ローマ人の物語(13) の商品レビュー
「ブルータスお前もかっ!」のブルータスの候補って2人いるんだね。本当にこの頃のローマ人名前のレパートリーは狭い。誰が誰だかわからなくなる。しかし、暗殺されたのにここまで内容が克明に分かるのも、キケロのおかげなのだろうか。あと、クレオパトラのイメージが崩れていった・・・。まあ、今ま...
「ブルータスお前もかっ!」のブルータスの候補って2人いるんだね。本当にこの頃のローマ人名前のレパートリーは狭い。誰が誰だかわからなくなる。しかし、暗殺されたのにここまで内容が克明に分かるのも、キケロのおかげなのだろうか。あと、クレオパトラのイメージが崩れていった・・・。まあ、今まで西洋史を勉強していないので、この時代に起きたことは全く知らなかったから無理も無いけど。
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なぜブルータスやカシウスはカエサルを暗殺したのか、暗殺後の支離滅裂な行動から見ても、カエサルのような野望・構想があったとは思えない。大天才が故に起こる摩擦の大きさによるものなのか、人間とはこんなものなのか ※9/5にまとめて入力
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この巻は主にオクタヴィアヌスとアントニウスの抗争の話である。10代のオクタヴィアヌスの才能を見抜くあたり、カエサルは最期まで圧倒的な指導者だったようだ。
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カエサルとキケロ。 「祖国(パトリア)」の概念が、キケロとカエサルではちがっていた・・・ カエサルの考えた「祖国(パトリア)」には、防衛線はあっても国境はない。 本国に生まれたローマ市民の、しかもその中の元老院階級に生まれた者だけが、国政を背入試泣ければならないとも考えていな...
カエサルとキケロ。 「祖国(パトリア)」の概念が、キケロとカエサルではちがっていた・・・ カエサルの考えた「祖国(パトリア)」には、防衛線はあっても国境はない。 本国に生まれたローマ市民の、しかもその中の元老院階級に生まれた者だけが、国政を背入試泣ければならないとも考えていない。 被征服民俗の代表たちに元老院の議席を与えて、ローマ人純血主義のキケロやブルータスらの反発を買ってしまったくらいなのだ。 カエサルには、国家のためにつくす人ならば、ガリア人でもスペイン人でもギリシア人でも、いっこうにかまわないのであった。 ただし、カエサルの「祖国(パトリア)」は、ローマ文明の傘の下に、多人種、多民族、多宗教、多文化がともに存在しともに栄える、帝国であったことは言うまでもない。」(126項) 塩野さんは、文明/文化を区別している。 ローマ「文明」という同一文明の下で、多文化共存の世界(帝国)を目指すという図を初めに描いたのが、カエサル。 12巻については省略しましたが、つまりポエニ戦役&内乱後のカエサルについては、編年式の叙述が省略された。 (まぁ、内乱後から暗殺されるまで、年を編めるほど長く生きることが許されなかったゆえもあると思うけど) だから、何だか突然、暗殺されてしまったような印象のある巻でもあったのですが。 では、何が描かれていたかといえば、 塩野さんの言うところの、カエサルが「帝国」統一の基盤としようとしていた「文明」、即ち貨幣(通貨)、税制、暦。 それに帝国の統治機構の改編である、元老院の無力化と金融・行政改革。 そういったものについて記述されていたわけです。 * なぜ、「帝国」への改革が必要であったのか。 共和制ローマが、拡大してしまったからというのが、第1の回答。 「民主政とは、有権者各自の知力と判断力の多少によって、機能できるかできないかが分かれるのではない。 何かことが起こればただちに駆けつけられる、有権者の数の多少によって決まるのである。」(108項) はいはいってところかもしれないけれども、ね。 * 他の、エッセイなんか読んでいてもはっきりと、塩野七生のカエサル愛は半端ないのです。 ので、時々筆が滑り過ぎているように感じている部分もないではないのですが。 いや、でもやっぱり偉大ですのね。(あいって、とかいってみる。) 以下は14巻冒頭、『読者に』から。 *** ユリウス・カエサルの言葉の中で、私がもっとも好きなのは次の一句である。 「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。 多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」 こうは思いながらもカエサルは、指導層の中でも才能に恵まれた人々には、見たいと欲しない現実まで見せようと試みたのではなかったか。 『内乱記』を読むだけでも、書き手の品位を損なうような非難の言葉は使われていないにかかわらず、いやそれゆえにかえって、読む者をして、元老院の統治能力の衰えを認めざるをえない想いにさせる。(13項) *** 13巻、参考文献の紹介文において、ローマ人の物語のうち、ユリウス・カエサルの章が特に生き生きと描かれていることを、塩野さんは自身の技量によらず、カエサルとキケロによる素晴らしい資料が残されていたがゆえのことと説明します。 それは、その通りではあるのでしょうけれど。 だとすればなおのこと、 「読む」という、ほぼ万人に可能な行為だけによって、 ここまできっちり、それら資料の「主人公」であり「書き手」である人たちを愛した塩野さんは、豊かなひとだな、と思います。
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すばらしい。カエサルが暗殺されるシーンを劇的に描くわけでもなく、時間の流れの中で起こった出来事のひとつとしてさらっと書いているところが、この本の意味があると思う。暗殺のシーンを詳細に書いたりすると歴史書としての風合いが損なわれ、時代小説に成り下がったのではないかな。 カエサル暗殺...
すばらしい。カエサルが暗殺されるシーンを劇的に描くわけでもなく、時間の流れの中で起こった出来事のひとつとしてさらっと書いているところが、この本の意味があると思う。暗殺のシーンを詳細に書いたりすると歴史書としての風合いが損なわれ、時代小説に成り下がったのではないかな。 カエサル暗殺後のローマの混乱と鎮静までを描いているのだけど、生ける3人(アントニウス、オクタヴィウヌス、クレオパトラ)が死せる一人の英雄の影で揺れ動き、英雄というか神の子オクタヴィウヌスが分割されたローマを統一に導く歴史の流れが小説みたいにおもしろい。塩野さんのクレオパトラ感もおもしろい。 地中海、アフリカ北部を制圧した英雄が18歳の無名の若者を後継に選んだこともすごいが、その先見に応えた若者も偉大だ。
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評価4.5 カエサルの意志をついで、若きオクタビィアヌスが立ち上がる。無名の若き継承者はどう初代皇帝となりえたのか?
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やっと13巻まで読み、カエサルが死んで一息付いた。 カエサルが暗殺された文章を何度も読み返してしまった。 金と女に困ることはなく、人望に厚く、戦争をすれば必ず勝利し、政治力も凄まじく。それらに加えて明晰で見事なラテン語の散文を書き、自国民には敵といえど寛容で契約を重んじ偽...
やっと13巻まで読み、カエサルが死んで一息付いた。 カエサルが暗殺された文章を何度も読み返してしまった。 金と女に困ることはなく、人望に厚く、戦争をすれば必ず勝利し、政治力も凄まじく。それらに加えて明晰で見事なラテン語の散文を書き、自国民には敵といえど寛容で契約を重んじ偽善を知らなかったカエサル。 こんな才色兼備の人間が存在していいのか? 彼の寛容の精神、先見性、言葉の操り方、実行力は大いに参考になると思う。 当時ローマにいたならば、カエサルの軍団長と言わずに百人隊長として使ってくれて本望であります。 カリスマの塊。 あんま本のレビューになってないけど、とにかくすごいや。
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11〜13巻通じての感想。4に近い3で。 11巻はポンペイウスとの決着、12巻は帝政の土台作り、13巻はカエサル暗殺後の混迷という感じで綺麗に区切られてたから1冊ずつ感想書いても良かったけど。 それにしても一人の人間について、よくもまあこんなに書くことがあるわ(笑)ユリウス・カ...
