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対岸の彼女 の商品レビュー

3.8

361件のお客様レビュー

  1. 5つ

    91

  2. 4つ

    125

  3. 3つ

    104

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2019/06/27

子供の頃対人関係がどうにも上手くいかなくて、大人になっても何も変わっていないような自己嫌悪に陥る。分かる、とてもとてもよく分かります。なんで自分は友達が出来ないのか、出来ても上手く立ち回れなくて何故か孤立してしまう。こだわりなく話しかけたり出来ればいいのに、声が掛かるまで待ってう...

子供の頃対人関係がどうにも上手くいかなくて、大人になっても何も変わっていないような自己嫌悪に陥る。分かる、とてもとてもよく分かります。なんで自分は友達が出来ないのか、出来ても上手く立ち回れなくて何故か孤立してしまう。こだわりなく話しかけたり出来ればいいのに、声が掛かるまで待ってうじうじしてしまう。 大人になって、少しは器用に生きられるようになったけれど、根本は何も変わっていない自分を感じている。 そんな2人の女性が、社長と従業員という立場で出会い分かり合い、そして少しづつすれ違っていく。 学生時代の意味不明な人間関係の軋轢。大人になれば解放されると思っていたけれど、自分で選ぶことが出来ない人間関係からのプレッシャーに苛まれる日々。 どうしようもないと思っていたのに、働き始めたことによって、周りを見、自分の生活を省みる事によって次第に自分を解放していく小夜子。 女社長として奮闘しながらも、新事業も思うように進まず従業員からの不満で突き上げられる葵。 高校時代の葵と、現在の小夜子を交互に描き、そのたびに頭がカチカチとスイッチ切り替わるのですが、その切り替わりが妙に心地よいです。 青臭く、刹那に生きていた少女も、結局は時間を経て生活者となった姿をさらして生きるしかない。そんな当たり前な事が妙に染みる本でした、

Posted byブクログ

2019/05/31

八日目の蝉がおもしろかったのを思い出して、作者の他の作品を探した。立場のちがう二人の女性の話。結婚している、していない、子どもがいるいないで、離れてしまったり、声をかけづらいって少なからずあるから、興味を持って読んでみた。 期待以上の作品。小夜子の公園を渡り歩く気持ちとか、他のマ...

八日目の蝉がおもしろかったのを思い出して、作者の他の作品を探した。立場のちがう二人の女性の話。結婚している、していない、子どもがいるいないで、離れてしまったり、声をかけづらいって少なからずあるから、興味を持って読んでみた。 期待以上の作品。小夜子の公園を渡り歩く気持ちとか、他のママ友との関係はすごくわかるなあ。対岸の彼女というタイトルから、葵の気持ちが対比として描かれるのかと思ったら、葵の方は高校生からの話だった。それも、今の葵とは違う、むしろ小夜子のような。 ナナコがとても魅力的。みんな違うようでいて、悩みや希望は同じところにあるのかもしれないと思った。主人公は母親だけど、むしろ青春小説のような、きらきらさと切なさのあるいい作品だった。

Posted byブクログ

2019/05/17

始めて読んだ、角田光代さんの本。 女子の、いくつになっても変わらない複雑さがヒシヒシと伝わる。 アラフィフ世代の多くの女子が、ウンウンと唸りながら読んだに違いない。

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2018/09/17

直木賞受賞作品。 やっぱりとってもいい作品でした。 何が、て一言ではいえませんが、女性の目線から見た仕事、家庭、友人等々、とにかくリアルで共感するところばかりで、人と人との出会いはいつどこに転がってるかわからないなあ…と今更ながらしみじみ感じた作品でした。

Posted byブクログ

2018/06/27

けどさ、ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね

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2018/04/17

クラスの人気者に対する憧れ、どうして自分はこんな自分のままなのだろうという焦り、輪の中からはじかれてしまう自分はどこか変なのかもと思う疑念、そんな気持ちで毎日を過ごす人たちはどれ位の割合でいるにだろうか? 主人公の小夜子は3歳になるあかりと友だちを求めて公園をはしごする毎日。自...

