の『このミステリーがすごい!』で国内部門1位。 第121回直木賞候補。
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山と海に囲まれた四国の児童専門病院の精神科で優希、粱平、笙一郎3人は出会った。何かに救いを求めて、何かにすがりたくて、何かに甘えたくて、互いを支えあった。あれから17年、暗い秘密を抱えてきた3人の生活が、再会とともに何かに耐え切れずに押し潰され崩れていく。 重いよ。疲れた。みん...
山と海に囲まれた四国の児童専門病院の精神科で優希、粱平、笙一郎3人は出会った。何かに救いを求めて、何かにすがりたくて、何かに甘えたくて、互いを支えあった。あれから17年、暗い秘密を抱えてきた3人の生活が、再会とともに何かに耐え切れずに押し潰され崩れていく。 重いよ。疲れた。みんながそれぞれ悪くて、でもそれぞれの立場が理解できて。大きな傷を受けてしまうと、結局みんな救われないのかしら。
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