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惜別 の商品レビュー

3.9

47件のお客様レビュー

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文豪、魯迅の「藤野先…

文豪、魯迅の「藤野先生」を下敷きに仙台留学時代の架空の親友の回想という形で描かれた小説。「文章無用の用」等、日中戦争のさなかに魯迅への共感、尊敬を太宰流に謳いあげる。

文庫OFF

2024/02/20

魯迅「藤野先生」をベースに書かれています 「惜別」は、魯迅との別れに渡した写真の裏に書かれた言葉です 魯迅と太宰治がモデルと思われる二人を中心として話が展開されます 太宰の方言に対する劣等感が素直に書かれ、魯迅との関係性で伸び伸びとして太宰の持つ明るさや人間性が伝わってくる秀作だ...

魯迅「藤野先生」をベースに書かれています 「惜別」は、魯迅との別れに渡した写真の裏に書かれた言葉です 魯迅と太宰治がモデルと思われる二人を中心として話が展開されます 太宰の方言に対する劣等感が素直に書かれ、魯迅との関係性で伸び伸びとして太宰の持つ明るさや人間性が伝わってくる秀作だと思います 魯迅「藤野先生」太宰治「惜別」等をもっと多くの日本人に読んでもらいたいです 魯迅「故郷」は中学校の教科書に50年以上掲載され続けているのに、藤野先生の知名度は余りに低いと思われます とても良い作品なので多くの人に読んで欲しいと心から思います

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2024/01/18

理想を持ちながら、それと符号しない現実を生きることの苦悩が、過去の偉人の姿を借りて表されていた。理想と現実の狭間で悶え苦しみながらも、生きることの美しさを教えてくれた二編だった。

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2024/01/10

太宰が書く実朝と魯迅。間接的に、言葉少なに語られる実朝と、なまなましく描写される公暁の対比が強烈な『右大臣実朝』。若者の熱気、自意識、めまぐるしく移り変わる内面の機微を太宰らしくみずみずしく描いた『惜別』。どちらの作品も登場人物たちが目の前にありありと浮かび飲み込まれます。

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2023/09/14

ふるさと文学全集の宮城編で読んだ。魯迅の藤野先生の日本語版である。魯迅のオリジナルよりもはるかに丁寧に書いている。どこまで取材したのかがよくわからないが、より詳細により分量も多く書いているので、読みごたえがある。魯迅のオリジナルと一緒に東北大学に行く前に読むとよい。高橋源一郎の紹...

ふるさと文学全集の宮城編で読んだ。魯迅の藤野先生の日本語版である。魯迅のオリジナルよりもはるかに丁寧に書いている。どこまで取材したのかがよくわからないが、より詳細により分量も多く書いているので、読みごたえがある。魯迅のオリジナルと一緒に東北大学に行く前に読むとよい。高橋源一郎の紹介である。

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2023/03/27
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※このレビューにはネタバレを含みます

読書会のため。課題は『惜別』なんだけど、ついでだから『右大臣実朝』も読んだ。太宰って、憑依が得意だな。

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2022/08/28

魯迅の学友の立場から、魯迅と藤野先生を見ている「惜別」。何にしても大袈裟なのはキザなポオズであって、内容には共感しても興醒めで恥ずかしい、という太宰あるあるを思い出した。

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2022/04/03

『惜別』、心に残るフレーズが何カ所かあった。 また、周さんとの親交が深まっていく様が見事だった。 解説(奥野健男)から、熱狂する群衆に対して、冷めた視点を持ち続けた太宰の孤独を感じたが、そうした時期によくぞ小説を残してくれたと思う。 解説を読むと『右大臣実朝』とともに所収された理...

『惜別』、心に残るフレーズが何カ所かあった。 また、周さんとの親交が深まっていく様が見事だった。 解説(奥野健男)から、熱狂する群衆に対して、冷めた視点を持ち続けた太宰の孤独を感じたが、そうした時期によくぞ小説を残してくれたと思う。 解説を読むと『右大臣実朝』とともに所収された理由もわかる気がした。

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2022/03/29

アウトサイダーだったからこそ あの時代に こういった物語がかけたのかなと 津軽の人の反骨 中央に阿らない感じ

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2021/09/14

吾妻鏡における鎌倉第三代将軍実朝の生涯を太宰なりに解釈し、近習に語らせる形で詳述した『右大臣実朝』は、尊敬語、謙譲語、丁寧語の文が格調高く。 武家ながら雅な性質を帯びた実朝の行状に、やがて公暁に暗殺されるといった、危うさ、滅びを仄めかせる文章が巧み。 魯迅の仙台留学時代を、その友...

吾妻鏡における鎌倉第三代将軍実朝の生涯を太宰なりに解釈し、近習に語らせる形で詳述した『右大臣実朝』は、尊敬語、謙譲語、丁寧語の文が格調高く。 武家ながら雅な性質を帯びた実朝の行状に、やがて公暁に暗殺されるといった、危うさ、滅びを仄めかせる文章が巧み。 魯迅の仙台留学時代を、その友人であった同窓生の回想で描く『惜別』は、太宰作品で一番好きかも。 支那の革命のためには洋学が必要で、それを厳選して受け入れている日本に留学し、医学を身に付け、病気を治せるようにし、人民に希望を持たせ、その後に精神の教化を、と目論んでいた魯迅が、日露戦争で日本が勝ったことで変わっていく。 明治維新の源流が国学にあり、洋学はその路傍に咲いた珍花に過ぎず、日本には国体の実力というものがある。だから、医学という遠回りをせずに、著述で直接に人民を教化しようという風に。 かなり日本に都合よく書かれているきらいはあれど、それは内閣情報局と文学報国会から太宰が依頼を受けて書いた国策小説だからとのこと。 それを差し引いても、魯迅とその同窓生たち、そして恩師である藤野先生との交流は暖かく、青春小説としても楽しめた。

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