関ヶ原(下) の商品レビュー
天下分け目の闘いと言われる関ヶ原であるが、実質的にはこの戦(いくさ)の勝敗が、その後の秩序を直接的に決めたのではなく、ここに至るまでの政治的な戦いをもって既に行く末は決まっていたと言える。
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「関ヶ原」(司馬遼太郎)を読んだ。 半年前僕は関ヶ原古戦場跡を訪ね、吹き抜ける風を全身に受けながら、戦国の世に生きていた人々の人生を想っていた。 この長い物語を読み終えた今、あの時吹いていた風の強さをあらためて思い出している。 それにしてもしみじみ幸せな今の僕の人生であることよ。
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石田三成、徳川家康を初めとして、登場する諸大名たちそれぞれの行動規範を丁寧に描写し、「関ケ原の戦い」を通した優れた人物評を展開している下巻は傑作と思う。徳川家康を人心を巧みに掌握する憎らしいくらいの現実主義者として描くのに対し、石田三成を哀しいくらいに観念の楼閣を築き上げることを...
石田三成、徳川家康を初めとして、登場する諸大名たちそれぞれの行動規範を丁寧に描写し、「関ケ原の戦い」を通した優れた人物評を展開している下巻は傑作と思う。徳川家康を人心を巧みに掌握する憎らしいくらいの現実主義者として描くのに対し、石田三成を哀しいくらいに観念の楼閣を築き上げることを止められない観念論者として描く対比が見事。ヒロイズムではなくあくまでジャーナリスト的な突き放した描き方がまた良い。
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石田三成氏が悲しすぎる。「三成に過ぎたるものが二つある。島の左近に佐和山の城。」とは本当に言ったものだ。東軍に勝てる武将が集ったのに、三成の言動が引き金で武将達の機嫌を損ない、島左近の助言にも耳を貸さずに結局敗北してしまう。徳川家康氏討伐のチャンスは何度もあったにもかかわらず、他...
石田三成氏が悲しすぎる。「三成に過ぎたるものが二つある。島の左近に佐和山の城。」とは本当に言ったものだ。東軍に勝てる武将が集ったのに、三成の言動が引き金で武将達の機嫌を損ない、島左近の助言にも耳を貸さずに結局敗北してしまう。徳川家康氏討伐のチャンスは何度もあったにもかかわらず、他人を信じることが出来ず、すべてダメにしてしまう。非常にもったいない。この本より学んだことがある。「自分を過信し過ぎないこと」「発言には十分注意すること」「優れる部下を持っても、それをまとめるリーダーの頭が固いと力を活かせない」
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一大絵巻。歴史小説の保守本流のテーマだか、やっぱり司馬さんはすごい。 現代から見れば勝敗は明らかですが、1つ違えば歴史は変わってたかもしれないんですねー。 政治、派閥の蠢きが色々あったが、当時の底辺に流れる雰囲気は、長かった戦乱、無謀な朝鮮出兵から、違う政権を望んでいたのでは。歴...
一大絵巻。歴史小説の保守本流のテーマだか、やっぱり司馬さんはすごい。 現代から見れば勝敗は明らかですが、1つ違えば歴史は変わってたかもしれないんですねー。 政治、派閥の蠢きが色々あったが、当時の底辺に流れる雰囲気は、長かった戦乱、無謀な朝鮮出兵から、違う政権を望んでいたのでは。歴史のファンダメンタルズがそうでは、結論も変わらなかったのかもしれません。 最後の黒田如水のエピソードがこの一大絵巻の余韻を引き立ててますね。司馬さん、ホントにズルい。脱帽です。
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2018年1冊目読了。 やっと下巻まで読み終わったー! 年末から読んでるから長かった…。 * 戦国武将たちの思惑とか信念とか忠義心とか色んな物が混ざり合って日本中を巻き込んで、関ヶ原という場所での決戦…。 この下巻は、合戦の様子が描かれてるから後半すごく興奮した。 * なんかしら...
