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サウスバウンド の商品レビュー

4.1

338件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2012/01/16

元左翼過激派だった父と母を持つ、小学六年生の二郎。 この作品は二郎が、家族・友人・教師など自分を取り巻く人々との関係をどう築いていくかという問題を通して、人間と社会の関係について掘り下げるドラマです。 内容は東京編と沖縄編という2部構成の形をとっています。 東京編では、小学生同...

元左翼過激派だった父と母を持つ、小学六年生の二郎。 この作品は二郎が、家族・友人・教師など自分を取り巻く人々との関係をどう築いていくかという問題を通して、人間と社会の関係について掘り下げるドラマです。 内容は東京編と沖縄編という2部構成の形をとっています。 東京編では、小学生同士のあどけない日常を描きながらも、都会の歪ん子供社会を浮き彫りにしています。 歪んだ少年社会をきちんと描くことで、個としての小学生がいかに無力かということを如実に再現しています。また、大人の正論がが子供社会では、何の意味も持たないということについても寓話的に再現。 このあたりの閉塞感や、絶望感に対する苛立ちが非情にリアルに伝わってきます。 子どもの視点というフィルターを通すことで、社会の不条理をより明確化させることに成功しているといえるでしょう。 ただ、陰惨なシーンばかりではなく、子ども社会によくある間抜けすぎて笑えるシーンというのもあるし、小学生同士の切ない恋話と友情話なんかもジーンときたりします。 そのへんのお約束的な展開が上手かったりして、はまります! 沖縄編では、東京編との対極として、都市生活が失っている近所同士のボーダレスな関係や、助け合い社会を描いています。 この対比が非情にうまいと思いました。 で、沖縄編を読むとこの日本の消費社会について、非情に考えさせられるシーンがいくつか散りばめられています。 これが、元左翼過激派だった父親の台詞である、「国家や経済なんか必要ない」という乱暴な理論に説得力を持たせる効果がある。 上手い! 奥田さんは決して文章の上手な方ではないと思いますが、ジワジワと登場人物を追いつめたり、登場人物の台詞をジワジワと読者に納得させる技に長けていると思います。 結構長い本でしたが、社会派エンターテイメントとして完成度の高い作品であるので、非情にいい読書時間を過ごしました。 ただ、最後の家族の生活スタイルは否。 主人公の父親の人物像に矛盾を感じるな〜。 それ意外は、非情にオススメです。

Posted byブクログ

2012/01/04

空中ブランコなど他の奥田 英朗でも、 笑わせてもらったがこの作品でも笑ってしまった。 (電車の中で) こんな父親になりたいような、そうでないような。 でも、この家族のようにいつかは南の島で 暮らしたいな~。 冬、沖縄。 夏、モンゴル。 そんな生活できないだろうか。。。

Posted byブクログ

2011/11/25

前半が東京の大都会での生活。 後半が沖縄の離島の大自然での生活。 まったく違う生活の中で、小学生の主人公の目を通して、 「普通じゃない」自分の元?過激派の父親の姿を描いています。 ラストは現実離れしていて、 でもちょっとほろりとする場面もあって。 でも着実に、昨日よりた...

前半が東京の大都会での生活。 後半が沖縄の離島の大自然での生活。 まったく違う生活の中で、小学生の主人公の目を通して、 「普通じゃない」自分の元?過激派の父親の姿を描いています。 ラストは現実離れしていて、 でもちょっとほろりとする場面もあって。 でも着実に、昨日よりたくましく生きていく子どもの姿に勇気をもらえました。

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2011/11/12

泣きあり、笑いありのはちゃめちゃな冒険小説。主人公の小学生の両親がもと過激派という設定。純粋なマルクスレーニン主義を信じ、国家に頼らない生活をするために南の島に一家で移住する。単純なストーリーに思えるが、そこはこの作家の天才たるゆえん。とにかく爽快感ばっちり。最後のオチがいまいち...

