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文盲 アゴタ・クリストフ自伝
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 白水社/ |
発売年月日 | 2006/02/23 |
JAN | 9784560027424 |
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商品レビュー
3.9
43件のお客様レビュー
本人による自叙伝であるから、本人の書きたいことしか書いてないのは当たり前なんだ。タイトルの『文盲』の意味は深い。
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『悪童日記』三部作を読んだのは、すごく流行っている時期で(1990年代?)、『悪童日記』はいかにもダークな話が好きな中高生向きの話だなと思ったのだが、三部作読み終えると、構成の巧みさ、面白さに舌を巻いた。しかし、何しろ一文が短くて簡潔なので(そんな文章であれだけ奥行のある印象を残...
『悪童日記』三部作を読んだのは、すごく流行っている時期で(1990年代?)、『悪童日記』はいかにもダークな話が好きな中高生向きの話だなと思ったのだが、三部作読み終えると、構成の巧みさ、面白さに舌を巻いた。しかし、何しろ一文が短くて簡潔なので(そんな文章であれだけ奥行のある印象を残せるのだから大した才能なのだが)、まあ、作家は才能あるけど、誰でも読める本だよなあと、流行りに乗りたくない天邪鬼気質が邪魔して手放しに好きとは言えなかったのだ。 今改めてこの本を読むと、簡潔ながら毒のある彼女の文章は、難民生活を送り、「敵性語」で書かざるを得なかった(その前からハンガリーは列強の支配に翻弄されてきたわけで、そもそも「お上」なんて信じないベースもあった)ことに由来することも分かった。 翻訳者の解説にある通り、母語でない言葉で小説を書くと言っても、もともと素養のあったナボコフや、自ら選んだ多和田葉子らとは違う。ハンガリー語で書ける状況があれば、ハンガリー語が良かったのだから。 しかし、ハンガリー語で書いたら、こういう文体にはならなかっただろうし、難民生活がなければ作品も違っていただろう。ハンガリー語で書いていたら、世界で読まれる作家にはならなかっただろう。作家の幸不幸はわからない。 作家だけじゃなく、人間みんな、何が幸せで、何がそうでないのかは、死ぬ時まで分からないものかもしれないなあ、と思った。 また『悪童日記』シリーズ、読もうと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
本文中で「オーストリアの偉大な作家トーマス・ベルンハルト」について描かれている箇所があった。一度読んでみたい。 悪童日記ほど悲惨ではないが、祖国を引き裂かれ母語を奪われるという経験をした著者、意外なほどに遅咲き(なにしろ26歳にしてフランス語を習い始め、その言語でものを描いているのだから)。 『今でもなお、朝、家から人がいなくなり、隣人たちが皆仕事に出かけてしまうと、わたしは少しばかり後ろめたい気持ちで台所のテーブルの前に腰を下ろし、何時間もかけて新聞や雑誌を読む。その間、掃除をしない。前の晩の食器も洗わない。買い物にも行かない。洗濯物を洗うことも、アイロンをかけることもしない。ジャムやケーキを作ることもしない……。 そして、何よりも重大なことに、書くことをしない。』
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