ためらいの倫理学 の商品レビュー
難しかった。 語彙力やら集中力やらを高めて再挑戦したい。 2015年6月30日 電子書籍版にて再読 なるほど、2周目ともなると拾える内容が増えて面白かった。 言論の世界において「俺はなんでも知ってるぜ。世の中はこうだ。俺の言うことが正しい。」という態度は生き延びていく上では必...
難しかった。 語彙力やら集中力やらを高めて再挑戦したい。 2015年6月30日 電子書籍版にて再読 なるほど、2周目ともなると拾える内容が増えて面白かった。 言論の世界において「俺はなんでも知ってるぜ。世の中はこうだ。俺の言うことが正しい。」という態度は生き延びていく上では必要なものかもしれないが、知性そのものが宿るところは「俺はぜんぜん知らないな。これはどういうことなんだろう」という好奇心に駆動される。 子どもの学力低下問題なんかもそうだけど、知識に対する渇求ってやつが大事なんだろうなぁ。その延長線上で「すべてわかった」気になるのは欲望の停止になるので、満足しちゃいかんということなのだろう。
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※このレビューにはネタバレを含みます
「知性」とはなにかを考えさせ、自らの思考力、判断力を鍛えるための良質なテキストが満載です。 p.25 私たちは知性を計算するとき、その人の「真剣さ」や「情報量」や「現場経験」などというものを勘定に入れない。そうではなくて、その人が自分の知っていることをどれくらい疑っているか、自分が見たものをどれくらい信じていないか、自分の善意に紛れ込んでいる欲望をどれくらい意識化できるか、を基準にして判断する。 p.42 私たちは知性を検証する場合に、ふつう「自己批判能力」を基準にする。自分の無知、偏見、イデオロギー性、邪悪さ、そういったものを勘定に入れてものを考えることができているかどうかを物差しにして、私たちは他人の知性を計算する。自分の博識、公正無視、正義を無謬の前提にしてものを考えている者のことを、私たちは「バカ」と呼んでいいことになっている。
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これは、特に最後の方は、自分的には難しかった。フェミニズムとか有事法制とか、ならではの切り口でなるほど、って思わされたけど、十分に理解しきれない部分があったのもまた確か。将来的にあらためて再挑戦してみたいと思う。
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難解な内容で、なかなか読み進まないうえ、そこそこの事前知識がないと更に理解にも及ばない。 しかし、じっくり読み込むと、漠然とだが理解はでき、共感できることも多々ある。 しばらくしてから、また、読んでみたい。
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全体的にはサクサクと読み進めないところが多かった。戦争責任のあたりはタイムリーなこともあり、また著者の歴史観にも共感でき、興味深く読めた。
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内田先生の最初の著作。「戦争論/戦後責任論」、「フェニミズム/ジェンダー論」、「他者/物語論」に関したトピックを扱っているが、一貫して主張されているのは、 「自分の正しさを雄弁に主張することのできる知性よりも、自分の愚かさを吟味できる知性の方が、私は好きだ」(p.349あとがき...
内田先生の最初の著作。「戦争論/戦後責任論」、「フェニミズム/ジェンダー論」、「他者/物語論」に関したトピックを扱っているが、一貫して主張されているのは、 「自分の正しさを雄弁に主張することのできる知性よりも、自分の愚かさを吟味できる知性の方が、私は好きだ」(p.349あとがきより) ということだった。自然科学の世界にいる身の実感として、全くその通りだと思う。 トピックにもよるけれど、「私は知っている。なんであなたたちは分からないのか」と言い切ることができる人ほど信用できない。 話題になっている領土問題や原発再稼働などにも当てはめることができるのではないかと思う。 あと、カミユの「異邦人」が読んでみたくなった。
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デビュー作。今よりも文体がキツイ。個人に対する攻撃が結構多いから、これは確かに批判されてもおかしくはないかな。面白いし、言いたい事に筋は通ってるから納得はするけど。
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内田樹の本を読むのは今年これで3冊目。カミュのことについて書かれた評論が収録されており、自分が高校生(?)の頃に「異邦人」や「ペスト」を読んだ時のことを思い出しつつ、作品にそんな哲学的省察が込められていたことに新鮮な驚きを感じました。
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内田先生のデビュー作。内田作品はこれまでちょうど10冊読んだが、なぜかデビュー作だけはスルーしていた。内田先生自身が述べているが、先生は専門外(たとえば本作品では性)の問題も積極的に俎上に載せ、それを私のような素人にも実に分かりやすく捌いて提供してくれる。その手並みは理路こそ入り...
内田先生のデビュー作。内田作品はこれまでちょうど10冊読んだが、なぜかデビュー作だけはスルーしていた。内田先生自身が述べているが、先生は専門外(たとえば本作品では性)の問題も積極的に俎上に載せ、それを私のような素人にも実に分かりやすく捌いて提供してくれる。その手並みは理路こそ入り組んでいるものの実に鮮やかで胸にストンと落ち、落ちない場合でも読者を思想に駆り立てる。その理由は数多いる専門家と呼ばれる人たちが自分の専門性や知性の高さをひけらかすのに専心するあまり、結果として読者を置いてけぼりにしているのに対し、内田先生にはそういう厭らしさがなく(あっても周到に隠されている)、専ら読者との間に架橋することに意を注いでいるからではないかと思う。「自分の正しさを雄弁に主張することのできる知性よりも、自分の愚かさを吟味できる知性のほうが、私は好きだ」(349ページ)。内田先生のこのスタンスを100%支持する。
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現代思想のセントバーナード犬・内田樹のデビュー作。 戦争論やフェミニズム、途中のジャック・ラカンあたりは頭から煙が出そうだったが、なんとか読了。 アルベール・カミュの「異邦人」刊行とレジスタンス参加が同時期で、「異邦人」の主人公ムルソーと、思想家としてのカミュの内在的な関連性...
現代思想のセントバーナード犬・内田樹のデビュー作。 戦争論やフェミニズム、途中のジャック・ラカンあたりは頭から煙が出そうだったが、なんとか読了。 アルベール・カミュの「異邦人」刊行とレジスタンス参加が同時期で、「異邦人」の主人公ムルソーと、思想家としてのカミュの内在的な関連性についての考察は、こんな読み方があるのかと、非常に興味深い。 「自分の正しさを雄弁に主張することのできる知性」より、「自分の愚かさを吟味でき、疑うことができる知性が好きだ」という著者の意見。後の作品でも、その基本スタンスは変わることがなく、空気を読まないといけない社会へのラディカルな異議申し立ては、とても明快かつ痛快。
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