ためらいの倫理学 の商品レビュー
前に読んだ2冊とも内田樹さんの名前が出てきた為,読んでみた。内田さんの発する言葉にただうなずいた。自分が思っていたり悩んでいるようなことを言葉にしてくれたような。 20代残りわずかな期間に出会えたことに幸運を感じた。
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内田樹本はほとんど読んでいる。日垣隆さんの『つながる読書術』で紹介されていた、この内田本は、読んでいなかったので、購入。 最近のうちだ本より少し難解。内田さんが、売れっ子になる前い大学の紀要などに投稿したものも含まれているためだろう。 (1)(フェミニズムに対して)、...
内田樹本はほとんど読んでいる。日垣隆さんの『つながる読書術』で紹介されていた、この内田本は、読んでいなかったので、購入。 最近のうちだ本より少し難解。内田さんが、売れっ子になる前い大学の紀要などに投稿したものも含まれているためだろう。 (1)(フェミニズムに対して)、もし性差のもたらす弊害を実質的に廃絶することを人々がほんとうに望んでいるのなら、「性差については語らない」というのが、一番効果的な方法だろうと思う。(p219) (2)(ラカンを例にして)読者が「テクストに意味がわからない」のは、ほとんどの場合、それが読者に理解されないように書かれているからである。(p260) 何がかいてあるかわからない本ってありますよね。でも、日本語に翻訳してある場合には、訳がわるいこともあると思うな。 (3)現在、世界的な規模で進行している拝外主義的なナショナリストたちや原理主義者たちのプロパガンダは、つきるところ「私は私であり、他者は他者である。その間に架橋することは不可能である」という古くて新しい命題に収斂する。(p290) だから困るんだよね。原理主義は。お互いに何を考えているかを理解することから、対話は始まるはずなのに。 内田処女作のみずみずしさがあふれている本です。
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白か黒かどちらといえない「あいまいさ」をわかりやすいことばで語っています。 目からウロコの本です!! 【熊本学園大学:P.N. S・H】
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内田樹の最初の単書らしい。最近のものに比べて若干わかりづらいのは、彼が今ほど多数の読者を想定していなかったからかもしれない。 ともあれ本書の中で彼自身がレヴィナスやデリダ、ラカンらのことを「非常に難解で、全て理解しているとは思えない」と示唆しているように、彼の中心にあるのは「自分...
内田樹の最初の単書らしい。最近のものに比べて若干わかりづらいのは、彼が今ほど多数の読者を想定していなかったからかもしれない。 ともあれ本書の中で彼自身がレヴィナスやデリダ、ラカンらのことを「非常に難解で、全て理解しているとは思えない」と示唆しているように、彼の中心にあるのは「自分が知らないということを知ることの大切さ」という事だと思う。だからこそ倫理という大層なことを語るのに「ためらい」があってしかるべきだと考えるのだろう。極論は目立つので大きく左右に振れがちなのだが、その間のどこかに真理があると信じているからこそ、弱々しく、ためらいがちな意見になってしまう。その事を恐れずに肯定することで世の中はまともに進んでいくように思う。「論語・擁也」に見える孔子の言葉「中庸の徳たる、其れ到れるかな。民鮮きこと久し」というのもこれに近いのかも知れない。
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今から10年前の本だからか、内田樹が最近の著書と比べてずいぶん攻撃的だなあと思った。笑 あと内田樹の本を読んでて初めて反論したくなった箇所があった。でもそのゴツゴツ感が、なんか良い。
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正直に言うと、内容はよく分からなかった。 内田樹が出した最初の単行本という体だったが、「やはり学者だったのか」という感想。笑 彼のガチな評論というものを初めて読んだ気さえする。 普段の至極わかりやすい文章に比べ、難しい引用や術語が多く難解だが、それでも部分的に分かる箇所を拾え...
