まだ遠い光 の商品レビュー
凄まじくてリアルで陰惨で感動な話だと思います。 とくに、教育福祉心理とかの人はあるあるで読んじゃえるくらいあるあるあるある...だけど仕事してる気になってくるので読まない方がいい気がしないでもない。 決して全体の構成が珍しくもなんともないけど、細部の登場人物のエピソードがが秀...
凄まじくてリアルで陰惨で感動な話だと思います。 とくに、教育福祉心理とかの人はあるあるで読んじゃえるくらいあるあるあるある...だけど仕事してる気になってくるので読まない方がいい気がしないでもない。 決して全体の構成が珍しくもなんともないけど、細部の登場人物のエピソードがが秀逸なので気にならない。
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完結。なかなかにヘビーで、これでもかこれでもかと投げられてくる問い掛けにグサグサとあちこちを刺された気がした。救いがあるのに誰も救われていないような気分にもなる。なんて複雑なのだろう。その中でも、一番の変化は俊介だったと思う。彼ははじめはどうしようもない青年として登場したが、これ...
完結。なかなかにヘビーで、これでもかこれでもかと投げられてくる問い掛けにグサグサとあちこちを刺された気がした。救いがあるのに誰も救われていないような気分にもなる。なんて複雑なのだろう。その中でも、一番の変化は俊介だったと思う。彼ははじめはどうしようもない青年として登場したが、これ以上はないだろうという位劇的に変化して行った。途中で受けた傷が関わっているにしろ、一番救われたのではないかという気がする。馬見原は変わらないけど、それがいい。人は心に傷を負うことでどのようにも変化する。それが原因として全てになって欲しくはないが、そこから変われる人に成長できる世界であって欲しいと願う。比喩として貧困や内戦にいる子供達と日本で生活している子供達とが数回取り上げられていたが、すごく響いた。比べるなんて、どんな事だって出来ないのだ。誰だって日本で今生活している子供達の方が恵まれていると思ってしまうだろう。それは感情としてわかるけど、そうじゃない。今、痛みを抱えている子供達をそういう尺度で、優越を測っていいわけじゃない。誰だって傷を負うし、誰だって悩んでいる。正解なんてあるかどうかすらわからない。だから自分が思った方向に突っ走って壁に激突してしまう人もいる。家族とはなんなのか…。もう一度考えて見てもいいような気がした。
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うーん 永遠の仔が良かったので期待した分ちょっとがっくりかなぁ。 長い長い前置きで最後にすべてが繋がるのだけど、要らないエピもあったような気がする。。。
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家族狩り全5部作の感想として… 読み応えがあってとても良い作品でした。 読み終えた時、三浦綾子さんの『氷点』を読み終えた時と同じ様な何とも言い難い、重くて丸い物がゴロゴロ心の中を占拠し続けていました。2013 1
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社会問題を扱っているのでそれなりに共感は得られるのだろうが、結末は強引で陳腐。怖いもの見たさ、嫌なもの見たさを満足させたい人向けのエンターテインメント。
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重かった。読んでて辛い話過ぎた。 でもそんな話でこれだけ長い話なのに最後まで一気に読めたのは作者の文章のうまさだろうな。 各人物に感情移入できた。 タイトルはまだ遠い光とあるけど、最後に光が見えるだけでも救われた気分になる。
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ようやく最終巻読了。 駒田は本当どうしようもないな。巣藤と游子は出会った当初のことを思えば意外なほど強く結ばれる。 油井は変わらず冬原親子に執着し続け、箍がはずれてしまう。繊細すぎるが故に暴走を止められない亜衣と、彼女を持て余す両親。ついに芹沢家は家族狩の標的候補に入ってしまうほ...
