狂人日記 の商品レビュー
これは面白かった。私小説と思いきや、そうではないとこも良い。 経験に基づくものはあったよう。 幻聴・幻影のくだりなど、ちょっとゾクゾク…。
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マイノリティとしての自覚と煩悶。稚気を伴って飄々と描かれている分、かえってジメジメしていてタチが悪い(褒め言葉)。解説が嫌い。
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今までの人生の中で恐らく一番精神的に病んで辛かった時期に読み、自分の将来をこの小説の中に見たような気がして読みながらボロボロ泣いた。今読んだら、何を感じるのか凄く気になるけれど、怖くて再読できず。いつか読み返したい。
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主人公と同棲相手の関係を、自分と今の交際相手に重ねてしまい、とても気が滅入った。自尊心がぶっ壊れているので、負い目を感じつつも人に依存し、そこをちょっとでも突っ込まれるとひどく傷つく。それが苦しいから孤立しようとするくせに、人の温もりを渇望してやまない。何故こんな面倒くさい人間を...
主人公と同棲相手の関係を、自分と今の交際相手に重ねてしまい、とても気が滅入った。自尊心がぶっ壊れているので、負い目を感じつつも人に依存し、そこをちょっとでも突っ込まれるとひどく傷つく。それが苦しいから孤立しようとするくせに、人の温もりを渇望してやまない。何故こんな面倒くさい人間を好いてくれるのかと疑心暗鬼になり、関係もギクシャク。 「身につまされる」というより、半分うなされながら何とか読み終えた。
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幻聴、幻覚をはじめとする精神状態の描写が逸脱、というか経験してないと絶対に書けんと思う。カードゲームを作成することに取り憑かれるとかその辺りにリアリティがとても感じられた気がする。
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「時代を切り取る」というのはこういうことなのか、と今まで知らなかった感覚を知る。(私は感覚が弱いので、こういう風に分からせてもらえないと分からない)情景や、男女の結びつきよう、人付き合いのあり方など全てが古く、色あせてよめるのに気持ちの部分だけが普遍的にリアル。読んでいる中でのこ...
「時代を切り取る」というのはこういうことなのか、と今まで知らなかった感覚を知る。(私は感覚が弱いので、こういう風に分からせてもらえないと分からない)情景や、男女の結びつきよう、人付き合いのあり方など全てが古く、色あせてよめるのに気持ちの部分だけが普遍的にリアル。読んでいる中でのこの実感が何よりすごい。
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狂人日記、と言えば、魯迅だよね?と思いながら、読み始めたが、非常に断章的でややまとまりにかける魯迅のそれと比べて、色川の狂人日記には一つの筋が通っているという時点で、こちらの狂人日記の方がより迫ってくるものを感じた。主人公の飾り職人であった男にはハードボイルドな気質があるように思...
狂人日記、と言えば、魯迅だよね?と思いながら、読み始めたが、非常に断章的でややまとまりにかける魯迅のそれと比べて、色川の狂人日記には一つの筋が通っているという時点で、こちらの狂人日記の方がより迫ってくるものを感じた。主人公の飾り職人であった男にはハードボイルドな気質があるように思う。景子が惹かれたのもそういったあたりなのだろう、あるいは、亡き妻の園子が惹かれたのも同じであろうか。彼は彼なりに一生懸命に考えている。考えつくしている。しかし、考えている時点でうまくはいかない。それには同じ思いがある。信じきれないから裏切られるのか、あるいは、裏切られるから信じきれないのか、これは、鶏と卵みたいなもので、人に本質的に巣食っているものなのかもしれない。自分自身も、「決して他人を信じれなさそう」だとか、「自分しか見ていない」だとか、「他人を困らせたいだけ」とか、「自律できていない」だとか、「独善的だ」とか、いろいろ言われている身なので、身につまされる気持ちがある。あれこれ考える、だが、考えている時点で信用できていない。常にどこか冷静になってしまっている、あるいは、そこから目を背けようとのめりこむふりをする。 男性は二人の女しか知らない。二人の女とどこまでしたのかは多少ぼかされているが、園子とは行為に及び、景子とはキスより先へは進んでいないのかもしれない。ともかく、彼はあまり女を知らない。そのことに劣等感を感じる気持ちと、いや、自分のような人間を彼女たちは愛そうとしてくれたのだという気持ちと、あれやこれやが複雑に絡まる。序盤はずっと自らの感傷の支えてであったろう園子は次第に景子にとってかわられる。どこかで、「誰かが死んだ気がする、と思ったら、それは園子だったのだ」という独白のようなものが入るが、そのあたりからなのだろう。しかし、彼はその景子に見捨てられ、死を選ぶ。断食によってである。最後に戻ってきた景子は、「彼と一緒に暮らしたいけれど、あなたを見捨てられないから近くに来てください、世話はしますので」とあまりにもひどい言葉を吐きつける。ただ、どちらにせよ、彼はもう死ぬ寸前だろうから、景子は彼の世話はしなくてもよいだろう。彼は結局のところ孤独で死ぬ。ただ、例外として、弟だけか、彼には弟がいた、それが彼にとっての救いとも言えるのだろうか。果たして誰かを愛せるのか、それが、愛しているつもりだっただけだと思い知らされることがわかっていても愛せるのか、しかし、愛したくても自分の中の何かが邪魔をする、そういう気持ちが切実に伝わってくる。 「救いはあるのでしょうか?」さて、神がいるとすれば、なんと、答えるのだろうか?
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魯迅作の同名の短編があるが、このような直截的なタイトルを掲げる作品は今後出版されないのだろうか。そんな過剰な言葉狩りの心配はさておき、精神を病んだ主人公の一人称で日々の生活を綴った本書では、彼の独白が非常に現実的な響きを持って読み手に訴えかけてくる。物語は病院内で幻影や幻聴に悩ま...
魯迅作の同名の短編があるが、このような直截的なタイトルを掲げる作品は今後出版されないのだろうか。そんな過剰な言葉狩りの心配はさておき、精神を病んだ主人公の一人称で日々の生活を綴った本書では、彼の独白が非常に現実的な響きを持って読み手に訴えかけてくる。物語は病院内で幻影や幻聴に悩まされる様子を記した前半から、そこで知り合った女性との同居生活を描いた後半へと展開し、救い難い陰鬱な主題でありながらドライで魅力的な余韻を残す。巻末の著者の年譜と著書目録も嬉しい。
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福武書店のハードカバーのほうも登録してあるけど最近再読したくてこちらを買って再読した。 いくつも泣きそうになる箇所があるんだけど、圭子の「生活って最高のことをすることよ」っていうせりふがぐっとくる。 あとは主人公の控えめだけど気風がいいやさしさというか。 きっとこれからも何...
福武書店のハードカバーのほうも登録してあるけど最近再読したくてこちらを買って再読した。 いくつも泣きそうになる箇所があるんだけど、圭子の「生活って最高のことをすることよ」っていうせりふがぐっとくる。 あとは主人公の控えめだけど気風がいいやさしさというか。 きっとこれからも何回も読むんだろうな。
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淡々とではあるが、 しとしとと足音をたてて忍び寄ってくる漠然とした不安。 自分が歪んでいくのを自覚しながらも、 それを戻せることも無く、 隣にいてくれる人をただ傷つけ、傷ついていく。 恐ろしい程に徹底した描写である。
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