まだ遠い光 の商品レビュー
全体的に重い話だったけどストーリーとか良く出来ていて面白かったと思う。「永遠の仔」の方が面白かったけど、天童荒太の小説はやっぱり面白いと思った。
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ずっしりとくるテーマで読者に問いかけてくる小説家、天童荒太。 この作品のテーマは「家族」。 連続して起こる不可解な一家心中事件。 その事件に関係する、刑事、児童相談センター職員、高校教師を軸に、物語が展開していきます。 物語を通じて、家庭内暴力、児童虐待、老人介護といった、家族に...
ずっしりとくるテーマで読者に問いかけてくる小説家、天童荒太。 この作品のテーマは「家族」。 連続して起こる不可解な一家心中事件。 その事件に関係する、刑事、児童相談センター職員、高校教師を軸に、物語が展開していきます。 物語を通じて、家庭内暴力、児童虐待、老人介護といった、家族に関係する現代社会の課題がこれでもか、というほど描写されます。 そして繰り返し問いかけられるのが、「世界にはこれだけ苦しんでいる人たちがいるのに、それに目を向けず、幸せに生きていていいのか」ということ。 もちろん、これらの難しい問題に対して回答めいたものを提示するというわけではなく、読者とともに考えて行くようなスタンスで、書かれています。 物語としては、クライマックスに向けて、事件の謎が解き明かされていくという、サスペンス小説としても味わえる内容になっています。 正直、読んでいて心が沈む部分も多く、「そう言われても・・」と感じる部分もありました。 しかし、この本で問いかけられていることは、現代社会を生きていく上で避けて通れないこと。 そのことに気づかせてくれた作品でした。 この方の小説は、読み手にもパワーが必要ですね、また充電?して、他の作品を読みたいと思います。
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ある一家の無残な殺人現場。「子が親を殺したなんて信じられるか?あってはならないんだ」自殺か?他殺か?軸は一貫して家族愛である。その事件に関わる蜘蛛の巣のように張られた人々の思惑。それだけではない、読者にも考えろと言っているようだった。誰もが悩み苦しむ共感できる一方、読んでいてくど...
ある一家の無残な殺人現場。「子が親を殺したなんて信じられるか?あってはならないんだ」自殺か?他殺か?軸は一貫して家族愛である。その事件に関わる蜘蛛の巣のように張られた人々の思惑。それだけではない、読者にも考えろと言っているようだった。誰もが悩み苦しむ共感できる一方、読んでいてくどくすら感じる部分もあり。最終章のタイトルは「まだ遠い光」赤子の優しい絵。それぞれ、小さな光を見つけて、人は、踏み出す。 この作品は、セリフや思考をたまにふと思い出して再びめくるようなお話だった。また読みたくなる日がもしかしたらくるのかもしれない。
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天童荒太『家族狩り第1部~第5部』読了。連続して起こった猟奇的な一家殺人事件。子供による心中なのか、犯人は他にいるのか。家族の機能不全が深いテーマとして横たわる。登場するどの人物も家族と不器用にしか向き合えず苦しむ中、「まだ遠い光」ではあるが、かすかに見える何かに希望を感じる。 ...
天童荒太『家族狩り第1部~第5部』読了。連続して起こった猟奇的な一家殺人事件。子供による心中なのか、犯人は他にいるのか。家族の機能不全が深いテーマとして横たわる。登場するどの人物も家族と不器用にしか向き合えず苦しむ中、「まだ遠い光」ではあるが、かすかに見える何かに希望を感じる。 著者は他の作品でも一貫してこのテーマを追求している。その背景はなんだろう?家族という社会の小さな単位も、欠けたり壊れたりすれば暴走につながる大切な歯車であると思い知る。家族や愛の大切さを痛感しながらも、それだけでは世の中や世界を変えられない歯がゆさもまた。
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一応ミステリーの形式をとっているが、主ではない。 日本の社会構造の問題点、家族の崩壊やその在り方をテーマとしているのだが、出尽くした問題点を机上の空論的に何度もこねくり回している感が強い。責難ばかり。 特に中心人物の1人である刑事については、私には悪役・負役より最低な人物なのだが...
一応ミステリーの形式をとっているが、主ではない。 日本の社会構造の問題点、家族の崩壊やその在り方をテーマとしているのだが、出尽くした問題点を机上の空論的に何度もこねくり回している感が強い。責難ばかり。 特に中心人物の1人である刑事については、私には悪役・負役より最低な人物なのだが、これが作者の言いたいことを体現しているキャラクターなら、要するに作者が漠然と描く理想に向かうのは無理という結論にならないか?
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“思い出し泣き”ができるくらい心に残る傑作。 そのわけは、文章がとても丁寧に、大切に書かれているから。 それが伝わってくるから。 こんなにも心に響いて、するりと中にまで入ってくる作品は初めてかもしれない。 「永遠の仔」では生きる意味を、 「悼む人」では死の受け止め方を、 そして「...
