1,800円以上の注文で送料無料

あなたの人生の物語 の商品レビュー

4

265件のお客様レビュー

  1. 5つ

    87

  2. 4つ

    76

  3. 3つ

    60

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

    3

レビューを投稿

2020/03/15

スケールの大きな世界を展開する凝縮された短編が並ぶ。SFというジャンルにとらわれない物語を楽しむことができる。聖書を日常的に読んでいる方にはもっと深い感銘があるのかもしれない。

Posted byブクログ

2020/03/13

科学とか数学とかの知識がなさすぎて、短編集なのに読むのが時間かかったけど全部面白かった。本格派SF好きはもちろん、SFって宇宙とかの話ばかりで苦手だなーと思ってる人にもオススメ! 特に数学に弱くて「ゼロで割る」なんかは何回読んでもなかなか頭に入ってこなかったので悔しい…きっとそ...

科学とか数学とかの知識がなさすぎて、短編集なのに読むのが時間かかったけど全部面白かった。本格派SF好きはもちろん、SFって宇宙とかの話ばかりで苦手だなーと思ってる人にもオススメ! 特に数学に弱くて「ゼロで割る」なんかは何回読んでもなかなか頭に入ってこなかったので悔しい…きっとその辺に強い人からしたらもっと面白いと感じられるんだろうな。「理解」も一度読んだだけでは理解できず自分の理解力のなさに切なくなったり…宇宙からのエイリアン襲来とかより、人間を超越した存在の話が好きなので、「人類科学の進化」で超人類なんて言葉が出てきたときはテンション上がった。 映画「メッセージ」を見てから原作を読みたいと思って軽い気持ちで読み始めたけど本当に1人の人が書いたのか…?と思うくらいそれぞれの話の世界観から設定から特徴が違うし濃いし、一冊の長編小説を読んだ時よりものすごい満足感を味わえる

Posted byブクログ

2020/03/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『バビロンの塔』  中世の中央アジア文明における塔の話。リアルな描写とファンタジーのバランスが絶妙。 『理解』  超知性を獲得した男の、「アルジャーノンに花束を」のSF色を強くしたもの。超知性はあらゆる統一性を理解するという設定で、納得できる形で超能力にまでつなげており、アクションスリラーとしても楽しめる。 『ゼロで割る』  無矛盾性を持つ数論を用いてそれ自体の矛盾性を証明してしまう妻と、自負している共感性を用いて自身の共感性の欠如を感じてしまう夫の対称性が印象的。 『あなたの人生の物語』  科学を含む文明の進化の仕方は我々人類が持つものが唯一ではないというのと、他言語を理解することはその言語体系が有する概念を体得することに等しいというエッセンスが軸。映画版である「メッセージ」では物理的な事柄や言語学的部分は排除され、より個人の視点から描かれている。 『七十二文字』  産業革命の時代におけるイギリスでの言辞という技術における、AI、バイオテクノロジーによる社会変革の可能性の物語。 『人類科学の進化』  「ネイチャー」に掲載された超人類に対する人類の科学のあり方に対するメタフィクション。 『地獄とは神の不在なり』  天使の降臨が自然災害のように起こる世界におけるそれぞれの心情の変化と信仰のあり方。 『顔の美醜についてードキュメンタリー』  美醜失認処置の是非に対するそれぞれの立場の人間の意見とその変化。

Posted byブクログ

2020/03/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

間違いなくSFなのだけど、他のSFと一線を画しているのは歴史や宗教学、人類学的な要素も取り入れて書かれているから。 現在から飛躍した宇宙的なものというよりは、科学技術と人間の関係性を極限まで予測考察したような。 とにかくとても面白かった。 リアルなのは人類科学の進化と顔の美醜の話、引き込まれたのは表題作。過去と現在の話がクロスしてるのかと思ったら、現在と未来だったのね…

Posted byブクログ

2020/02/20

かなり評価が分かれる本だと思う 読みやすい訳ではないし、登場人物も急に名前が出てくることが多く誰?てなることが多い ただ読後感の良さは唯一無二と思う

Posted byブクログ

2020/02/17

表題作「あなたの人生の物語」最後の1ページ、自分の中からさぁっとヘプタポッドが去っていく感覚とともに悲しみでもあり喜びでもあるような、というよりは悲しみや喜びのいずれでもないような、それでいて涙がこみ上げてくる不思議な感情を味わった。SFは誰もみたことのない世界との出会いだと思う...

表題作「あなたの人生の物語」最後の1ページ、自分の中からさぁっとヘプタポッドが去っていく感覚とともに悲しみでもあり喜びでもあるような、というよりは悲しみや喜びのいずれでもないような、それでいて涙がこみ上げてくる不思議な感情を味わった。SFは誰もみたことのない世界との出会いだと思うが、それを単に文章による描写を超えて、文章そのもので再現しているという点で真にSF小説だと感じた。

Posted byブクログ

2020/02/07

2017年に公開された映画「メッセージ」。パッケージデザインの神秘なイメージや広告等により是非見たいと思っていたが、原作「あなたの人生の物語」を先に手にした。まずは率直に淡々とそして静かに進むエイリアンとのコミュニケーションの解析をどのように映画として描かれているのか大変興味を持...