ようやく最終巻読了。 駒田は本当どうしようもないな。巣藤と游子は出会った当初のことを思えば意外なほど強く結ばれる。 油井は変わらず冬原親子に執着し続け、箍がはずれてしまう。繊細すぎるが故に暴走を止められない亜衣と、彼女を持て余す両親。ついに芹沢家は家族狩の標的候補に入ってしまうほどに崩壊寸前。 親を殺す子供がいる。子供を殺す親もいる。現実にもそんな事件は起きているし、家族があたたかいものだなんて言えないのかもしれない。 世界には貧しさや戦争などにより、もっと大きな問題が日々起きているのも事実。でも、だからと言って家庭という小さな世界で起きていることに無関心にはなれない。 白蟻が家を巣食うように、気づいた時にはそれは手遅れになっているかもしれないのだから。 でも犯人の目的や理論にも一理あるし、全く理解できないわけではないけれど、私は游子と同じ意見だなぁ。 最近読んだ遠藤周作さんの本から引用するけれど、 「自分がいつも正しい、正義漢だと思っている人というのも、知らず識らずに傲慢という罪を犯していると思います。なぜかというと、自分が正しいという気持ちは、かならず他人を裁こうとします。つまり、人を裁こうとする気持ちというのは、自分が裁く相手の心の悲しみとか寂しさということが、よくわかっていないことなのです」 「正しいことをやっていることで、すべてが許されたりしないのです。正しいことは絶対的なのではありません。愛は絶対である、という錯覚に捕らわれてはいけません。愛が絶対なのは神様だけであって、愛が人を傷つける場合もあるのです。社会正義がすべてではないのです。社会正義のために、たくさんの人が傷つく場合もあるのです」 フランシスコ・デ・ゴヤ『我が子を食らうサトゥルヌス』に加え、「儚い羊たちの祝宴」に登場したテオドール・ジェリコー『メデューズ号の筏』など絵画が効果的に紹介されるのもこの作品の妙な格調の高さにつながっている気がする。 天童さんという作家は「再生」「信仰」「愛」「家族」「救済」「死」など重めのテーマを扱うので、読むときはそれなりに気力が必要です。 長くなりましたが「家族」と聞いて、私が一片の曇りもなく「あたたかさ」や「きずな」「安らぎ」「信頼」など良いイメージを抱けるのは、両親が大切に築き上げてきてくれたこの「家族」のおかげなんだなぁと心の底から感謝しました。悲しいけど世の中には「家族」と聞いても暗いイメージしか持てない人もいるのだから。大切で大好きな家族がいることはけして当たり前のことではなくて、本当に恵まれたことなのだと思う。 お父さんお母さん、もう少し一緒に居させてね。私自身もう新しい家族を作り始めてもいい年頃だけど、あまりにもこの家族の居心地が良すぎるの。笑
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1~5巻まとめて。 家族とは何か、家族愛とは・・・ 重いテーマなのにミステリー要素もあって読みやすい。 自分も新たな家庭を持って、親の愛情や家族の愛というものを 考えた。親になったらまた違う気持ちで読めるのだろうな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2度目の読破。 「家族」の問題を描いた衝撃作。 理想の家族ではなく、なにかドロドロとして屈折し、ねじ曲がった愛情(事故であったり他者であったりの愛情)をも感じる作品。 「家族」というグループが希薄化、表面上の人間関係でしか築かれていないという指摘も見えてくる。 「母性神話」ということばがある。 換言すると、「母は子に対して無条件の愛情を本能的に注ぐ」とでもすれば良いのだろうか。 だが、はるか大昔から母の子への虐待は起こっている。 「母性神話」など、その虐待から目をそむけ「理想の親子・家族」を築かせるための作り話なのかもしれない。 「理想の家族を作ろう、理想の家族になろう」という風潮が強い。 しかし「理想の家族」にばかり目を向け、表面上の希薄な人間関係しか築かず、結局は根本的な家族の病理を解決できずにいるのではなかろうか。 理想論ばかり追い求めて、理想という空想のみに目を向け、現実を見ていないのでなかろうか。 この点を、「家族狩り」では指摘していると感じた。
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