正直に言うと、内容はよく分からなかった。 内田樹が出した最初の単行本という体だったが、「やはり学者だったのか」という感想。笑 彼のガチな評論というものを初めて読んだ気さえする。 普段の至極わかりやすい文章に比べ、難しい引用や術語が多く難解だが、それでも部分的に分かる箇所を拾えば十分に楽しめる。 なぜか彼の文章は、分からなくてもストレスなく読み続けられてしまう。不思議である。 そして、何か頭がよくなった気がしてしまう。非常に不思議である。 最後のカミュ論のところで、殺人の是非について書いてあったのが少し面白かったかな。 あとは難しかったけど、内田樹ファンとしてその処女作を読む経験はしておいて良かったのかなと思っていて、結果的には満足している。
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ためらいの美学がここにある。 二つの価値観の間で揺らぎ続けることは耐え難いけれど、 一つの考えに着地して安心するよりもずっと誠実で知的だと思う。 常にわが身を省みる姿勢。 それがぼくの理想だ。
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内田先生が戦争、性、物語について語る、初期のブログコンピレーション本。初期の本の方が文章が難しかった。内田先生はあえて苦手な分野のテーマでもこうして思考を巡らせている。やはり考えるって大切だ。 そして、先生の言う知性というものがわたしも好きだ。「自分の正しさを雄弁に主張することの...
内田先生が戦争、性、物語について語る、初期のブログコンピレーション本。初期の本の方が文章が難しかった。内田先生はあえて苦手な分野のテーマでもこうして思考を巡らせている。やはり考えるって大切だ。 そして、先生の言う知性というものがわたしも好きだ。「自分の正しさを雄弁に主張することのできる知性よりも、自分の愚かさを吟味できる知性のほうが、私は好きだ」
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ちくまプリマーの「先生はえらい」を高校の時に読もうとして、その文体にイライラして10頁も読まずにやめたんですが、あの書き方はプリマー仕様だったんですね。 出てくる思想家さんとかの下知識がないから(だけじゃないだろうけど)わからん所はたくさんありますが、せやんなーと思いながら読みま...
ちくまプリマーの「先生はえらい」を高校の時に読もうとして、その文体にイライラして10頁も読まずにやめたんですが、あの書き方はプリマー仕様だったんですね。 出てくる思想家さんとかの下知識がないから(だけじゃないだろうけど)わからん所はたくさんありますが、せやんなーと思いながら読みました。 私自身が内田さんが大学で相手にしている学生と同世代なので、「矛盾が書けない大学生」の話は身に染みるというかなんというか…。 内田さんの講義受けてみたいなと思って神戸女学院、若干考えたんですが、なんせ女子大…。絶対やっていけない自信がある。
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ここまで素直に自分の好みを書いているとは笑 内田さんの本を読んでぜひとも採用したいと思ったのは、「自分が無知であることから自分の思考をスタートしていること」だ。最近、レポートを書くとき、「べき」、「でなければならない」が増えて、自分でも違和感を持つことがあった。何かを論じると...
ここまで素直に自分の好みを書いているとは笑 内田さんの本を読んでぜひとも採用したいと思ったのは、「自分が無知であることから自分の思考をスタートしていること」だ。最近、レポートを書くとき、「べき」、「でなければならない」が増えて、自分でも違和感を持つことがあった。何かを論じるときには、対象を完全に知っているべきである、ということを無意識に考えていたように思える。 何よりも「ためらいの倫理学」に共感を覚えた気がする。最近、サルトル・カミュを好んで読んでいた自分にとって、非常にためになった。これを読むまで、サルトルに異常なまでに惹かれていた。一つ一つの事項に決断していく姿勢に、感銘を覚えていたように思える。しかし、同時に違和感を覚えていた。なぜ、そこまで、1つの姿勢を貫かなければいけないのか、と。また、カミュが何を言いたかったのか、さっぱり理解ができていなかった。その時は、「ペスト」、「異邦人」、「幸福な死」を読了し、「シーシュポスの神々」をかじり読みしていたが、さっぱりだった。そこに、「ためらいの倫理学」を読んで、少しサルトルへの偏愛が覚めたし、カミュへの理解が深まった。もう一度、カミュを読みなおそうかなぁ。。
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