カフカ短篇集 の商品レビュー
どうしてわれわれは故里をあとにしたのか これは、万里の長城建設に携わる技術者の独白である、短篇「万里の長城」の一部分です。 父と息子の関係を描き、結末がショッキングな「判決」、特にミステリアスな「田舎医者」、ある流刑地に、ヨーロッパから裁判制度の調査旅行に来た有名な学者が、残酷...
どうしてわれわれは故里をあとにしたのか これは、万里の長城建設に携わる技術者の独白である、短篇「万里の長城」の一部分です。 父と息子の関係を描き、結末がショッキングな「判決」、特にミステリアスな「田舎医者」、ある流刑地に、ヨーロッパから裁判制度の調査旅行に来た有名な学者が、残酷な死刑装置の説明を受けるところから始まる「流刑地にて」など、ものすごくわかりにくい話から、筋は結構わかりやすいものまで、翻訳した池内紀さんが選んだ短篇集。 「死」のイメージが強い話や、難解な話も多いが、わりと明るい読後感を残す「火夫」、「中年のひとり者ブルームフェルト」などもある。 「火夫」は、女中に誘惑され子供ができてしまい、ドイツ人の16歳の少年が、両親により家を追い出されアメリカへやってくる話。船がアメリカについたとき知り合った一人の火夫が、少年の運命を大きく変えていく。未完に終わった長編「アメリカ」の第一章であり、独立した短篇になっている。 「中年のひとり者ブルームフェルト」は、ある日、白いセルロイドの二つのボールと暮らすことになるサラリーマンのお話。 「バケツの騎士」は、石炭がなくなった「おれ」が、空のバケツにまたがって、宙を飛び、石炭を買いにいくのだが。。これなど、内容は決して明るいわけではないけれど、不思議にメルヘンである。 池内紀さんは、解説に、カフカの作品は、「とびきり楽しい『おはなし』」であり、「大人のためのメルヘン」であると書いている。また、宮沢賢治「やまなし」や内田百?と同じ種類のお話であるとも書いている。よくわからない部分も多かったけど、大好きな宮沢賢治や内田百?と同じように読んでもいいのだと思うと、うれしくなった。 でもやっぱり、 真理をおびて始まるものは、しょせんは不可解なものとして終わらなくてはならないのだ。 「プロメテウス」より
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初カフカ。冒頭の短編から、すごい世界観を味わわせてくれました。世にも奇妙な世界観。きれいごと好きの自分からしたら決して好きではない世界ですが、余韻がずっと残っています。どの作品もイメージが浮かびやすいからでしょうか。ことばというより、そのイメージが頭に残るかんじ。
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この系統の作品は確かに難解。 だけれども世界観が大好き。 ちょっと段落構成に難があるので 読み進めるのがちょっとつらくなってしまうのは難点ですが それでも読む価値は十分。 私が好きなのは「変身」のような ある日突然非日常さんこんにちは的な作品の 「中年のひとり者…」が好きです。...
この系統の作品は確かに難解。 だけれども世界観が大好き。 ちょっと段落構成に難があるので 読み進めるのがちょっとつらくなってしまうのは難点ですが それでも読む価値は十分。 私が好きなのは「変身」のような ある日突然非日常さんこんにちは的な作品の 「中年のひとり者…」が好きです。 絶対にありえない内容だけれども これらの体験をしてみたいものです。 後は壮絶な光景と 結末の落差が激しい「流刑地にて」も嫌いじゃないです。 あとは謎の生き物が出てくるあの作品。 何かは私も分かりません!!
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安易な解釈を拒みつつ、しかし、人びとに意味を語らせずにはいられない。 罪と罰、生存と、身体性。 そうしたことを、一つの手がかりとして。
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カフカの短編集。数ページで終わってしまうものから十数ページあるものまで。いちいち内容を挙げても仕方がないので、率直にこの本を読んで感じ取ったところから述べたいと思う。カフカの作品に「意味」を求めてはならないのではないか、ということだ。もちろん、文学的に何か人生の糧になるようなもの...
カフカの短編集。数ページで終わってしまうものから十数ページあるものまで。いちいち内容を挙げても仕方がないので、率直にこの本を読んで感じ取ったところから述べたいと思う。カフカの作品に「意味」を求めてはならないのではないか、ということだ。もちろん、文学的に何か人生の糧になるようなものを期待して読んでもならない。実際、あらゆる人々が実存主義的、ユダヤ教的、精神分析学的な解釈を行っているらしいが、きっとそんなものは意味がないだろう。私がここまで言うのはおこがましいかもしれないが、彼の作品を読む限り、彼は何の教訓も、何の感動も意図していない。ただ彼の精神状態や、彼の思い浮かべたものをブツリと切り取って提示しただけなのだ。
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丁度この本を読んでる日に授業で「プロメテウス」がとりあげられてびっくり。 「掟の門」、「流刑地にて」、そして特に「判決」が印象に残った。 カフカの作品は難解と言われるけれど、シュールな事象を何かの隠喩ととらえないのが正しいんじゃないかな・・・。こどもは素直に受けとめる様に。 安...
丁度この本を読んでる日に授業で「プロメテウス」がとりあげられてびっくり。 「掟の門」、「流刑地にて」、そして特に「判決」が印象に残った。 カフカの作品は難解と言われるけれど、シュールな事象を何かの隠喩ととらえないのが正しいんじゃないかな・・・。こどもは素直に受けとめる様に。 安部公房と似ている。毎回現実をぽーんっと飛び越える設定だから、ある意味先というか設定が読めてしまった。
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理解できるか?と言われると全く理解できなんのだけれど、やはりカフカの小説は面白い。なにがどう面白いの?と聞かれるとこれまた、答えに詰まってしまうのだけどね。 不思議な物語と世界観が読んでるウチに、その世界へと紛れ込んだような感覚におちいる。特に「流刑地にて」「父の気がかり」「中年...
理解できるか?と言われると全く理解できなんのだけれど、やはりカフカの小説は面白い。なにがどう面白いの?と聞かれるとこれまた、答えに詰まってしまうのだけどね。 不思議な物語と世界観が読んでるウチに、その世界へと紛れ込んだような感覚におちいる。特に「流刑地にて」「父の気がかり」「中年のひとり者ブルームフェルト」辺りはその世界に紛れ込んだような感覚を味わえました。
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一編ごとに物思いに耽ってしまい、なかなか読み進められませんでした。 どの話もグッとくるけれど、「橋」、「禿鷹」、「夢」、「父の気がかり」、「雑種」…このあたりに感動しました。感動っていうか、動揺っていうか。 読み終えた本は基本的に売却していますが、これは、これだけは手放したく...
一編ごとに物思いに耽ってしまい、なかなか読み進められませんでした。 どの話もグッとくるけれど、「橋」、「禿鷹」、「夢」、「父の気がかり」、「雑種」…このあたりに感動しました。感動っていうか、動揺っていうか。 読み終えた本は基本的に売却していますが、これは、これだけは手放したくないなと感じたりしています。 …オドラデク…
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「判決」や「流刑地にて」は読むべきである。私は文学の解釈などまったくできないが、カフカの文学には日常において一度立ち止まって考えるべき題材にあふれている。
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カフカの短編ってなんでこんな魅力的なんだろうか。 そこには深い意味が隠されているとして色々考察することはできるんだろうけど単純に表現を追ってるだけでも楽しい。
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