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文盲 の商品レビュー

3.9

43件のお客様レビュー

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2014/10/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

無駄のない、余分なものを一切削ぎ落としたような自伝。私にはフランス語が課せられた、これは文盲(彼女は亡命した当初、フランス語を喋れるようになったものの、読めなかった)の挑戦なのだ、と言う。だが、そのフランス語は彼女の中の母語ハンガリー語をじわじわ殺す敵語なのだ。

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2013/04/28

あの「悪童日記」の著者の自伝。 悪童日記の先に読むのがいいのか後に読むのがいいのかは分からないけれど、前者を読んだのなら抑えておかなければいけない一冊。

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2013/03/25

図書館で。悪童日記3部作は読んだ時、すごい小説があるものだという衝撃を受けたものです。その作者の人生も激しいものだったんだなと言うことがよくわかりました。 自分の国を捨てるという行為がいかに厳しいものかと言うことがわかるような気がします。そして言葉を取り上げるということがいかにそ...

図書館で。悪童日記3部作は読んだ時、すごい小説があるものだという衝撃を受けたものです。その作者の人生も激しいものだったんだなと言うことがよくわかりました。 自分の国を捨てるという行為がいかに厳しいものかと言うことがわかるような気がします。そして言葉を取り上げるということがいかにその民族の尊厳を傷つけることなのか。 外国語で文章を書くこと、そして「わからない」と言わないこと。それがこの作者の強さなのかなと思いました。

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2013/02/06

祖国のハンガリーを逃れ、難民となり敵国の言葉(フランス語)で生活すること(書くこと)を強いられた著者の自伝。 アゴア・クリストフは本当に言葉の少ない作家だ。 それは彼女の歩んできた、途中から文盲にならざるを得なかった環境によるところが大きいのか、単純に小説世界を研鑽していった...

祖国のハンガリーを逃れ、難民となり敵国の言葉(フランス語)で生活すること(書くこと)を強いられた著者の自伝。 アゴア・クリストフは本当に言葉の少ない作家だ。 それは彼女の歩んできた、途中から文盲にならざるを得なかった環境によるところが大きいのか、単純に小説世界を研鑽していった結果なのかはわかりかねるけれど、とにかく少ない。 なのに驚くほど多くのつらさや悲しさが伝わってくる。

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2012/09/27

あの「悪童日記」作者の自伝。 何気なく借りた悪童日記の衝撃は結構鮮明に覚えてる。 続編の2冊も読んだけど、やっぱり悪童日記が一番面白かった。 すごく寡作だと思ってたけど、戯曲とか書いてたりそもそもフランス語で書いてたということを初めて知った。 亡命したっていうことは知ってい...

あの「悪童日記」作者の自伝。 何気なく借りた悪童日記の衝撃は結構鮮明に覚えてる。 続編の2冊も読んだけど、やっぱり悪童日記が一番面白かった。 すごく寡作だと思ってたけど、戯曲とか書いてたりそもそもフランス語で書いてたということを初めて知った。 亡命したっていうことは知っていたけど、本人の手記(物語的に書いてあるけど)を読んで、作者の背景が少なからずわかるとともに、ああやっぱりこういう体験をしたからこそのあの作品なんだなーと、納得。

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2012/08/25

『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』三部作。『昨日』は、シルヴィオ・ソルディーニ監督の手で「風の痛み」というタイトルで映画化されている。 アゴタ・クリストフの作品にはじめて触れたのは、15年ほど前だが、その衝撃にも似た感覚を忘れてはいない。 どの作家とも異質な文体の手触りは...

