わくらば日記 の商品レビュー
■ 昭和三〇年代。当時私は東京の下町で母さまと姉さまと三人、貧しいながらも仲むつまじく過ごしておりました。姉さまは、抜けるように色が白く病弱で、私とは似ても似つかぬほど美しい人でしたが、私たちは、それは仲の良い姉妹でした。ただ、姉さまには普通の人とは違う力があったのです。それは、...
■ 昭和三〇年代。当時私は東京の下町で母さまと姉さまと三人、貧しいながらも仲むつまじく過ごしておりました。姉さまは、抜けるように色が白く病弱で、私とは似ても似つかぬほど美しい人でしたが、私たちは、それは仲の良い姉妹でした。ただ、姉さまには普通の人とは違う力があったのです。それは、人であれ、物であれ、それらの記憶を読み取ってしまう力でした…。小さな町を揺るがすひき逃げ事件、女子高生殺人事件、知り合いの逮捕騒動…不思議な能力を持つ少女が浮かび上がらせる事件の真相や、悲喜こもごもの人間模様。現代人がいつの間にか忘れてしまった大切な何かが心に届く、心温まる連作短編集。 ■■ ものすごくノスタルジックなお話で、一つ一つが優しくて暖かくて物悲しい。ミステリーというよりは人の心と心の繋がり方を描いたようなお話。第一印象は最悪なのに、登場回数を重ねるごとに素敵になっていく刑事さんがいい味。妹も年を経るごとにおしゃまな口達者さんになっていくのがかわいい。素敵な作品。続編が出ているらしいので、ぜひ読んでみようと思った。
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けっこう怖いのかなと思ったら、全然怖くなった。 これも超能力みたいな不思議な力を持った女の子話。 朱川湊人の本は、もう何冊か読んだので 何冊も読むと、ちょっと話が似てるな~と思ってしまうけど とても読みやすいので、つい一気に読んでしまう。 もうちょっと怖いの、読んでみようかなあ。...
けっこう怖いのかなと思ったら、全然怖くなった。 これも超能力みたいな不思議な力を持った女の子話。 朱川湊人の本は、もう何冊か読んだので 何冊も読むと、ちょっと話が似てるな~と思ってしまうけど とても読みやすいので、つい一気に読んでしまう。 もうちょっと怖いの、読んでみようかなあ。。。
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昭和ノスタルジー+ミステリー。 見えないものが見えるのは、良いことなのか…? 病弱だけれど、凜として優しい姉さまが素敵。
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笹森さんの百枚の年賀状には泣かされました…。 姉さまは「見て」いたのかな。。 朱川氏の作風はおっとりしていて心地良い。
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短編連作。 ちょっと不思議な力を持つ「姉さま」のことを、晩年の妹が回想する、という形式で綴られる。 …のだと思うのだけど、「回想」という姿勢が2話目以降は薄れているようにも思う。 それは置くにしても、時代背景とちょっと不可思議な空気が好み。
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昭和30年代・東京下町を舞台にしたSFミステリー。 この方の作品は、自分でつけた傷や手垢のついたままの使い古した思い出の品を見つけた時の様に、郷愁を感じさせる。 過ぎ去った時代を懐かしむと言うよりは、故郷に帰りたくなるような暖かさ。 ミステリー色は薄く、それを目当てにすれば物足り...
昭和30年代・東京下町を舞台にしたSFミステリー。 この方の作品は、自分でつけた傷や手垢のついたままの使い古した思い出の品を見つけた時の様に、郷愁を感じさせる。 過ぎ去った時代を懐かしむと言うよりは、故郷に帰りたくなるような暖かさ。 ミステリー色は薄く、それを目当てにすれば物足りないですが、読んだ後には何だか胸が温かくなるようなそんなお話。
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自分の子どもの頃を語っている、とゆーのもあってなにか懐かしい雰囲気。表紙のおれんじ色がずっと周りを囲んでいる感じ。花まんま、もそうだったけど、朱川さんのはどこかあったかみがあって好きだ。過去をみる力のある綺麗で優しい姉。幼い下心によってその力を犯罪を解決することに使うことになって...
自分の子どもの頃を語っている、とゆーのもあってなにか懐かしい雰囲気。表紙のおれんじ色がずっと周りを囲んでいる感じ。花まんま、もそうだったけど、朱川さんのはどこかあったかみがあって好きだ。過去をみる力のある綺麗で優しい姉。幼い下心によってその力を犯罪を解決することに使うことになってしまう。その後、なんだかなし崩し的に何件もの事件にかかわってゆく。その度にみえるのは悲しい心。恐ろしい現実。柔道つよーい母様さいこー!なぜ私は巴投げ?に笑った。母子3人、想い合っている姿は好ましい。一番すきなのはやはり姉さまの初恋話かな。悲しいけれど純愛じゃ〜!にしても終りが意味深、茜ちゃんにしてもどうやら早死らしいし・・・。続きが読みたいような、読みたくないような。わくらば、とはなんぞね?と調べてみる。うーん、どっちの意味だろう?どっちでも合う気がするんだよなあ。
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やさしくて、哀しくて、人ならではのあたたかさが伝わってきました。 「流星のまたたき」では、涙があふれてきました。。。
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とてもきれいで、1話終わるごとに早く次のお話を読みたいと思う作品でした。 神楽さんが最初の印象と変わっていくのが嬉しかったです。
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不思議な力を持つしとやかな姉と、気の強い普通の少女である妹のお話。 戦後貧しかった頃の日本が舞台です。 その時代はテレビなどの映像等でしか知らないので、なんだか現実離れしており、私には一種のファンタジーのように感じられました。 姉と過ごした少女時代を、妹が過去を振り返る形で物語...
不思議な力を持つしとやかな姉と、気の強い普通の少女である妹のお話。 戦後貧しかった頃の日本が舞台です。 その時代はテレビなどの映像等でしか知らないので、なんだか現実離れしており、私には一種のファンタジーのように感じられました。 姉と過ごした少女時代を、妹が過去を振り返る形で物語は進んでいきますが、冒頭で姉は若くして亡くなったことが明かされています。 それを思うと、あたたかいストーリーもなんだか切ない気分にさせられます。姉さまは本当に優しくていい人すぎる・・・! こんな人が若くして死んじゃうのね、と思うとかなり切ないです!! 不思議な力は時に役立つけれど、万能というわけではなく、時にはその力を使うことで逆に事態が悪化することもある・・・そういう描き方が良かったです。 不思議な力というどこかSFっぽい要素があるけれど、結局この作品から一番に感じたのは、人と人との結びつきの強さでした。 読むと心がじんわりあたたかくなるお話です。
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