泣きあり、笑いありのはちゃめちゃな冒険小説。主人公の小学生の両親がもと過激派という設定。純粋なマルクスレーニン主義を信じ、国家に頼らない生活をするために南の島に一家で移住する。単純なストーリーに思えるが、そこはこの作家の天才たるゆえん。とにかく爽快感ばっちり。最後のオチがいまいちななのは愛きょうか。家族の絆、揺れる小学生の心をしっかりと描きこんでいる。”センチになるのは大人たち。子供には過去より未来の方がはるかに大きい。センチになる暇はない。”心に残った!しまんちゅう~ぬた~から~♪

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2011/10/30

テンポよく面白いストーリー展開で読みやすかった。家族の絆、人の繋がりを感じる作品で、最後の父ちゃんが角材を持って戦うシーンは感動しました。

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2011/10/18

奥田英朗なのにエロくない!!しかも長編!! 12歳の少年が主人公。元過激派で税金も修学旅行費も払わん。みたいなキレてる親のせいで、とうとう一家で西表島でサバイバル生活。しかもリゾートホテル建設反対を巡ってまた公権力と戦うことに。 ただのモンスターペアレンツやんうざす。って...

奥田英朗なのにエロくない!!しかも長編!! 12歳の少年が主人公。元過激派で税金も修学旅行費も払わん。みたいなキレてる親のせいで、とうとう一家で西表島でサバイバル生活。しかもリゾートホテル建設反対を巡ってまた公権力と戦うことに。 ただのモンスターペアレンツやんうざす。って思って読んでたのに、次第にその人間性にぐいぐい引っ張られちゃうのは奥田さんならでは。正しいことに対する要求がきっかけだとしても活動家ってのは活動することが目的になっちゃうとか、集団はいつも権力を欲しがるとか、イデオロギー闘争における葛藤みたいなまじめなテーマも感じられるし、あんな親になりたくはないけどでもなんかちょっとかっこいいなと思えてくる家族の絆も描かれてる。。 ほんでなにより、沖縄いいなあ。八重山。

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2011/09/29

破天荒すぎる父に家族が、周りが、国が振り回されるお話。 父、一郎はめちゃくちゃだ。誰にも屈しない、自分を曲げない。 こんな人がそばにいたら本当に苦労するやろうけど、同時にとても眩しく映るだろう。 目には見えない、各々が頭の中で作り出した世間という牢獄のなかで生きる現代人には、...

破天荒すぎる父に家族が、周りが、国が振り回されるお話。 父、一郎はめちゃくちゃだ。誰にも屈しない、自分を曲げない。 こんな人がそばにいたら本当に苦労するやろうけど、同時にとても眩しく映るだろう。 目には見えない、各々が頭の中で作り出した世間という牢獄のなかで生きる現代人には、これはファンタジーのように見えるかもしれない。 自分で自分をがんじがらめにしてる人の苦しみをぶっ飛ばしてくれるような痛快さ! ほんと奥田さんは、実は大したことない事件をものすごくスリリング&ドラマティックに書いて、そして節々で最高のユーモアも挟み込めるすごい人だ。 こんなにワクワクしながらページをめくったのは久しぶりかもー! あと、ものすごく沖縄に行きたくなります。

Posted byブクログ

2011/09/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

面白い! 痛快!!吹き抜ける南風!! 最初は、主人公上原二郎少年が、壁を乗り越えていく友情と成長の物語として読み始めていた。描写が的確で、会話も面白く飽きさせない文章に特徴があって、主人公の葛藤にとても共感できる小説だなぁという印象。ところが、謎の父親上原一郎の正体が少しずつ明かされるにつれ、物語が一気に日常の世界から動かされていき、本の続きが知りたくて目が離せなくなってしまう。友情・成長というテーマに加え、学生運動、個と組織、スローライフ、環境問題、家族のあり方、人の生き様というテーマを息を付かせない展開の中に笑いとともに織り込んで娯楽作品に仕立てているこの作者の力量に脱帽!

Posted byブクログ

2011/09/19

元過激派の行動隊長を父に持つ少年を主人公に描いた冒険家族小説。 過激な父に振り回され苦悩する子供たち・・・紆余曲折経て最後は家族の結びつきを強く実感するという家族愛を描いた秀作です。

Posted byブクログ

2011/09/15

元過激派の父に悩まされる主人公。 男の子の視点で描かれてて読みやすかったです。 前半は東京での生活、後半は移住した沖縄の西表島での生活が描かれた2部構成。 ハチャメチャな父さんだけど、かっこよくてステキな父さんです。 トヨエツ主演の映画も観てみたい。

Posted byブクログ