一千一秒物語 の商品レビュー
稲垣足穂の作品集。個人的に足穂といえば、少年愛や同性愛的な感覚の作品というイメージが強い。前半は、星や月に妖精といったモチーフにキラキラ輝く感じがするお伽話、大人のための童話集と言った感じなのだが、後半の自伝風な雰囲気の強い作品になってくると、一転して、当時のエログロナンセンスな...
稲垣足穂の作品集。個人的に足穂といえば、少年愛や同性愛的な感覚の作品というイメージが強い。前半は、星や月に妖精といったモチーフにキラキラ輝く感じがするお伽話、大人のための童話集と言った感じなのだが、後半の自伝風な雰囲気の強い作品になってくると、一転して、当時のエログロナンセンスな感じが強くなってくる。本作に収録の「弥勒」とかは、かなり引き込まれる。ただし、作品の語り口がとても独特で哲学的なので、読者の読解力が試されます。足穂入門には手頃で良い本だと思います。
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- ネタバレ
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「一千一秒物語」は星やお月さまが人間と喧嘩したかと思いきや、ボール紙製の猫や黒ブリキのこうもりが出てきたりと不思議な夢のよう。ほんの数行にニヒルさやハードボイルドも詰め込まれた、個性の塊のような短編。 一番気に入ったのは「黄漠奇聞」 直前にダンセイニの「バブルクンドの崩壊」を読んでいたこともあるがそれを除いたとしても、史上最高の都市が如何にして築かれ如何にして滅んだか、その過程が最初から最後まで追うことが出来る点が気に入った。 良くも悪くも神の力とは人間の信仰によってもたらされるという皮肉が感じられる。 最後の嵐に吹き飛ばされる砂に過ぎ去った年月を重ねた一文も余韻があり、物語が綺麗に締められていた。
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学生の頃読んだときは、"とても澄んだ世界観"を感じ日本に生まれてよかったと思いました。 ・・・最近、読み返したら・・・荒川UBみたいだなぁ・・・と思ってしまう部分があった。
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……まあ、定番?というか(笑)。 名前自体は随分前から知識として知っていたのだけど、購入したのはダンセイニにはまったのがきっかけ―――「バブルクンドの崩壊」をオマージュした「黄砂茫漠」という作品を足穂が書いていると知ったため。 入り方はいささか邪道であるかもしれないけれど...
……まあ、定番?というか(笑)。 名前自体は随分前から知識として知っていたのだけど、購入したのはダンセイニにはまったのがきっかけ―――「バブルクンドの崩壊」をオマージュした「黄砂茫漠」という作品を足穂が書いていると知ったため。 入り方はいささか邪道であるかもしれないけれど、そして今更語るまでもないことではあるのだけど、表題にもなっている「星」「月」「宇宙」をテーマとした断章の数々は大変に味わい深く想像力をかきたてられる。 読んでなにか知識がつくとか、生き方が変わるというわけではないけれど、楽しく人生生きるためのなにかが手に入る。そんな気にさせられる一冊。 ……ぶっちゃけ、私がラフロイグを始めとするシングルモルトが好きになったのは、この本の影響によるところが大であったりするわけで! ← バーの雰囲気とかね! お酒と月のとりあわせとかね! そしてずっと長いこと、坂口安吾の「ピエロ伝道師」の冒頭を、この本に収録されている文章のひとつだとばかり思い込んでいた…… どうしてだ……。
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好き。 お星様の味の描写だとか、月光でお酒作るだとか凄く好き。 ただ、踏んだり殴ったり蹴ったりぶったり、痛そうではあるけれど。
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ひとつひとつタイトルが秀逸すぎる。邦楽・洋楽問わず、あらゆるジャンルのタイトルになりえるようなものばかりである。 * 月から出た人 * 星をひろった話 * 投石事件 * 流星と格闘した話 * ハーモニカを盗まれた話 * ある夜倉...