クラスの人気者に対する憧れ、どうして自分はこんな自分のままなのだろうという焦り、輪の中からはじかれてしまう自分はどこか変なのかもと思う疑念、そんな気持ちで毎日を過ごす人たちはどれ位の割合でいるにだろうか? 主人公の小夜子は3歳になるあかりと友だちを求めて公園をはしごする毎日。自然に友だちの輪に入っていけないあかりを見ては自分と同じだと感じている。そんな状態を打開しようと小夜子は求職活動を始め、女社長の葵と出会い葵の会社で働くことに。 中学時代にいじめられて家族で引っ越してまで田舎の私立の女子高に入学した葵の過去と、夫や姑に理解されないまま子育てをしながら働く小夜子の現在、その二つが織りなす物語。 周りの人たちと上手くやれないと自分を責めてしまったり、誰かと心を通わせたいと強く願っている人は、昔の葵や小夜子に共感するだろう。そして今の葵や小夜子に力づけられるだろう。 それにしても、周りの変わった人、自分と違う人を受け入れない人たちは、どうして徒党を組んで悪口を言ったり仲間ハズレをしたりするのだろうか。 私は、一昨年職場を異動して辛い目にあった。小夜子や葵の様に自分を責めたりした。昨年は大分良くなった。今年はその人たちが異動して、心底のびのびしている。 その人たちは全体から見れば良い人たちだ。だから、はじかれる方は、自分が悪いのではち考えてしまう。そしてそれが心を萎縮させ悪循環を生む。 皆さん、罠にはまるな。考えすぎるな。強気で行こう。

Posted byブクログ

2017/10/24

2008/2/8 読了 288ページ 第132回直木賞受賞作。 小夜子視点の現在、葵視点の過去で話が展開する。 人と関わる事が苦手な主婦の小夜子が、変わるきっかけとして明るく活発な性格の葵の会社で働き始める。 2人は実は同じようなタイプの人なんだろうけど、生活が違いすぎて分か...

2008/2/8 読了 288ページ 第132回直木賞受賞作。 小夜子視点の現在、葵視点の過去で話が展開する。 人と関わる事が苦手な主婦の小夜子が、変わるきっかけとして明るく活発な性格の葵の会社で働き始める。 2人は実は同じようなタイプの人なんだろうけど、生活が違いすぎて分かり合えない。そして深まっていく溝。 住む世界が違う2人の女性の話が、葵の高校時代の話が並行して描かれることでまったく違う深みを持つ。 葵の現在と過去。何が彼女を変えたのか、それが気になって話に引きずり込まれる。 そして、高校時代の葵と親友のナナコ。 そこには、今の葵からは想像できないような暗い葵がいた。 ナナコとのつかのまの生活で葵が得たもの。 過去のイジメによって諦めていた"親友"。 「そこに大切なものはない」と言ったナナコの強さ。 駅のホームで泣いたナナコの脆さ。 全部わかることはできないけど、それでも大切な時間をすごした大切な親友。 大切だけど、自分と他人。個人という決して埋めることはできない溝。 そんなナナコとの時間は、葵のそれからにずっと影響を与え続けていて、一緒にいなくてもずっとそばにある。 過去に人との距離や"ひとりぼっち恐怖症"で悩んだことがあれば、必ず心に響く話だと思う。 3人の女性の存在が、人との出会いや一歩前進するコトの重さを知らしめる。 “ひとりぼっち恐怖症”にならないよう、大切にしたい言葉。 イジメに平然とするナナコの言葉。 「無視も悪口も、ほんとぜーんぜんこわくないの。そんなとこにわたしの大事なものはないし」 そう言える"もの"や強さがあれば、きっとひとりぼっち恐怖症にはならない。 ナナコのおかげで強くなった葵の言葉。 「ひとりでいるのが怖くなるようなたくさんの友達より、ひとりでいても怖くないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事」 大人女子のための課題図書だと思う。

