狂人日記 の商品レビュー
あまりにヘビーで、自…
あまりにヘビーで、自分としては読んでいて胸が痛くて、読み返す勇気がありません。ドラマチックな悲劇が起こるような「泣ける小説!」というのではなくて。ちょっと気楽にはお勧めしかねますが、すごい小説でした。
文庫OFF
正気も狂気ももってい…
正気も狂気ももっている作者、「狂人」の日々が、日記と言う形によって描かれた作品。決してドラマのような内容でもない。しかし幻覚など、彼のような人間にしか理解できないだろう苦しみが、切々と綴られている。気楽には読めない、そして読みたくない作品。
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タイトルがタイトルなだけに狂ったような想像をしてたけど、主人公はこの世の全ての人間と紙一重な場所にいて誰よりも他人を求めて繋がることを最後まで諦めなかった、幻覚か現実か自分なりに探りながら読み進めていくのが面白くてでも気持ちは浮かばなくて、終盤にかけてどんどん辛く思いながらも健常...
タイトルがタイトルなだけに狂ったような想像をしてたけど、主人公はこの世の全ての人間と紙一重な場所にいて誰よりも他人を求めて繋がることを最後まで諦めなかった、幻覚か現実か自分なりに探りながら読み進めていくのが面白くてでも気持ちは浮かばなくて、終盤にかけてどんどん辛く思いながらも健常者のふりをして生きる事がどういう事なのか人間の在り方を考えさせられたり本当の優しさや敏感で鈍感で矛盾しているのが人間だと思ったり、大切な人に読んでほしい純文学の宝だと思います
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現実と狂気の世界とが混在し、どんな状況にあるのか混乱する。こんな世界を生きているのは辛すぎる。そんな世界を、書き記すことが凄い。
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タイトルが『狂人日記』ですが、「狂人」という言葉と裏腹に、精神病院に入院している主人公の語り口はいたって冷静です。現実と虚構を繰り返す中、自己の状況を細やかに分析して内省しています。ただ、その冷静に語る心の内が、ところどころ読み手の胸を刺す言葉がいくつもあり、どんどん話しに引き込...
タイトルが『狂人日記』ですが、「狂人」という言葉と裏腹に、精神病院に入院している主人公の語り口はいたって冷静です。現実と虚構を繰り返す中、自己の状況を細やかに分析して内省しています。ただ、その冷静に語る心の内が、ところどころ読み手の胸を刺す言葉がいくつもあり、どんどん話しに引き込まれました。 主人公は幻覚や幻聴はあれど、病気で働くことが叶わず、一緒に暮らしている女に対して申し訳なく思っているところは、まったく健常者と同様です。それだけに、余計に気に病んでいます。逆に、当人が病気であることに甘えて、周りの人たちに依存できれば、少しは気分も楽にもなるのにと、気の毒なところも感じました(それができないから苦しいのですが)。 そんな主人公は、この先どうなってしまうのだろうと読み進めていくと、予想もつかない衝撃的なラストで驚きました。素直に周りに依存出来なかった主人公が、生きるために最後に吐露した言葉が、正にタイトルを表しているようで、とても印象的でした。
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思い浮かべるのは島尾敏雄の『死の棘』、武田泰淳の『富士』。 一人の人間が作品に執着出来る範囲を遥かに超えており、純粋に屈服させられてしまう。 とりわけこの作者のひたむきと言える作品へのエネルギーと凄みの加え方は読後も後年印象に残る。 読書体力は要すが名作。
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もう読みたくない!ってくらい落ち込む。それくらいリアリティがあった。「自分も将来こうなっちゃうのかなあ…」って気分にさせられました。
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幻覚と現実が区別なく淡々と記される。それでも根底にあるのは誰しもがかかえる孤絶で、主人公のあこがれる健常者という在り方自体がなによりもの幻想なのだと思える。その幻想を支えるのが病だ。「いつか病気が治ったとき、空には何もないだろう」という一文が胸を打つ。
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正気を失うという言葉を体感できる 主人公の脳内と現実が混じり合い、精神が崩壊していく様子の表現が素晴らしい。 所々生々しいのも良い。 1回読むだけで十分。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読んでたときは、主人公の男が感じる幻覚や幻聴、悪夢をどう捉えていいのか探しつづけながら一ページ、また一ページとすすめていった。ここ、いいなととりわけ思った場面はなかった。 でも桂子と対話する最後の場面がおそろしく気持ちを攫っていった。この小説の大半の部分を仕方なく読んでいたような気もするのだけど、仕方なく読みつづけてよかったなとおもう。話に出てくる人たちのことをどうやらちゃんと見ていたみたい。 解説が佐伯一麦でおおお!となった。佐伯一麦が『渡良瀬』のときに読んだ思い出の小説だとおもうととても感慨深い。好き。
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