文盲 の商品レビュー
アゴタクリストフの自伝。良かった。 それぞれの場面でどう感じたかなどの生々しい感情や、具体的な日にちなどが、ほぼそぎ落とされている。 これを読んでから作品を読むと、いかに色濃く亡命が彼女の精神に影響を及ぼしているのか感じられる。 ファンのための本と思う。
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タイトルどおり、作家アゴタ・クリストフの自伝だが、彼女の『悪童日記』三部作に対する理解を深める上で、必読の書だと思う。苛烈な人生が簡潔すぎる文体でつづられ、かえって強烈な印象を読者に与える。ある意味で小説。
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フランス語の原文で読了したので日本語も。原文読破したはじめての本。 「Je lis. C'est comme une maladie.」という響きが、一番最初ページを開いた瞬間に浮かんでくる。一番最初、私も活字中毒だなぁと思いながら読み始めたことを思い出したけれど、彼...
フランス語の原文で読了したので日本語も。原文読破したはじめての本。 「Je lis. C'est comme une maladie.」という響きが、一番最初ページを開いた瞬間に浮かんでくる。一番最初、私も活字中毒だなぁと思いながら読み始めたことを思い出したけれど、彼女の病気はそんなものではなかった。彼女が人生の節々に何を思っていたのかだけが、非常に簡潔で明瞭で、まるで詩の様に記されている。喪失と苦悩と悲痛だけが滲んでいる。薄い本だけれど、行間と空白に記された感情や人生に打ちのめされる本です。原文と合わせてずっと手元においておきたい一冊。
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『悪童日記』の作者による自伝的物語。 「自伝」と聞くとワタシなどは、今までの人生での詳細な出来事を記している。などとつい考えるが、これはそうではない。 しかし、短く簡潔な文章の背後にある、さまざまな葛藤・嘆き・喪失感・望郷の思いの深さと大きさに、ただただ打たれてしまう。 本自体...
『悪童日記』の作者による自伝的物語。 「自伝」と聞くとワタシなどは、今までの人生での詳細な出来事を記している。などとつい考えるが、これはそうではない。 しかし、短く簡潔な文章の背後にある、さまざまな葛藤・嘆き・喪失感・望郷の思いの深さと大きさに、ただただ打たれてしまう。 本自体はそんなに厚くはないので読了まで一日もあれば読めてしまうだろう。 でも、前述の通り、そこに書かれているモノは、読了後もずっと心に留まり、何度も何度も思い返してしまうほど、強烈で深いものだと思う。
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私は文字に依存しているけれど、こんな風に愛してはいないのだな。と思い知る。 読むこと、書くこと、言語、故郷、アイデンティティ。 この人の本を読んでみたい。 訳者によるあとがきが鬱陶しい。
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4歳で、どんな文字でも読む活字中毒になったとあるが、これは「マチルダは小さな大天才」のマチルダのようだと思った。読むことが大好きな著者にとって、数々の苦しい体験は、彼女に書くことをしむけているような気がした。アゴタにとって、文章を書くことはずっと前から決まっていたような印象を受け...
4歳で、どんな文字でも読む活字中毒になったとあるが、これは「マチルダは小さな大天才」のマチルダのようだと思った。読むことが大好きな著者にとって、数々の苦しい体験は、彼女に書くことをしむけているような気がした。アゴタにとって、文章を書くことはずっと前から決まっていたような印象を受けた。どんな時代、場所にあっても、出来る人は出来るのだと感じた。
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●自伝とはいっても、あの時自分はこうでああで苦労して、とつらつらと書き連ねてるわけではなく、もっと感覚的。彼女が選んだスライドショーを見せられてる感じ。そして時制が、だいたい、常に、“今”。まるで小説のよう。過去を振り返ると言うより、過去に体験した瞬間を、書きながら今まさに再度体...
●自伝とはいっても、あの時自分はこうでああで苦労して、とつらつらと書き連ねてるわけではなく、もっと感覚的。彼女が選んだスライドショーを見せられてる感じ。そして時制が、だいたい、常に、“今”。まるで小説のよう。過去を振り返ると言うより、過去に体験した瞬間を、書きながら今まさに再度体験しなおし、構築しなおしているようです。過去を扱うとはそう言うものだとは思うけど、その度合いがとりわけ強いように感じました。文章は非常に明晰でクリア。 彼女の母語がフランス語でないゆえに、このような文章、構成になるのか? 訳者の色がどれくらい入っているのか知りたいです。 ●活字が大きくて行間を広くとってある上薄いので、活字を追うだけなら時間はかかりはしないけど、それだともったいない。作者と同化して読んで、一緒に追体験するのが面白いですよ。
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「悪童日記」の衝撃そのままの自伝。徹底的に乾ききった淡白さは、生まれた土地や家族、言葉からさえ切り離されて生きてこなければならなかったからなのでしょう。生きていくために三度も外国語を習得しなければならないなんて、それだけで想像できません。自分何年英語に触れてるんだか。
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ストイックに、ナルシズムなく自伝を書くのは難しいのに、遣り遂げてますねー。自分をここまで突き放して見れるのはすごいな。暗い自閉した人かと思ったのに、学生時代人気者だし、2回結婚した人だとも思わなかった。
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この人が生きてきた世界、そしてそこで流れた年月がずっしりと迫ってきます。文章は簡潔で短いけど、込められているものがすごいです。
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