11〜13巻通じての感想。4に近い3で。 11巻はポンペイウスとの決着、12巻は帝政の土台作り、13巻はカエサル暗殺後の混迷という感じで綺麗に区切られてたから1冊ずつ感想書いても良かったけど。 それにしても一人の人間について、よくもまあこんなに書くことがあるわ(笑)ユリウス・カエサルと題打って文庫6冊分書かれているわけだからな。 この時代の予備知識は元々結構あったんだけど、それでも読んでみるとカエサルの無敵っぷりに驚く。作者の筆致も明らかにカエサルのすごさを伝えることに重きを置いてるしな。あわれ同時代人(笑) しかし脇役たちもいいですよ。特に個人的にクレオパトラが好きだったのだけど、辛辣に叩かれてるのには苦笑したわ。まあ彼女のやったことは自国の滅亡を早めたことに他ならないし、その評価も仕方ない所ではあるが。 大河ドラマ的に楽しめてるので次巻も期待大!
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下巻では一番最初にカエサルが殺されます。 ポンペイウス派だったがカエサルの寛容によって命を助けられた人々、 ガリア戦役、ポンペイウス戦を通じカエサルの忠実な部下だった人々 あわせて14名が23箇所、短剣で傷を負わせて殺害に至ったそうな。 そのうち致命傷だったのは2つ目につけられた...
下巻では一番最初にカエサルが殺されます。 ポンペイウス派だったがカエサルの寛容によって命を助けられた人々、 ガリア戦役、ポンペイウス戦を通じカエサルの忠実な部下だった人々 あわせて14名が23箇所、短剣で傷を負わせて殺害に至ったそうな。 そのうち致命傷だったのは2つ目につけられた胸の傷なんだってさ。 暗殺、といえるものでもなく、元老院議会の始まる前に白昼堂々と行われた殺人。 殺害されたのは前44年3月15日、カエサルは55歳でした。 その後は権力闘争が始まって。。。 カエサルの忠実な部下だったアントニウス カエサルの遺言により後継者に指名された当時18歳のオクタヴィアヌス が中心となっています。 第二次三頭政治として、上記2人に加えてレピドゥスが歴史上名前があがり、 それは確かに正しいんだけれどレピドゥスは権力闘争には加わっていなく、 利用されただけの人だったようです。 アントニウスはクレオパトラに没頭し、次第に民衆や兵の求心力を失っていき それに反比例してオクタヴィアヌスは支持を受けていく。。。 カエサルと違い戦争の最高司令官としての才能には恵まれなかった オクタヴィアヌスですが、アグリッパという戦時の才に優れた同年代の仲間を得て アクティウムの会戦にてアントニウスとクレオパトラを打ち破ります。 しかし。。。 この本ではキケロとクレオパトラは基本的に悪役として描かれていますね。 キケロは口は達者で、教養もある人だけど優柔不断で愚痴が多い男。 クレオパトラは現状認識のできない女として。 キケロは最終的に第二次三頭政治の3人が作った 処罰者名簿の筆頭にあがり殺されて、 クレオパトラはカエサルとの間にできた子を正式に認知させオクタヴィアヌスの怒りを買い、 アクティウムの会戦で真っ先に逃げ出してそれを追ったアントニウス以下全軍は 惨敗を喫し、挙句の果てにはアントニウスに対して、自分が死んだと嘘を伝えさせて アントニウスを自死に追い込みました。 自分が死んだと伝えた後、やはりそれは嘘だと伝えた時にはすでにアントニウスは 自分を刺していて。。。最終的にアントニウスはクレオパトラの腕の中で死んだようですが、 果たしてそれは幸せだったのでしょうか。 クレオパトラもその後オクタヴィアヌスに捉えられて、自殺を決意します。 まあ、世界史の教科書や参考書では3,4ページに満たないような歴史を 細かく見るといろいろな人間関係がわかって楽しいよ。
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カエサル暗殺のあとのオクタヴィアヌスの治世。「人間は、自分が見たいと欲する現実しか見ない」クレオパトラは塩野さんにかかると浅はかでおろかと辛らつ。オクタヴィアヌスもユーモアもなくつまらない。カエサルは人間味あふれるすてきなひとだった。
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