文盲 の商品レビュー
本書より引用 -- わたしは、自分が永久に、フランス語を母語とする作家が書くようにはフランス語を書くようにならないことを承知している。 フランス語で書くことを、わたしは引き受けざるを得ない。これは挑戦だと思う。 そう、ひとりの文盲者の挑戦なのだ。
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2006.5.7 ゴールデンウイーク中に読んだ1冊です。世界的ベストセラー「悪童日記」の著者による初めての自伝。 生まれた国、母語ではない「敵語」でしか生きていくことのできなかった人生。母語ではない言葉を「敵語」と呼ぶ。争いの「敵」であったことよりも、「この言語(敵語)が、わたし...
2006.5.7 ゴールデンウイーク中に読んだ1冊です。世界的ベストセラー「悪童日記」の著者による初めての自伝。 生まれた国、母語ではない「敵語」でしか生きていくことのできなかった人生。母語ではない言葉を「敵語」と呼ぶ。争いの「敵」であったことよりも、「この言語(敵語)が、わたしのなかの母語をじわじわと殺しつつあるという事実である。」という著者の言葉がとても心に残りました。 恥ずかしながら、この著者の背景にある歴史をあまり知りません。この本を読めばわかる!という本があれば教えてください。
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作家アゴタ・クリストフの自伝。といっても体裁からしてあまり自伝ぽくない。赤基調の端正な装丁で、意外なほど薄いし、著者の写真は扉の一枚しかないし。自分のことを得々と語るような人ではないのですね。 作家の自伝で『文盲』というタイトルも大胆ですが、ハンガリーから亡命してフランス語圏スイ...
作家アゴタ・クリストフの自伝。といっても体裁からしてあまり自伝ぽくない。赤基調の端正な装丁で、意外なほど薄いし、著者の写真は扉の一枚しかないし。自分のことを得々と語るような人ではないのですね。 作家の自伝で『文盲』というタイトルも大胆ですが、ハンガリーから亡命してフランス語圏スイスで暮らすようになった当初の状態をそう呼んでいて、その後一からフランス語を学んでものにした経緯など、とにかく無駄な感傷も謙遜もない。 全部で11ある章は『悪童日記』の別バージョンのよう。著者と翻訳者が一緒だからという以上に文体が似ています。
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