アメリカの鱒釣り の商品レビュー
ブローティガンは、「読んでみたい作家のひとりだけど、優先順位としてはそれほど高くない」と思っていたのですが、なんだか続けていろいろなところで目にしたので、これも縁かと思って読みました。 短いし、言葉のイメージが大事な作品なので、原書で読めばいいんですが、この藤本和子さんの訳...
ブローティガンは、「読んでみたい作家のひとりだけど、優先順位としてはそれほど高くない」と思っていたのですが、なんだか続けていろいろなところで目にしたので、これも縁かと思って読みました。 短いし、言葉のイメージが大事な作品なので、原書で読めばいいんですが、この藤本和子さんの訳が伝説的名訳という評判で、たとえば同じ作者・訳者の「芝生の復讐」について柴田元幸さんが毎日新聞で 「村上春樹や岸本佐知子の訳文も、ひょっとしたら彼らの創作の文章すらも、かりに藤本和子が現われなかったら、いくぶん(たぶん悪い方に)違ったものになっていただろう。 」 とまで書いていたので、あえて翻訳で読んでみました。 一言でいえば、アメリカという国についての話。短い幻想譚というかほら話が数珠つなぎになっていて、アメリカの鱒釣り、というフレーズがそのモチーフになっています。 っていうか、それ以上には説明しにくい…。 カーヴァー作品に出てくる貧しいアメリカ人と、「風の歌を聴け」を思い出したんだけど、そもそも「村上さんに影響を与えた本」っていう先入観があるからなあ。 訳文も込みで、村上さんや岸本さんが影響を受けた、というのはなんだか納得がいきました。 柴田元幸さんがあとがきで絶賛してますが、確かに軽やかな文体は、1970年代の翻訳だったことも考えると、かなり斬新だったのでしょう。 …でも、正直やっぱりこれは原書で読みたい。 ストーリー重視の本だとそこまででもないのですが、どうしても英語の本は原文が気になっちゃうなあ。 これはもう、訳がいいとか悪いとかの問題じゃないですね。 村上ファンだったら、一度はこの訳も読んでみて損はないです。 でも私は原書を買いに走ります。では!
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詩人の書く文章というのはなかなかなじめない。 特に翻訳となるとさらに難しい。 原文の持っている息づかいなどが伝わりにくいからだと思う。 興味を持って読んでみたもののあまり入り込めず。残念。 合わなかったということで。
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今までにまったく読んだことのない、一風変わったユーモアをたたえた本。 最初のうちは一体何を訳のわからないことをくっちゃべっているのか、と思い途轍もなく眠たかった。 でも読んでいるうちに何となく彼の話に笑えるようになってきた。 十分にこの本の良さを理解したとはとても言えないが、...
今までにまったく読んだことのない、一風変わったユーモアをたたえた本。 最初のうちは一体何を訳のわからないことをくっちゃべっているのか、と思い途轍もなく眠たかった。 でも読んでいるうちに何となく彼の話に笑えるようになってきた。 十分にこの本の良さを理解したとはとても言えないが、もう一作くらい読んでみたらこの作家のことが好きになるような気がする。
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なんとはなしにふわりと漂う切なさ(寂しさ、悲しみ、寂寥感)はぼんやりとした幸福感でもあったりする。逆も然り
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勧めてくれた人がどんな鬱も吹き飛ぶと行っていたが、本当に元気が出る本。 とくに前半何回くすりと笑ったか。 独自性がよく出ている箇所を一箇所抜粋して書いておく。 ヴァーモントでお婆さんを鱒のいる小川と見まちがえ、謝罪するはめになったのだ。 ―中略― 「人...
勧めてくれた人がどんな鬱も吹き飛ぶと行っていたが、本当に元気が出る本。 とくに前半何回くすりと笑ったか。 独自性がよく出ている箇所を一箇所抜粋して書いておく。 ヴァーモントでお婆さんを鱒のいる小川と見まちがえ、謝罪するはめになったのだ。 ―中略― 「人違いだよ」と、そのお婆さんは言ったさ。
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やはり日本語の言葉が気持ちよく、ただ読んでいるだけで楽しい。160回釣りにでかけて2231匹の鱒を釣りそこねた、釣りそこね記録をつけていたアロンゾ・ヘイゲンの「アメリカの鱒釣り墓碑銘」が笑えた。 「もうたくさんだ 釣りをはじめて はや七年 一度も鱒を釣りあげていない。 ...
やはり日本語の言葉が気持ちよく、ただ読んでいるだけで楽しい。160回釣りにでかけて2231匹の鱒を釣りそこねた、釣りそこね記録をつけていたアロンゾ・ヘイゲンの「アメリカの鱒釣り墓碑銘」が笑えた。 「もうたくさんだ 釣りをはじめて はや七年 一度も鱒を釣りあげていない。 針にかかった鱒は残らず釣りそこねた。 やつらは ジャンプで逃げる 身を捻って 逃げる。 あるいは のたうち あるいは はりすを切り あるいは ばたついて 畜生! 逃げやがる 小生 かつて ただの一度も 鱒に触れたことさえ ないのだ。 全くもって 口惜しいが 完敗実験ということで 考えれば なかなか興味深い例ではないか。 だが 来年は 誰か別の者が 鱒釣りに行かねばならぬ。 わたしではない誰かが でかけて行くことになるのである」
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これはじっくり読みたい。 正直言えば一度読んだだけでは理解できないところも多かった。 でも大好きです。
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▼最近あんまり本が面白くないので昔の小説を読んでますよってことで。 ▼みんな面白いっていうし私がこれ以上何か言わなくてもいいと思う。意味不明なところが面白いよ。
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訳がいい訳がいいと評判のブローティガン。 そんなこと言われても原文を読んだことがないのでなんともいえぬが ともかくかっちょいいものはかっちょいい。 「アメリカの鱒釣り」を軸に展開する断章が折り重なって地層を成す。 私たちがとうに失ってしまったもの、 それを蘇らせるための方法をこの...
訳がいい訳がいいと評判のブローティガン。 そんなこと言われても原文を読んだことがないのでなんともいえぬが ともかくかっちょいいものはかっちょいい。 「アメリカの鱒釣り」を軸に展開する断章が折り重なって地層を成す。 私たちがとうに失ってしまったもの、 それを蘇らせるための方法をこのひとは知っているのだろう。
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文学の底知れぬ怖さというかチクショーって思える瞬間って。その人にしか見つからなかったような言葉をさらっと読まされたときが。最後の最後でこう読まされた。「ここで、わたしの人間的欲求を表現すればわたしは、ずっと、マヨネーズという言葉でおわる本を書きたいと思っていた。」思わず本を閉じて...
文学の底知れぬ怖さというかチクショーって思える瞬間って。その人にしか見つからなかったような言葉をさらっと読まされたときが。最後の最後でこう読まされた。「ここで、わたしの人間的欲求を表現すればわたしは、ずっと、マヨネーズという言葉でおわる本を書きたいと思っていた。」思わず本を閉じて。遠くの方を眺めてしまった。マヨネーズ。マヨネーズ。
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