“思い出し泣き”ができるくらい心に残る傑作。 そのわけは、文章がとても丁寧に、大切に書かれているから。 それが伝わってくるから。 こんなにも心に響いて、するりと中にまで入ってくる作品は初めてかもしれない。 「永遠の仔」では生きる意味を、 「悼む人」では死の受け止め方を、 そして「家族狩り」では・・・家族の愛し方を・・・ いつも天童作品を読了後に思うのは、受け入れてもらったという思いだ。 奇妙な言い回しだけど、“作品に自分を受け入れてもらった”感じになる。 人はそれぞれ。型にはめようとするのはつまらないことだな。 でも、それでもいいんだよと、どれだけ自分は寛容になれているのだろう。 何も知らないと、何も許す事ができなくて怒ってばかり。それは子供っぽい。 経験を積み、知る事で、慮り、許す事ができる様になる。自分はまだまだできない。
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ラスト良かったです。全てがうまく良く人生ではないけれども、それでも希望がもてると思えれば、何とか頑張ってみようと思えてきます。 特によかったのが、母子家庭の親子が元夫のDVに2人で立ち向かっていく姿に泣けました。あぁ~読んでよかった作品です。
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天童さんはファンでしたが、正直今回は好きになれませんでした。 文庫本5冊で読んだからか、間延び感が有々。 登場人物ごとに山場、山場を迎えてるはずが、まったく伝わらず、普通にSeven Years In Tibet状態。 メインキャラとサブキャラの区別があんまりついてないんで、多...
天童さんはファンでしたが、正直今回は好きになれませんでした。 文庫本5冊で読んだからか、間延び感が有々。 登場人物ごとに山場、山場を迎えてるはずが、まったく伝わらず、普通にSeven Years In Tibet状態。 メインキャラとサブキャラの区別があんまりついてないんで、多すぎる登場人物中、誰に集中していいかわからんし、かと言って全員が最後に一箇所に来てわわわーって集結感があるわけでもない。 テーマも、家庭崩壊、不登校、殺人事件と捜査、カウンセリング、恋愛、etcって多岐にわたってて、どれがメインかいまいちぼやけてる感じ。 たぶん「永遠の仔」では、テーマが多くても読み手によってメインが違って見えるって神的手法を披露してくれた天童さんなので、今回は単純に絞りきれてない感がありました。 単行本2冊で読んでたらまた違ったのかな? 読了するまでの時間とか、本の形状とか季節とか、読書ってやっぱり奥深いわ。 電子本で読んだら・・・いや、先に何ページあるかわかんないメクラ状態はもっとも読む気をなくす気がする。 私はローテクの紙派です。
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天童荒太氏の長編小説『家族狩り』の第五部で、最終章。 最初はただの点同士だった登場人物の関係も、次第に触れ合い、線となる。登場人物の関係も、章を追うにつれて少しずつ変化し、やがてそれが、人によっては好転し、人によっては暗転する。 だが、結局はそれも、見方次第では好転の一つとも成...
天童荒太氏の長編小説『家族狩り』の第五部で、最終章。 最初はただの点同士だった登場人物の関係も、次第に触れ合い、線となる。登場人物の関係も、章を追うにつれて少しずつ変化し、やがてそれが、人によっては好転し、人によっては暗転する。 だが、結局はそれも、見方次第では好転の一つとも成り得るのだと気づかされる。本当に、その人が心の内でどう思っているかなんて解らない。勿論、100%理解することなど不可能だろう。しかし、たとえしつこいと思われようと、その人に対して真摯に話す、または話を聞こうとする意思が無ければ、いつまで経っても0%のままなのだ。そうやって、人との関係は悪化し、遂には暴力沙汰になることだってある。それが、たとえ最も安らぎに満ちているはずである家族の中であっても。 本書で発生した、数々の家族の内に起きた痛ましい事件。家族間で亀裂が生じ、社会的にも爪弾きにされたようで孤独を感じた子供が引き起こした一家心中、と思われた事件。その全容が明らかになる。 本書の読者は、心中の線も無くは無いと思うだろうが、読み進めるにつれて、他殺の線もあると思うだろう。そして、第三部の巣藤が馬見原に話した内容から、事件を引き起こした黒幕が次第に明らかになる。 そして明かされる首謀者の独善に満ちた動機。『DEATH NOTE』に登場するキラのような考えと振る舞い。兼ねてから人々が潜在的であれ顕在的であれ考えていたことを実行したわけだから、彼らの考えが全く理解できない、というわけではない。首謀者は首謀者なりに、社会を変えようと奮闘したのだから 。それでも、変わらない、変えようともしない人も少なからずいたのだから。しかし、だからと言って、まるで社会への見せしめのために、彼らを殺すのは、果たして正しい行いなのだろうか。『DEATH NOTE』でも、結局はそれを受け入れるか、自分で考えるかのどちらかになる、絶対的な正義などどこにも存在しない、というところに帰結すると思う。 ミステリー作品と謳われている部分があるが、そこまでミステリー色が濃い作品ではないと思う。どちらかと言うとヒューマンドラマだ。それも、人との繋がりや触れ合いによって、少しずつ、緩やかに変化をもたらすヒューマンドラマ。 登場する人物が、最終的に全ての面にかけて変化したわけではない。登場した時に比べれば大いに変化した人物もいるだろうが、あまり変化したようには見えない者もいる。それでも、何らかの形で『変化』したことに変わりは無い。まるで、本当の人生を追走しているかのようだ。 ある意味、すっきりした終わりは見出せていないのだが、人生という長い旅路は、得てしてそういうものではないのだろうか。それでも、明日、また明日と、ほんのちょっと違った『変化』があるのだから、人生は面白いし止められない。そんな感受性をもたらした作品ではないかと思う。
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家族崩壊のオンパレード。なんとも暗い話ばかりで滅入ってしまう。あんまりはっきりと救いも見せない。まともな奴がほとんど出てこないのだな。それでもリーダビリティはめっぽう高い。この家族がどうなるのかとグングンページをめくってしまう。
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