2017年に公開された映画「メッセージ」。パッケージデザインの神秘なイメージや広告等により是非見たいと思っていたが、原作「あなたの人生の物語」を先に手にした。まずは率直に淡々とそして静かに進むエイリアンとのコミュニケーションの解析をどのように映画として描かれているのか大変興味を持った。 映画にするには相当な脚本力がないと難しいと思ってしまった。 他、文明の夜明けの時代の中、天にも登る塔を建設する「バビロンの塔」や機械式人形にAIを組み込む「七十二文字」など古い時代設定に近未来の科学が交差する中短編全8作品

Posted byブクログ

2020/02/01

短編集。表題作である「あなたの人生の物語」は映画『メッセージ』の原作。地球外生命体との"言葉"の理解を巡った、哲学書であると感じた。

Posted byブクログ

2020/01/14

難解な専門的用語や設定も、何故かとても読みやすく物語に落とし込まれていて、割ととんでもない設定が日常と地続きに読めてしまった。こりゃおもしろいね。 『息吹』を読む前に、息子の蔵書から拝借。

Posted byブクログ

2020/01/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

正月に書店に立ち寄ったところテッド・チャンなる作家の『息吹』というハードカバーが置かれていて、「知性の極限を追求した世界最高水準の作品集」などと帯に書かれているのが目についた。読んだことのない未知のSF小説家で、ちょっとこの帯の文句は大仰じゃないか、まあしかし、宣伝文句だからなあ。と半ば疑いつつも、とりあえずこの作家の最初の短篇集、本書『あなたの人生の物語』の文庫版を購入した。 ハードカバーの方はつい先月12月4日に邦訳により出版されたのだが、実はこのテッド・チャンは非常に寡作であるそうで、1990年にスタートした作家人生の中で、公表されたのはやっと短篇集2冊分だけであり、長篇は書いていないようだ。しかし発表してきたその僅かな短編のうちの多くはSF小説ジャンルでいろいろ受賞しているのが凄い。 著者はアメリカ人だが中国系2世なのでこの姓になっているとのこと。本業は「テクニカル・ライター」らしい。 本書を読んでみてかなり感銘を受けた。確かに素晴らしく知的であり、現代科学に裏付けられて現前したさまざまな空想は、人間の認識や知的体系の土台を覆すかのような衝撃を持っているのだ。 最初の「バビロンの塔」はボルヘス的な寓話かと思わせる象徴性を持っている。 次の「理解」が痺れたのだが、要するに知能の極度の進化によって異能となった人物の認識世界の変容をつづったもので、確かにこの知的描写は素晴らしい。 「あなたの人生の物語」は、エイリアンの異文化に接しその極めて異質な認識世界によって生み出された言語を地球の言語学者や物理学者が解読していく話であり、漸次的・通時的で、原因-結果の継起を主眼とした地球人の思考とは異なって、未来を含めたすべての事象が共時態において認識されるというエイリアンの認識方法がじわじわと地球人言語学者である主人公の内部で広がってゆくのが面白い。 この作品には言語学の幾つかの学説が出てくるが、私もたまたま読んでいた数冊の言語学関係本のおかげですぐ理解できた。そういう経験のない読者がどのようにそうした箇所を受け止めることが出来るかはわからない。 「地獄とは神の不在なり」はまた一転、キリスト教的な信仰の世界における神についての議論が軸となる宗教的な物語だ。 天使の顕現という奇跡が日常的に頻繁に起きるという点ではSF的な仮想世界ではあるが、これをSF小説と呼んでいいかは疑問を感じた。しかしこの作品はSF界でネビュラ賞、ヒューゴー賞、ローカス賞、星雲賞など各賞を総なめにしている。私にはこの短編の感触はヘルマン・ヘッセ風の無骨な物語に感じられた。 最後の「顔の美醜について」がなかなか愉快な傑作短編で、他人の顔についての美的判断が出来なくなるという薬物の是非をめぐって割れる世論が面白かった。確かに他人の(特に異性の)顔についての審美的判断というのは、我々の人生においてあまりにも重要視されすぎているんだな、という見地に立つことができた。 他にも面白い作品があり、もの凄く寡作なぶん、どれも極めて密度の高い仕上がりとなっている。 素晴らしいのは科学に裏付けられた知の躍動により世界観が変わってしまうような衝撃をこの短篇集が持っていることだ。 私がこれまで哲学・思想分野の書物を追いかけて来たのも、このような「衝撃」を求めてのことだった。 ただし、本書はあくまでもSF小説なので、哲学書とはぜんぜん違う構造を持っている。 ともあれ、このような傑出した小説集を、SF界という、けっこうマニアックなごく一部の読書人だけが知っているというのはもったいない。知的興奮を求めるすべての読書人が、いちどは読んでみるといいと思う。 私はもちろん『息吹』の方も読もうと考えている。

Posted byブクログ