Posted byブクログ

2017/07/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

さすが角田光代‼︎ 女子高校生葵は中学ときのいじめを契機に群馬へ引越しする。 葵は中学時代のいじめは女子グループによる問題もあったので、高校では様子を見ながら生活をすることに決める。 その中、ナナコと入学早々友達になる。 葵はナナコと気が合うが、校内では親しくすることもなく、専ら放課後一緒に遊ぶ。 その話と並行して進むのが、小夜子という主婦の話。義母の小言に悩まされたり、また夫の修二は育児にどこか協力的ではなかったり…そこで、子どものあかりを保育園に預け、小夜子は働きに出る。 小夜子は面接を受けるが、悉く不採用。そんな中、偶然大学が同じである葵の会社に採用されることになる。 小夜子は掃除代行の仕事を始めることにする。 葵とナナコは相変わらず仲良くしていた。 夏休みに2人は、住み込みで宿のアルバイトをすることに。 電車に乗り、群馬とは違って海の見える、別世界とも言える環境に2人で住み込みながら働く日々。 やがて夏休みの終わりに、ナナコは家に帰ることを拒否。 2人は放浪の旅に出る。 横浜に来た2人は、荷物を身軽にし、金銭のかからない生活を目指す。 しかし、そこに限度を感じると、葵はかつての旧友からカツアゲをするなどもした。 だが、そこにも行き詰まりを感じた時、2人はマンションから飛び降りる。 やがて、葵は気づくと病院にいた。 父と母は心配し、退院後は常に葵と一緒に誰かが在中することになった。 葵はナナコの所在を尋ねたが、誰も教えてくれなかった。 冬になり、クリスマスが近づいた。 父は葵に何が欲しいか聞かれたが、葵はナナコに会いたいと答えた。 すると、父は翌日ナナコと会わせてくれることを約束した。 遂にナナコと会う日。 葵は聞きたいことが山ほどあったが、いざ対面すると、言葉が出てこず、他愛のない話ばかりしていた。

Posted byブクログ

2017/03/17

どうしてこんな物語が書けたのか、不思議になるくらい緻密で、でもつながっていて引き込まれた。かつ、読み終わったら、どこに特に心打たれたかもあいまいなままに泣けてしまった。 人って孤独なのか、繋がりや友情が何かもたらしてくれるのか、家庭では、シングルの身では、いじめられている学生では...

どうしてこんな物語が書けたのか、不思議になるくらい緻密で、でもつながっていて引き込まれた。かつ、読み終わったら、どこに特に心打たれたかもあいまいなままに泣けてしまった。 人って孤独なのか、繋がりや友情が何かもたらしてくれるのか、家庭では、シングルの身では、いじめられている学生では、仕事の中では。うまく説明できないけど、どこか当てはまるんだと思う。

Posted byブクログ

2016/10/12

図書館で借りた本。旅行・掃除を請け負う会社社長の葵。葵の会社に採用された小さな子供持ちの小夜子。小夜子は掃除の仕事を通じ社長の葵と親しくなっていくが…葵の幼少期から高校の思い出が交差しながら話は進んでいく。いじめられっ子だった葵は住所を変え群馬に。女子校に進学し、ナナコという親友...

図書館で借りた本。旅行・掃除を請け負う会社社長の葵。葵の会社に採用された小さな子供持ちの小夜子。小夜子は掃除の仕事を通じ社長の葵と親しくなっていくが…葵の幼少期から高校の思い出が交差しながら話は進んでいく。いじめられっ子だった葵は住所を変え群馬に。女子校に進学し、ナナコという親友もできたのだが事件が起きてしまい…葵は程々の距離感がなぜ分からないのかと思っていたが、小夜子という似た者同士の気質だとお互いが側でずっと繋がりを持ちたいのかなと思ったりした。

Posted byブクログ