一千一秒物語 の商品レビュー
「後の作品は全て、『一千一秒物語』の注釈である」とは、稲垣足穂その人の言である。68編の断簡から成るこの作品に安易なカテゴリーを与えることを、僕はしたくない。 これは、ショートショートではない。確かに、この作品が星新一という才能をして絶讃せしめた逸話は有名であるし、その影響もあ...
「後の作品は全て、『一千一秒物語』の注釈である」とは、稲垣足穂その人の言である。68編の断簡から成るこの作品に安易なカテゴリーを与えることを、僕はしたくない。 これは、ショートショートではない。確かに、この作品が星新一という才能をして絶讃せしめた逸話は有名であるし、その影響もある程度の忖度を許すだろうが、稲垣足穂の方法は星新一のそれとはハッキリと趣を異にするものだ。 これは、小説でもない。それは数多残された「注釈」を一瞥するだに了解されるだろう。足穂が小説として披露してきた作品は、そこに通底する論理から表現の一々まで、文藝的な技巧に満ちている。『黄漠奇譚』の、例えば、冒頭に見られるイコンと色彩を駆使して芳醇に冴え渡る絵画的な情景描写や、『弥勒』の私小説的な風情を支える強靭で執拗な展開と、『一千一秒物語』の淡白な語り口とは、方法の根底からして異なっている。 これは、詩でもない。なぜならここには「表現への意識」が欠落しているからだ。詩の言葉が対象を表現しようとする、一切の慾望が失われているからだ。故に『一千一秒物語』はポエジーたり得ない。 では、これはなんだ。『一千一秒物語』とは何ぞや。多少の誤解は免れないだろうが、僕はこう思う。これは、「文」である、と。これは、そう、ちょうど、最初期の漱石が筆で紡いだあの「文」である。カフカが『日記』に遺したあの「文」である。ブランショが『不在』を語るあの「文」である。遊戯と感覚に乗った、一つの途方もない志向性である。 ここで示される足穂の志向性は、極めて明快だ。それは時に月へ、星へ、ほうき星へ、天体へと向かう、果てしない上昇への志向性である。足穂の意識はひたすらに上昇し、天空の彼方で概念と戯れる。その交流の記録こそが『一千一秒物語』という68の、そしてひとつの「文」に他ならない。 足穂の生まれは1900年である。『人間の土地』を、『夜間飛行』を、そして『星の王子さま』を遺して戦線の空に消えたサン=テグジュペリが生まれたのもこの年だ。ライト兄弟の登場以来続くことになる一連の飛行実験の成功が、少年たちの心に宿したであろう大志の相貌は、想像に難くない。そしてとある少年はやがて筆をとり、彼の意志は一千一秒の物語として、どこまでも高く飛翔する。
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図書館 新潮文庫版を読んでたんだけどデータないとか 美のはかなさ、A感覚とV感覚 は読めなかった。 黄漠奇聞と弥勒が好きかな
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表題作は、お月さまと戯れるメルヘンチックなお話。 なーんにも考えずに読むと楽しい。 句読点が全くなくて、神秘な世界へ入り込んでしまう。
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最高にコスモロジー!! 目から星がビューンと飛んでいって、月に激突しましたよー。 ヤバイですね、足穂って人。 私の中の何かが錬金された! ではグッドナイト!お寝みなさい 今夜も月が出ています
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「一千一秒物語」はショートショートな幻想的なおとぎ話の連続で、描かれている世界観があまりにも素敵だった。やたらお月様と喧嘩したり、自分を落っことしてしまったり、不思議で魅力的な世界観にはかなりハる。自分の想像力をとても刺激させた。 その後に続く「黄漠奇聞」「チョコレット」「天体嗜...
「一千一秒物語」はショートショートな幻想的なおとぎ話の連続で、描かれている世界観があまりにも素敵だった。やたらお月様と喧嘩したり、自分を落っことしてしまったり、不思議で魅力的な世界観にはかなりハる。自分の想像力をとても刺激させた。 その後に続く「黄漠奇聞」「チョコレット」「天体嗜好症」「干しを売る店」までは、楽しく読めたが、それから先の「弥勒」「彼等」「美のはかなさ」「A感覚とV感覚」は正直言って読むのにかなり苦労した。意味がわからなかったです。
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気障である。お洒落で気取っていて。 そこが堪らない。 ぼんやり不思議な心持ちがいたします。 麻薬のよう。 ぼうっとして、吸い込まれそうな。 表題作が好き。 夏の夜に。
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大人になってから出会ったのですが、その世界観にハートを射抜かれました。 お月様、ホーキボシ、シガレット、金平糖、ヒコーキ、半ズボン・・・ 詩のような散文のような形式もかわいらしく、 夜寝る前に数編読むと、気分が良いです。 ベランダで月の光を集めてサイダーにする、とか、 ...
大人になってから出会ったのですが、その世界観にハートを射抜かれました。 お月様、ホーキボシ、シガレット、金平糖、ヒコーキ、半ズボン・・・ 詩のような散文のような形式もかわいらしく、 夜寝る前に数編読むと、気分が良いです。 ベランダで月の光を集めてサイダーにする、とか、 出来ちゃうんじゃないか、という気分になります。
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読みかけ挫折。 嫌いじゃない。むしろ好きなような気がするのになぜか読めない。 何年か後に読み返したい本。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
某インキュベーダーではないが、終始「わけが分からないよ」状態だった。 でも、何故か興味をひかれてしまう。そんな作品集だった。 特に「A感覚とV感覚」は、外で読むと笑いをこらえるのが困難な作品だった(評論なのかな?)。 誤読だったら申し訳ないのだが、アナルにものを突っ込まれた時の快感を語っているん、だよな…? しかも、大真面目に語ってるんだよ? 真顔のまま読めるわけないじゃない。 あと、カフェでは読まないほうがいい(笑) 収録作品以外も読んでみたいなー
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高校生のときに読んで、いつの間にか手放していた本を 読み返したくなったので、改めて購入。 初読時は、 表題作の無駄のない切れ味のよさに唸っていたけれど、 今回は「黄漠奇聞」が一番ツボに突き刺さりました。 読み始めてすぐ、結末には見当がついてしまうのだけど、 それでも読み進めずにい...
高校生のときに読んで、いつの間にか手放していた本を 読み返したくなったので、改めて購入。 初読時は、 表題作の無駄のない切れ味のよさに唸っていたけれど、 今回は「黄漠奇聞」が一番ツボに突き刺さりました。 読み始めてすぐ、結末には見当がついてしまうのだけど、 それでも読み進めずにいられないし、余韻が素敵。 そして、再購入の最大の動機は、なんといっても「天体嗜好症」。 本編の内容と直接には関係しないけど、 読むと“あの歌”を聴きたくて堪らなくなるなぁ。 でも、歌詞をここに書き写すのは、 無 理 だ ね (・∀・)! ……↑これ↑が精一杯なり(笑)
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