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君は永遠にそいつらより若い の商品レビュー

3.8

59件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    24

  3. 3つ

    15

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2011/04/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

大学卒業を待つばかりのホリガイ、バイト先の臭いハーフのヤスオカ、同期で稼ぐ河北と彼女のアスミちゃん、そのアスミちゃんと同じ講義を受けていたイノギ、このイノギがもう、重かったなあ。 ホリガイの、マイペースで飄々としたところが好きだった。ヤスオカと何かあるかと期待してた。ホリガイとイノギはずっと仲良くしていけたらいいなあ。

Posted byブクログ

2021/09/02

私たちの生活は物語ではない。 別にだからなんだというわけではないけど。 主人公は大学4年、変わってると言われる事の多い女子ホリガイサヨ。地方公務員に内定している。バイトは工場。 彼女は単純明快に性格が決められた「キャラクター」ではないから、正義とか善とか悪とか勇気がどうと...

私たちの生活は物語ではない。 別にだからなんだというわけではないけど。 主人公は大学4年、変わってると言われる事の多い女子ホリガイサヨ。地方公務員に内定している。バイトは工場。 彼女は単純明快に性格が決められた「キャラクター」ではないから、正義とか善とか悪とか勇気がどうとかそういう言葉は似合わないけど、ただ言えるのは私はホリガイさんがとても好きだってこと。 割と最初の場面で、酔っ払ってしゃがみこんでいる女の子(個人的にはいけ好かない)を、「パンツが見えているのがすごく可哀想だ」と憐れむところがやたら印象に残っている。 別にドラマチックなことではないけど、誰か「救いたい」と思える人ができたらそれはとても価値のあることなんだろうな。 救いたいって気持ちが善だからというわけではなく。 そして実際救えるか救えないかは問題でなく。 例えば敵よりも若いとか、そういう些細なことが何かに繋がって何らかの支えになっていけばそれはそれで生きる助けになるのだろうなあ。 別に何だって綺麗な見栄えのいい感情が根拠である必要はないのだろうなあ。 と、(自分でも何が言いたいか分からないけど)思った。 この話はなんだかとても現実に近い。 日常の中の「あるある」って事、実際に在る残酷さ、そして明確な終点とか結果が得られなくても自分の中で片づけて整理して終わらせていく毎日の色々な出来事。 もう現実に近いというか、むしろ私の生きている現実の一部。と言ったら言い過ぎだろうか。(私の生活で起こった出来事に似てるって意味じゃなく) 登場人物の一人一人が深いところまで作りこまれている、ただ人が多過ぎて覚えにくい、多少分かりにくいところはあるけど描写が面白くてどうのこうの、とか思うけどあんまり言いたくない。 ホリガイさんもイノギさんもアスミちゃんも河北もヤスオカもオカノも穂峰くんもみんな現実世界の一部なのだ。 私が本を読んだのは確かだけど、物語を読んだわけじゃない。 ノンフィクションとかそういう類のものではないけど。 要するに、ただの「作品」として見てしまったら急にこの本の中の色々を見失ってしまうようで勿体無い。

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2010/11/18

「他人にふれまわるほどではないが自分なりに充足していて、けれどその充足は孤独と同居しているというような」 「メールや手紙で言うようなことでもないし、電話でも言えないだろうし、面と向かって言うのもどうかと思った。要するに、伝えられることではなかったのだろう」 起こる出来事はフィク...

「他人にふれまわるほどではないが自分なりに充足していて、けれどその充足は孤独と同居しているというような」 「メールや手紙で言うようなことでもないし、電話でも言えないだろうし、面と向かって言うのもどうかと思った。要するに、伝えられることではなかったのだろう」 起こる出来事はフィクションのスタンダードなのだけれど、この一人称の語り口が単調で新しく、軽妙で日常。日常のふとした穴が深いことを知る。

Posted byブクログ

2010/11/09

登場人物一人一人に個性があって愛着が持てました。 爆笑まではいかないけれどもクスリと笑える箇所もあり読んでいて楽しくなる本でした。関西のノリが特に良いですね。 最後のほうは物語が駆け足で進んでいく感があって、読者としては少し取り残された感がありました。 しかし「君は永遠にそいつ...

登場人物一人一人に個性があって愛着が持てました。 爆笑まではいかないけれどもクスリと笑える箇所もあり読んでいて楽しくなる本でした。関西のノリが特に良いですね。 最後のほうは物語が駆け足で進んでいく感があって、読者としては少し取り残された感がありました。 しかし「君は永遠にそいつらより若い」というタイトルの本意を知ることが出来ます。 この小説を読むことで、強い者に虐げられる弱い者が存在するということを知り、それについて考えるきっかけになるんじゃないかなと思いました◎

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2010/09/25

前回読んだ、『ミュージック・ブレス・ユー!!』から2年ぶりの津村作品だった。面白い、久しぶりのヒットだ。素直にそう感じた。それは文体の理屈っぽさを補うように巧く主人公の言葉が入っているからかもしれない。関西弁の脂っこさと柔らかさがきれいに調和されている。 ホリガイの無防備が過ぎる...

