わくらば日記 の商品レビュー
人間の善なる本性とその余韻
人の記憶や過去の出来事を読み取ることができるというミステリアスな能力を備えた病弱な美少女を姉に持つ妹の視線と語りで描かれる5編の物語を収めた連作短編集である。轢き逃げや殺人事件なども物語の素材となっているが、昭和30年代前半という時代設定や文体が、ロマンチックでノスタルジックな雰...
人の記憶や過去の出来事を読み取ることができるというミステリアスな能力を備えた病弱な美少女を姉に持つ妹の視線と語りで描かれる5編の物語を収めた連作短編集である。轢き逃げや殺人事件なども物語の素材となっているが、昭和30年代前半という時代設定や文体が、ロマンチックでノスタルジックな雰囲気を醸し出す中で、事件の切ない真相とともに浮き彫りになる人間の善なる本性とその余韻に心温められる。
fugyogyo
記憶が薄れたので再読。何度読んでも不思議な世界にすっと入っていけるところが好き。朱川さんは人物の描写が上手なので登場人物たちが知り合いのように頭に浮かぶ。
Posted by
最近ハマっている作家さん。なかなか良いです。 このお話もちょっと不思議でほのぼの感あり、物悲し感あり、読み易くて面白かった~! 続編も有るので読もう(^^♪
Posted by
好き! 本屋大賞の作品でがっかり続きだったので、読んでいる最中も、読後も心地よいこういう作品に出会えてほっとした。 過去が見えてしまう不思議な力を持った姉との思い出を妹が語る。戦後から高度経済成長へと向かうあの頃の日本。 事件簿でもあり、ミステリーでもあり、人間の切なさ愚かさ優し...
好き! 本屋大賞の作品でがっかり続きだったので、読んでいる最中も、読後も心地よいこういう作品に出会えてほっとした。 過去が見えてしまう不思議な力を持った姉との思い出を妹が語る。戦後から高度経済成長へと向かうあの頃の日本。 事件簿でもあり、ミステリーでもあり、人間の切なさ愚かさ優しさ温かさも感じられて、読めてよかった。続きもあるので、それを読む楽しみができたのも嬉しい。 私もお母さまに巴投げされたいと思った。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
過去を『見る』ことが出来る姉と好奇心旺盛な妹が様々な事件に遭遇していく連作集第一作。 朱川さんお得意の昭和を舞台に、割りきれない人間という生き物、やりきれない事件を描く。 度々出てくる姉の行く先の表現や、姉妹の置かれた複雑らしい家族関係などが、より現時点の慎ましく時に苦しくとも美しい日々であることが強調される。 礼儀に厳しい母親の意外な特技があったり、悲しい過去を持つ友人の明るさがあったり、怖そうで優しい刑事がいたり、脇役も良い。 久しぶりの再読だったが、続編もそのうちに読んでみたい。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なんという事でしょう。 他にもあるなら「過去を見る能力」の話が読みたいと思っている時におススメ頂いた本(泣ける話で)が偶然「過去が見える能力」を持った女性のお話とは。 1話(虹の)を読んだ時はなんとなく重いし 少女に殺人現場見せるとかどうなんだろうと思ったりで 微妙だったのですが 読み進めるうち当たり前の事の大切さ(礼儀)や成長するにつれて言われなくても分かって来る「他人は自分を映す鏡」的なストーリー、自分の世代では意識していないと忘れてしまいがちな過去の傷跡、その痛み、かつての日本にはその痛みと共に生きていた人々が大勢いたという事実。 色々な事に思いを馳せる、そんな本でした。 身内の自殺の痛みを思ってのあの行動に対しては余計なおせっかいなうえに多くの人に迷惑をかけた最低な行動にしか思えませんでしたが。(似た経験をした側の意見) 自殺だったと知ったら後悔はするし苦しむけれど罰せられない分重く心に有り2度と間違いはおこすまい、と強く思える。知った後の自分ではない命に対する考えと行動は以前とはまるで違うものになりました。 私にとって良い本とは「読後に考える本」なのでこの本はあたりでした。 おすすめ下さった方に感謝です。
Posted by
見る不思議な力を持ったお姉さま。病弱だけど、心優しい、透き通るように肌が白くて、大好きなお姉さま。 戦後の日本が時代背景。不思議な力を持った姉と姉思いの妹が体験する事件。ささやかな暮らし。二人が主人公でいくつかの事件を短編にした一冊。読み終わって、この姉妹に会えなくなるのがさみし...
見る不思議な力を持ったお姉さま。病弱だけど、心優しい、透き通るように肌が白くて、大好きなお姉さま。 戦後の日本が時代背景。不思議な力を持った姉と姉思いの妹が体験する事件。ささやかな暮らし。二人が主人公でいくつかの事件を短編にした一冊。読み終わって、この姉妹に会えなくなるのがさみしい、続きが読みたい。わくらばファンになりました。
Posted by
物や人の記憶が見える姉妹が「あの懐かしい昭和」を舞台に事件の謎を解いていく短編集。 当時の流行や暮らしを紹介しながら、あっさり事件が解決するので読みやすい。登場人物も優しい正義に溢れていて読後感も悪くない。
Posted by
昭和三〇年代。当時私は東京の下町で母さまと姉さまと三人、貧しいながらも仲むつまじく過ごしておりました。姉さまは、抜けるように色が白く病弱で、私とは似ても似つかぬほど美しい人でしたが、私たちは、それは仲の良い姉妹でした。ただ、姉さまには普通の人とは違う力があったのです。それは、人で...
昭和三〇年代。当時私は東京の下町で母さまと姉さまと三人、貧しいながらも仲むつまじく過ごしておりました。姉さまは、抜けるように色が白く病弱で、私とは似ても似つかぬほど美しい人でしたが、私たちは、それは仲の良い姉妹でした。ただ、姉さまには普通の人とは違う力があったのです。それは、人であれ、物であれ、それらの記憶を読み取ってしまう力でした…。小さな町を揺るがすひき逃げ事件、女子高生殺人事件、知り合いの逮捕騒動…不思議な能力を持つ少女が浮かび上がらせる事件の真相や、悲喜こもごもの人間模様。現代人がいつの間にか忘れてしまった大切な何かが心に届く、心温まる連作短編集。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読メでどなたかが紹介していて、気になったので図書館で借りてきて読了。 うむ。面白かった。 ジャンルはなんなんだろう? 推理小説のような雰囲気を持った超能力話? 姉さまはいったい何者なんだ? 三丁目の夕日的な時代感と超能力。 ミスマッチなようで意外にマッチしている。 確か続きがあったような気がするので、また借りに行ってこよう。
Posted by