ひとつひとつタイトルが秀逸すぎる。邦楽・洋楽問わず、あらゆるジャンルのタイトルになりえるようなものばかりである。 * 月から出た人 * 星をひろった話 * 投石事件 * 流星と格闘した話 * ハーモニカを盗まれた話 * ある夜倉庫のかげで聞いた話 * 月とシガレット * お月さんとけんかした話 * A MEMORY * A PUZZLE * A CHILDREN'S SONG * 月光鬼語 * ある晩の出来事 * IT'S NOTHING ELSE * SOMETHING BLACK * 黒猫のしっぽを切った話 * 突きとばされた話 * はねとばされた話 * 押し出された話 * キスした人 * 霧にだまされた話 * ポケットの中の月 * なげいて帰った者 * 雨を射ち止めた話 * 月光密造者 * 箒星を獲りに行った話 * 星を食べた話 * AN INCIDENT IN THE CONCERT * TOUR DU CHAT-NOIR * 星?花火? * ガス燈とつかみ合いをした話 * 自分を落してしまった話 * 星でパンをこしらえた話 * 星におそわれた話 * はたして月へ行けたか? * 水道へ突き落された話 * 月をあげる人 * THE MOONMAN * ココアのいたずら * 電燈の下をへんなものが通った話 * 月のサーカス * THE MOONRIDERS * 煙突から投げこまれた話 * A RWILIGHT EPISODE * 黒猫を射ち落した話 * コーモリの家 * 散歩前 * THE BLACK COMET CLUB * 友だちがお月様に変った話 * 見てきたようなことを云う人 * AN INCIDENT AT A STREET CORNER * A HOLD UP * 銀河からの手紙 * THE WEDDING CEREMONY * 自分によく似た人 * 真夜中の訪問者 * ニュウヨークから帰ってきた人の話 * 月の客人 * どうして酔よりさめたか? * A ROC ON A PAVEMENT * 黒い箱 * 月夜のプロージット * 赤鉛筆の由来 * 土星が三つ出来た話 * お月様をたべた話 * お月様が三角になった話 * 星と無頼漢 * はたしてビールびんの中に箒星がはいっていたか? * どうして彼は喫煙家になったか? * A MOONSHINE
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あれ? 少年愛の人じゃなかったっけ……?と手にとった本を間違えたのかと思うくらいの幻想小説短編集。やはりその方面を期待するならば「少年愛の美学」を読むべきか。 本当に想像もつかない展開の幻想小説なので、よんでいてめくるめく感があった。面白い。
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この作家も昔、読んだか、読もうとしてたか、タルホ・コスモロジーとして、大いに意識していた作家だ。このたびは、「松岡正剛の書棚」でああそうだ読まなきゃとなった次第だ。 まず、この文庫本590円は充実し過ぎている。つまり、読み応えがありすぎる。勿論、タルホの知の広がり、深さがそう...
この作家も昔、読んだか、読もうとしてたか、タルホ・コスモロジーとして、大いに意識していた作家だ。このたびは、「松岡正剛の書棚」でああそうだ読まなきゃとなった次第だ。 まず、この文庫本590円は充実し過ぎている。つまり、読み応えがありすぎる。勿論、タルホの知の広がり、深さがそう感じさせるのは論を俟たない。「一千一秒物語」「黄漠奇聞」「チョコレット」「天体嗜好症」「星を売る店」「弥勒」「彼等」「美のはかなさ」「A感覚とV感覚」の珠玉の9編が収められている。アラビアンナイト、SFファンタジー、自伝風小説、哲学、美学、エロス文学と多岐にわたり、贅沢きわまりない一冊である。何度か読み込まないとなかなか自分のものには出来ない。
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文章の中に宇宙的に広がる足穂の世界。読み終わってからもその世界は頭の片隅に残り続けて、ふとした瞬間に読返したくなります。 足穂の美学と感性が詰まった濃厚な一冊です。 異次元に行きたい方は是非読まれてみてはいかがでしょうか。
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空気感が格別です。中二病の時に読んでたら影響を受けすぎて痛々しい子になっていたかも…w大人になってから読んでよかった!
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