2018年1冊目読了。 やっと下巻まで読み終わったー! 年末から読んでるから長かった…。 * 戦国武将たちの思惑とか信念とか忠義心とか色んな物が混ざり合って日本中を巻き込んで、関ヶ原という場所での決戦…。 この下巻は、合戦の様子が描かれてるから後半すごく興奮した。 * なんかしら、気の利いた感想を書きたかったけど…私には無理だな。 …兎に角、上巻から下巻まで島左近は格好良かった! 大谷吉継の最期も格好良くてちょっと泣きそうになった。 そして、黒田如水が恐い!色んな意味で! * 大河で黒田官兵衛は誰がやったんだっけ〜?って思って調べたら岡田くんだった! そして、関ヶ原の映画版石田三成も岡田くんなのね〜。 大河とか見ないから、知らなかった…! * * この後、徳川幕府は300年続いて倒幕の時に活躍する薩摩と長州は関ヶ原が続いてるっていうのが、歴史好きには堪らないエピソードだよね。きっと。 更に昨日Twitter見てたら、島津家が敵中突破した時に船を出して助けた境商人たちを太平洋戦争の時に島津家が「関ヶ原のお礼です」って言ってお米を送って助けてあげたっていうエピソードが流れてきて、読んだ瞬間また興奮した! * そんなわけで、次の司馬遼太郎作品はこの流れで『竜馬がゆく』を読みたい! 8冊もあるから読み終わるのいつになるか分からないど…。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
各人の最期の遂げ方、将を支えた家臣たちの義の尽くし方、今の時代には想像も付かない、目にすることはないであろう人間模様ばかり。 義では世は動かない、三成は人を動かすという点において家康には及ばなかったかもしれない。でもこういう人間性は廃れてほしくないなと思う。 島左近や大谷刑事、人としての魅力、名将としての知略、もっと知りたいと思う人物も多い。
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何だろうか、文庫にして3分冊の大作なのだが少し物足りない。 上杉の動きや真田の事に、あまり触れられてないからかもしれない。 司馬さんはおそらく家康より三成の方が好きなのではないだろうか。司馬さんが描く三成は酷薄な人間ではなくむしろ優しい人間である。ただよくある話だが、正論が世...
何だろうか、文庫にして3分冊の大作なのだが少し物足りない。 上杉の動きや真田の事に、あまり触れられてないからかもしれない。 司馬さんはおそらく家康より三成の方が好きなのではないだろうか。司馬さんが描く三成は酷薄な人間ではなくむしろ優しい人間である。ただよくある話だが、正論が世の中を、組織を動かすわけではない。司馬さんはそれがよく分かっていたのではないだろうか。
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人間のもつ醜悪な部分や欲のあさましさを見事に描いている。歴史小説でありながら、壮大な経済小説となっている。経営者やトップに立つ人は必見の名書。 家康よりは三成に肩入れしたくなる。義と利、どちらに偏ってもダメ、何事もバランスが、大切。 エピローグもよかった。
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ついに三成と家康の両者が関ヶ原で激突し、 三成の観念主義が家康の現実主義に敗北する。 正義の戦いなら必ず勝てるとした 孟子の説が間違っていたと嘆く三成。 観念主義者の三成は、相手の側にも、 正義があるということに気が付かなかった。 これは小説であり、書かれたのは50年も前であ...
ついに三成と家康の両者が関ヶ原で激突し、 三成の観念主義が家康の現実主義に敗北する。 正義の戦いなら必ず勝てるとした 孟子の説が間違っていたと嘆く三成。 観念主義者の三成は、相手の側にも、 正義があるということに気が付かなかった。 これは小説であり、書かれたのは50年も前である。 歴史的事実だと思ってしまうことは危険なことだが、 二人の男の価値観の相克が全国の大名を巻き込み、 やがて天下分け目の大決戦へといざなっていく。 これほど熱い人間ドラマはなかなか無い。
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