『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』三部作。『昨日』は、シルヴィオ・ソルディーニ監督の手で「風の痛み」というタイトルで映画化されている。 アゴタ・クリストフの作品にはじめて触れたのは、15年ほど前だが、その衝撃にも似た感覚を忘れてはいない。 どの作家とも異質な文体の手触りは、通俗的な甘美さなどは一切なく、まるで氷に触れたようなのに、せつなさや暖かさがこみ上げてくる。 『文盲』は、アゴタ・クリストフの自伝である。 分厚い本ではなく、どちらかといえば、薄い一頁の行数も少なめの書物だ。 1935年にハンガリーの村にアゴタは教師の娘として生まれ、1956年のハンガリー動乱の折に夫と乳飲み子の娘を抱いて祖国を捨て、亡命する。 難民としてスイスに受け入れられた彼女は、生きていくためにフランス語を覚え、フランス語で作品を発表している。 スイスは、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の複数言語国家である。 スイスの言語分布を見てみると、チューリッヒ、ベルンほか大部分がドイツ語圏だが、イタリア国境あたりの南部がイタリア語、オーストリア寄りの中部の一部がロマンシュ語、 アゴタの住んでいたヌーシャテル州などフランス国境寄りの西部はフランス語圏となっている。 アゴタは、時計工場で働きながらフランス語を習得する。 『文盲』の冒頭は、このような言葉からはじまる。 ---わたしは読む--- アゴタが、優秀な作家であることはわかっているし、読む。書く。 これが彼女の営みであり、仕事であることも了解している。 題名の『文盲』は、何を意味するのか、読みはじめてもすぐにはわからなかった。 しかし、母国語を捨て、敵国の言葉で書くことを強いられた作家の苦悩。 フランス語を学び、生活の糧となり、ふたたび、読め、書けるようになった彼女は『文盲』でなくなったのだ。 母国語ではなく、フランス語で書くことを、アゴタは「ひとりの文盲者の挑戦」だという。運命により、成り行きにより、フランス語という言語が課せられた作家の生きざま。 久々に読むアゴタの文体に変化はない。一切のナルシシズムもなく、客観的とさえ感じさせる筆致で自分の生涯を簡潔に綴ってゆく。

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2012/08/23

大好きなアゴタ クリストフの自伝。 この人の文は短く簡潔で無駄が無い。この自伝もまさにそんな書き方でした。彼女は「書く」為に生まれて来た人だと思う。

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2012/08/12

「読み、そして書くことの覚悟」 30以上の言語に訳され世界的ベストセラーとなった『悪童日記』の著者、アゴタ・クリストフの自伝。 「確かだと思うこと、それは、どこにいようと、どんな言語でであろうと、わたしはものを書いただろうということだ。」 読み書くことが好きだ。今はそれが人...

「読み、そして書くことの覚悟」 30以上の言語に訳され世界的ベストセラーとなった『悪童日記』の著者、アゴタ・クリストフの自伝。 「確かだと思うこと、それは、どこにいようと、どんな言語でであろうと、わたしはものを書いただろうということだ。」 読み書くことが好きだ。今はそれが人生の一番の関心事になっている。今の自分はネットの情報も含めありとあらゆる物を自由に手に取って読み、思うままをこうして書くことができる。だが、本書のこの一文にふと立ち止まる。 もしも、あるとき母語である日本語を奪われたとき、例えばそれに強制的にとって代わろうとするものがロシア語でも中国語でも韓国語でもいい、そういう状況に置かれたとしても、果たして自分は読み、書きたいと思うだろうか。 アゴタ・クリストフは、生まれた国を捨て、異国で難民として居たたまれぬ思いに苛まれ、自身のアイデンティティを内包する母語を侵食されゆくことを感じながら、「敵語」と呼ぶフランス語をそれでも自分のものとして書ききった。 あるいは彼女の人生のあらゆることが詩であったかのようにさえ思わせる、どこまでも簡素で淡々とした文章に、読み書くことの覚悟を問われる思いがした。

Posted byブクログ

2012/01/04

A. クリストフ『文盲』 #読了 自伝と呼ぶには少々物足りない位さくっと終わってしまいました。「母語」と「敵語」など、言語学を専攻していた身としては興味深い内容でしたが…。結局新作を発表することのないまま亡くなってしまったのが本当に寂しい。

Posted byブクログ

2011/12/28

アゴタ・クリストフの自伝的作品。 表現が詩的で感情がよくわかる本。 ものの30分で読めてしまう本ですが、端的に表された文章によって著者の考え方への理解を深めてくれます。

Posted byブクログ