1,800円以上の注文で送料無料

アメリカの鱒釣り の商品レビュー

3.9

67件のお客様レビュー

  1. 5つ

    23

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

    12

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/10/09

村上春樹が私小説的な湿り気がなくて素晴らしい的なコメントを残していたが言い得て妙だなあと。 いわゆる名作とされる「こころ」のこの部分は誰が読んでも美しい文だと感じると思う(と僕は思っている) 「私は棒立ちに立竦みました。それが疾風の如く私を通過したあとで、私はああ失策ったと思ひま...

村上春樹が私小説的な湿り気がなくて素晴らしい的なコメントを残していたが言い得て妙だなあと。 いわゆる名作とされる「こころ」のこの部分は誰が読んでも美しい文だと感じると思う(と僕は思っている) 「私は棒立ちに立竦みました。それが疾風の如く私を通過したあとで、私はああ失策ったと思ひました。もう取り返しが付かないといふ黒い光が私の未来を貫いて一瞬間に私の前に横たわる全生涯を物凄く照らしました。」 でもこの文の良さって「Kが自殺した場面を先生が目撃した時に感じたこと」っていうこのテキスト内での意味性からは切り離せない。つまり、いわゆる名作の文章を名作たらしめているのは文体の流麗さ+プロット全体での重要性。 その点、本作にはプロットなんてものはまるでない。村上春樹が湿り気と呼ぶものを意図的に排したある種ドライな文体。文体一本勝負でここまで読ませる小説ってなかなか出会えない。こんなアンビエント音楽見たいな小説どうやって書くんだろう。自分が物書きじゃなくて良かったと思う。 ブローティガンの死後から30年以上は経過していて、時の洗練を経ていると言っていいけどこの新しさは2021年現在でも全く色褪せない。

Posted byブクログ

2021/10/01

翻訳家の柴田元幸さんが、色々な媒体でこの本 (というよりこの本の藤本和子さんの訳)から影響を公言されていたこともあり読んでみました。 文学界での影響や歴史的な評価というのを脇に置いて、あくまで自分にとってどうか、というのを述べるなら「なんだかよくわからなかった」というのが正直な...

翻訳家の柴田元幸さんが、色々な媒体でこの本 (というよりこの本の藤本和子さんの訳)から影響を公言されていたこともあり読んでみました。 文学界での影響や歴史的な評価というのを脇に置いて、あくまで自分にとってどうか、というのを述べるなら「なんだかよくわからなかった」というのが正直な所です。 この本の魅力を理解するために必要なピースが自分には足りない、そんな感じを受けました。

Posted byブクログ

2021/07/14

1960年代のアメリカの若者たちにカルト的な人気を誇った小説。失われた〈アメリカの鱒釣り〉の夢を求めて男たちは旅に出る。言うほどの中身があるわけではない。幻想的なようでいて、妙に細かくてリアルで。そしてわかりにくい。この時代の空気感なのでしょう。別の時代を生きた自分にはいつも理解...

1960年代のアメリカの若者たちにカルト的な人気を誇った小説。失われた〈アメリカの鱒釣り〉の夢を求めて男たちは旅に出る。言うほどの中身があるわけではない。幻想的なようでいて、妙に細かくてリアルで。そしてわかりにくい。この時代の空気感なのでしょう。別の時代を生きた自分にはいつも理解できない60年代のアメリカの若者たちの思想。

Posted byブクログ

2021/04/12

現代アメリカ文学というのだろうか、ブローティガンの小品集。 散文詩的な文章は、なんだかセピア色。 ひとつ一つの作品はとてもコンパクトで、全体を通しての起承転結なんか考えてはいない。 そこにある、でもなんか静かに心に残る。

Posted byブクログ

2021/02/16

ポストモダン文学の先駆けとして、深く意味合いを追求しない時代に翻弄された作品。ウィットに富んだ文体でアメリカ社会を風刺し、鱒釣りの世界観と人間模様をコミカルに表現する様に感嘆。軽快に時代を駆け抜けた作者の懐の深さを感じた

Posted byブクログ

2019/04/30

アメリカの鱒釣りというのは、失われたアメリカの文化のシンボルなの?笑ながら読んだし、シニカルさに溢れた作品だけど、どこか哀しいものも感じる作品。初めて読むタイプの小説でした。

Posted byブクログ

2019/03/31

幻想的というか、わけがわからないというか、夢のような脈絡のなさ。 「りんごや洋梨が湖に浮かんでいるのは情緒的」というような文章が印象に残っている

Posted byブクログ

2018/10/13

不思議な魅力の短編集を読みました。 その内容も創作であるのか、随筆風なのかはっきりしません。 一応「アメリカの鱒釣り」を探す物語っていうテーマはあるのですけどね。 釣り人でしょう、なぜ鱒なんでしょうね、アメリカ人は鱒釣りが普通なのか? 訳者藤本和子さんの解説に「鯨ではない...

不思議な魅力の短編集を読みました。 その内容も創作であるのか、随筆風なのかはっきりしません。 一応「アメリカの鱒釣り」を探す物語っていうテーマはあるのですけどね。 釣り人でしょう、なぜ鱒なんでしょうね、アメリカ人は鱒釣りが普通なのか? 訳者藤本和子さんの解説に「鯨ではない、鱒なんだ」とありましたのがヒントになりましたが。 メルビル『白鯨』の広い海での大きく勇猛なたたかいではなく、 川釣りの穏やかさというか、限られたなかでの比べれば小さなたたかい。 でもそれも失われていく・・・。 まあ、いろいろ意味づけはできるでしょうが、ぼーっと読むにはうってつけです。 ちょっと俳句の解説のようにも取れました。 芭蕉の句「古池や かわず飛び込む 水の音」の読み解きを思い出しました。

Posted byブクログ

2018/10/05

うーん、良く判らず。ブローティガンの代表作であり、柴田元幸が翻訳も含めて絶賛している一冊なのだが、この小説の面白さを理解するにはまだ修行が足らないようだ。「訳者あとがき」も、訳文同様よく判らず…。 「西瓜糖の日々」みたいなのを期待していたこともあって、期待外れ。

Posted byブクログ

2018/07/05

「アメリカの鱒釣り」(リチャード ブローティガン:藤本和子 訳)を読んだ。信頼筋からのお薦めで初ブローティガン。これヤバイ。この歳でブローティガンにハマるのか。アメリカのすべてのクリークのすべての鱒を想いながら、泣きそうなくらいに切ない思いに浸されて静かに今年の夏が過ぎていく。

Posted byブクログ