前回読んだ、『ミュージック・ブレス・ユー!!』から2年ぶりの津村作品だった。面白い、久しぶりのヒットだ。素直にそう感じた。それは文体の理屈っぽさを補うように巧く主人公の言葉が入っているからかもしれない。関西弁の脂っこさと柔らかさがきれいに調和されている。 ホリガイの無防備が過ぎるとも感じさせる性格の穏やかさが痛々しくて、そして優しい。こんなコがいたら絶対に付き合いたくなるだろうとも思う。私が背中を撫でるよ。 最初から何も期待していないところがホリガイの優しさ全部だ。

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2010/09/20

「河北がいなければアスミちゃんと出会うこともなく、吉崎君が河北ともめていなければ、わたしはアスミちゃんを部屋に連れ帰ることもなかった。アスミちゃんがいなければイノギさんに声をかけることもなかっただろうし、ヤスオカがうちにこなければ、イノギさんがあのことを切り出したかどうかわからな...

「河北がいなければアスミちゃんと出会うこともなく、吉崎君が河北ともめていなければ、わたしはアスミちゃんを部屋に連れ帰ることもなかった。アスミちゃんがいなければイノギさんに声をかけることもなかっただろうし、ヤスオカがうちにこなければ、イノギさんがあのことを切り出したかどうかわからない。穂峰君がまだ生きていれば、わたしは今頃イノギさんといっしょにいたのかもしれない。少なくとも、疎遠になってしまうことはなかったのかもしれない。逆に会うこともなかったのかもしれない。」 地味・不真面目(のちに真面目に)・変わっているという ステータスをもつわたしが彼らと出会い別れるまで。 タイトルがずーっと気になってて でも毎回他に借りたい本がいっぱいあったから先送りしていた本です。 全部読み終わってからこのざっとした因果関係を読むと納得。 なんだか変な人がいっぱい出てきます。 基本的に大学生の話なんだけれどその割りに悩みが青い。 ヤスオカの子供っぽさと河北の中二っぽさは特に。 イノギさんはアングラな感じかと思っていたので 女の子たちとけらけら笑っている姿はあまり想像できないなぁ。

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2010/08/28

「カソウスキの行方」で惚れて、「ポトスライムの舟」でこき下ろし、もう読まない、と思ってたのにタイトルに惹かれてまた読んだ。そして良かった。人間のメンドくささとか、うざったさとか、そういう処を秀逸なユーモアを交えて人物を描いているのが魅力的。ポチョムキンな女の童貞のホリガイさんが魅...

「カソウスキの行方」で惚れて、「ポトスライムの舟」でこき下ろし、もう読まない、と思ってたのにタイトルに惹かれてまた読んだ。そして良かった。人間のメンドくささとか、うざったさとか、そういう処を秀逸なユーモアを交えて人物を描いているのが魅力的。ポチョムキンな女の童貞のホリガイさんが魅力的だもの。辛くて苦しい物語だけど救いがあってよかった。

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2010/07/30

全体的にとても好き。だけど、一部この描写は必要なのかと思っちゃうところが・・・たとえるなら嶽本野ばら作品のえろいシーン的な、ね。

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2010/03/13

身長175センチ、22歳、処女いや、「女の童貞」と呼んでほしい、就職が決まった大学四年生のホリガイ。 だるい日常の底に潜む、うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。そしてかすかな希望…? という第21回太宰治賞受賞作。 前半はホリガイの頭のなかを覗き込むように、そのフィルターを...

身長175センチ、22歳、処女いや、「女の童貞」と呼んでほしい、就職が決まった大学四年生のホリガイ。 だるい日常の底に潜む、うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。そしてかすかな希望…? という第21回太宰治賞受賞作。 前半はホリガイの頭のなかを覗き込むように、そのフィルターを通してまわりの友人たちとの日常を描き、 ちょっと退屈なテイスト。興味深く、でも淡々と、自己結論が得意で、自分では気を使うと思っている、そんなホリガイ。 まわりの人物も。品のない小金持ち、ギャル、気の弱い善人、気のいい馬鹿、だるそうに見えて気概のある女の子、闇に飲まれた人など。 ただ後半になって、リストカットや虐待、誘拐、自殺、レイプなどなど負の要素がぶわっと。 普通に生きている人の過去にはいろいろな要素が隠れている。ただそれを意識するかしないかの差なのかもしれない。 残虐な要素が、ホリガイを通してフラットに描かれることで、ただ可哀相とか怖いということではなく 奇妙なもの・そぐわないものとしての違和感で伝わってくる。 うー、違和感。 ホリガイはナチュラルに自分を持ってて、強くて。 社会人になりイノギさんを思って生まれたその確信的な強さが 物語の結末をかすかな希望へと導いてくれているのかなと思った。 印象的なセリフ 「あなたたちは、助け合って支えあって生きていて、それでいいじゃないか。なぜギャラリーがいる?」的なもの。 そうか。人生にギャラリーなんていらないんだな。

Posted byブクログ

2009/12/11

はじまりは、何のことだ?話しが見えない・・って感じだったが、主人公の キャラがなんか読ませる。そして・・・最後になって、タイトルが浮かび上がってくる。怒りを含んだタイトルなんだ。

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