わくらば日記 の商品レビュー
その時代に生きていたわけではないのに、 昭和の町並みが、人との触れ合いが、懐かしく感じられる程です。 ミステリ仕立ての、でもそこに依存しない優しい物語たち。 まさに絶品。 気になったのは、姉さまの能力が京極シリーズの探偵の能力と似ている点。 外見も微妙に被る様な。気の...
その時代に生きていたわけではないのに、 昭和の町並みが、人との触れ合いが、懐かしく感じられる程です。 ミステリ仕立ての、でもそこに依存しない優しい物語たち。 まさに絶品。 気になったのは、姉さまの能力が京極シリーズの探偵の能力と似ている点。 外見も微妙に被る様な。気のせい?
Posted by
★…4.5。人や物の記憶を“見る”ことが出来る少女・鈴音(りんね)と、彼女の妹・和歌子が出会った、5つの事件と様々な人々。物語は、和歌子の視点で語られており、とても穏やかで温かな雰囲気をまとっています。鈴音と和歌子は、その特異な能力を使って事件の真相に迫るわけですが…事件の真相を...
★…4.5。人や物の記憶を“見る”ことが出来る少女・鈴音(りんね)と、彼女の妹・和歌子が出会った、5つの事件と様々な人々。物語は、和歌子の視点で語られており、とても穏やかで温かな雰囲気をまとっています。鈴音と和歌子は、その特異な能力を使って事件の真相に迫るわけですが…事件の真相を“見る”ということは、人の心の深層まで覗いてしまうことでもあったわけで。事件の裏に隠れたものを知る度に、彼女達は自分達が表層的なものに惑わされていたことを知り、それを恥じたり、後悔したり…読んでいて、とても哀しく、やるせない気持ちになることも、しばしば。あったかいだけのお話じゃない、よ。
Posted by
いかにも朱川さんらしい「昭和ホラー」。人の見たものや、その場所に起こったことが見えてしまう美しい姉を妹が語るという趣向も面白いです。いつも思うことなのですが、朱川さんは舞台となっている昭和30〜40年代にはかなり年少のはずだったのに、どうしてあんなに懐かしいことがらを覚えておられ...
いかにも朱川さんらしい「昭和ホラー」。人の見たものや、その場所に起こったことが見えてしまう美しい姉を妹が語るという趣向も面白いです。いつも思うことなのですが、朱川さんは舞台となっている昭和30〜40年代にはかなり年少のはずだったのに、どうしてあんなに懐かしいことがらを覚えておられるのか。当時のできごとや物だけではなく、人々の考え方まで今とはかなり違っていることがさりげなく描写され、懐かしくてたまりません。姉も妹も彼女たちの母親も、キャラとして立ち上がってくるものがあり、とても楽しく読めました。ただ、刑事の神楽さんは、もうちょっと書き込んでほしいな・・。すっごいイヤな奴から急に人間味のある人に変換しちゃって、読んでいてとまどいました。もう少し自然に人となりを出して欲しかったと思います。この作品は、まだ続きがあるような含みで終わっているのですが、次作は出版されているのでしょうか。姉のその後、彼女たちのお父様のこと、平成の妹のこと、知りたいことがたくさんあるんですけど・・。
Posted by
くらば、の意味をしらべてみた。 わくらば【邂逅】 たまたま。偶然に。まれに。 わくらば【病葉】 病気で枯れた葉。特に、夏、赤や黄に変色して垂れたり縮まったりした葉。夏の季語。 きっとどっちにもかけているのかな。 昭和30年代、下町で母さまと姉さまの3人で。 貧しいなからも仲...
くらば、の意味をしらべてみた。 わくらば【邂逅】 たまたま。偶然に。まれに。 わくらば【病葉】 病気で枯れた葉。特に、夏、赤や黄に変色して垂れたり縮まったりした葉。夏の季語。 きっとどっちにもかけているのかな。 昭和30年代、下町で母さまと姉さまの3人で。 貧しいなからも仲むつまじく暮らす私が語り手。 美しく儚げな姉さまに人や物の記憶が見える、 という不思議な力があることを知り、 ひょんなことから警察にしゃべってしまい、 様々な事件をその能力で解決してく物語。 昭和レトロな感じが文章で伝わってきたー! 昭和レトロ好きとしてはかなりツボです。 文章のタッチも奥ゆかしい繊細でしっとりで。 なんか続編がありそうな終わり方だったので、 楽しめた身としては期待。 でも、マンネリ化しそうな題材。姉さまの力。
Posted by
この人の本初めて読んだけど、懐かしいようなあったかい気持ちにさせてくれる本です。心に残るフレーズがたくさん出てきて、私もこんな風に生きたいと思わせる1冊です。
Posted by
良き昭和のノスタルジーが良い感じ。仲良し姉妹に訪れた事件は、姉さまの不思議な力によって解決されます。人の優しさにそっと触れる作品です。
Posted by
作者はとても丁寧に言葉を紡いで、文章を組み立てている。そのため、私の知ることのない昭和初期の世界にぐんぐんと惹きこまれる心地良い作品。 不思議な力を持ったまさに美人薄命の姉と、彼女を「姉さま」と呼び慕う無邪気な妹、躾に大変厳しい柔道を窮めた気丈な母親。この三人の慎ましやかな日常に...
作者はとても丁寧に言葉を紡いで、文章を組み立てている。そのため、私の知ることのない昭和初期の世界にぐんぐんと惹きこまれる心地良い作品。 不思議な力を持ったまさに美人薄命の姉と、彼女を「姉さま」と呼び慕う無邪気な妹、躾に大変厳しい柔道を窮めた気丈な母親。この三人の慎ましやかな日常に、姉さまの不思議な力が加わって、物語は優しく温かく、そして時に切なく描かれる。 まだ解明されていない部分も多いので、続編刊行の予感・期待。
Posted by